軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

人口爆発による弊害

第51話 人口爆発による弊害

「人が多すぎる!」

サンブレロの街は、かつてない混乱に包まれていた。

移民は日に日に増え続け――

街のあらゆる場所で悲鳴が上がる。

「食料が足りない!」

「寝る場所がない!」

「先に来た俺たちの仕事を奪う気か!」

怒号と不満が飛び交い、

ついには殴り合いまで発展した。

「やめろ! 子供がいるんだぞ!」

「うるせぇ! こっちだって生きるのに必死なんだよ!」

広場では、男たちが掴み合いになっていた。

その周囲で、怯えた子供と女たちが身を寄せ合う。

――限界だった。

この街は、もう受け入れの限界を超えている。

報告を受けたヤマタニは、即座に立ち上がった。

「まずは物流だ。」

迷いはない。

「トラックと鉄道を総動員しろ。周辺から食料と生活物資をかき集める。」

「供給量を倍にしろ。止めるな」

「はっ!」

命令は即座に伝達され、街中の車両が動き出す。

「次に住宅だ。」

地図を広げ、一瞬で判断する。

「空き地はすべて使え。仮設住宅を建てろ。」

「資材は規格化済み、組み立ては最短でいけるな?」

「はい、すでに準備済みです。」

「区画も整理しろ。無秩序に広げるな。」

街は“管理”しなければ崩壊する。

「そして人だ。」

ヤマタニの目が鋭くなる。

「住民登録の処理が遅れている。人員を増やせ。」

「列が街を塞いでいます!」

「なら列を分散させろ。臨時窓口を増設だ。」

人が増えれば、制度も追いつかねばならない。

だが――

「住民同士の衝突が増えています。」

「……予想通りだな。」

ヤマタニは静かに頷いた。

物が足りない時、人は争う。

それは避けられない。

「地域ごとに世話役(民生員)を置け。」

「世話役、ですか?」

「信頼の厚い者を選べ。面倒見のいい奴だ。」

仕事の斡旋、揉め事の仲裁、生活相談。

現場で動く“人”が必要だった。

「上からの統治には限界がある。」

「現場に任せろ。」

その頃――

「……あんた、新入りか?」

「……ああ。」

無精ひげの男が声をかける。

「ここは揉めるぞ。だがな。」

少しだけ笑った。

「助け合えば、なんとかなる街でもある。」

それが、世話役だった。

問題は山積みだった。

だが――

一つずつ、確実に潰していく。

夜。

ヤマタニは窓の外を見ていた。

仮設住宅の灯りが、次々とともっていく。

昼間は混乱に満ちていた街が、少しずつ“形”を取り戻し始めていた。

「……これが、都市を作るということか。」

小さく呟く。

人が増えれば、すべてが足りなくなる。

だが同時に――

「人は、力にもなる。」

労働力は増え、街は拡張できる。

混乱の先には、成長がある。

だが――

この急激な人口増加。

あまりにも、出来すぎていた。

移民の流入は止まらない。

まるで、どこかから“押し出されている”かのように。

「……誰かが、流しているのか?」

ヤマタニの目が細められる。

この流れは、自然ではない。

もし意図されたものだとすれば――

その目的は何だ。

サンブレロの混乱は、まだ序章に過ぎなかった。