軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ここにやって来て本当に良かった

第50話 ここにやって来て本当に良かった

「サンブレロの街に、移民が殺到しています」

報告を受け、ヤマタニは眉をひそめた。

「……この街に?」

かつては寂れた地方都市。

急に人が押し寄せる理由がわからない。

「原因を調べろ。受け入れ体制も強化する。」

ただ受け入れるだけでは、街は崩壊する。

ヤマタニは即座に指示を出した。

幸い、備えはあった。

規格を統一した建材による低コスト住宅。

それを折りたたみ式にした仮設住宅を量産可能にしていたのだ。

さらに仕事はいくらでもある。

鉄道の複線化。

屋敷の建設。

街を守る外周の掘りと畝の整備。

「……人手はいくらあっても足りん。」

だが、それにしても多すぎる。

「他の街で、何が起きている?」

ヤマタニは静かに呟いた。

「ここがサンブレロの街か……。」

男は空を見上げた。

青い。

あの街とは違う。

黒い煙に覆われ、咳が止まらず、

仲間が死んでいったあの場所とは。

「空気が……きれい。」

隣の女が、信じられないものを見るように呟いた。

工場は多い。

だが煙は高く流れ、街にはこもっていない。

人々の顔にも、生気があった。

「あそこに比べたら……天国みたいね。」

家族は町役場へ向かった。

移住しなければ、生きていけなかったのだ。

役場の住民課は人であふれていた。

列に並び、ようやく順番が回ってくる。

「登録書に記入をお願いします。」

「……すみません。読み書きができません。」

受付の職員は頷いた。

「大丈夫です。こちらで代筆します。」

名前、年齢、家族構成。

一つ一つ丁寧に聞き取っていく。

その対応に、男は少し驚いた。

――追い返されない。

――殴られない。

ただ、それだけのことが、こんなにもありがたいとは。

「これで登録は完了です。今日からサンブレロの住民です。」

その言葉に、女は目を潤ませた。

「……よろしく、お願いします。」

こうしてまた一つの家族が、

サンブレロの街に居場所を得た