軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

公害問題

第49話 公害問題

ヤマタニが設計した煙突フィルター。

だが、思わぬ問題が発生していた。

「煙が、うまく抜けない……?」

フィルターで煤や有害物質はある程度除去できる。

しかしその分、排気の流れが悪くなり、煙が滞留してしまうのだ。

このままでは、逆に工場内や周辺に煙が漏れ出す危険がある。

対策はすぐに講じられた。

排ガスを一度で出さず、再びフィルターへ循環させる多段処理。

さらに煙突そのものを高くし、上空へと拡散させる構造へ変更。

加えて――

「フィルターは定期的に交換・洗浄する。放置は許さない。」

維持管理の仕組みも整えた。

当然、コストは跳ね上がる。

だが。

「人を救うための工場が、人を苦しめる道具になってはならない。」

ヤマタニは迷わなかった。

「利益は後で取り返せばいい。だが、人の命は戻らない。」

それが、管理者としての責務だった。

一方――溶鉱炉の街。

そこに改善はなかった。

直談判した者は、冷たい骸となって帰ってくる。

そんな噂が広まり、誰も声を上げなくなっていた。

咳き込む子供。

弱っていく女房。

黒く染まった空。

「……もう無理だ。」

家を捨て、街を去る者が出始める。

残ったのは、行き場のない者たちだけだった。

人が減り、店は閉まり、治安も崩れていく。

街は急速に荒れていった。

――スラム化。

その言葉が現実になりつつあった。

そんな中、ある噂が広がる。

「煙をどうにかしてくれる領主様がいるらしい。」

半信半疑でも、人は希望にすがる。

「……そこへ行けば、普通に暮らせるのかもしれねえ。」

人々は、少しずつその地を目指し始めた。

――街は、崩壊へと加速していく。