作品タイトル不明
騎士団結成
第32話 騎士団結成
一応、男爵となったヤマタニだったが――
「……貴族って、何をすれば貴族なんだ?」
執務机の前で腕を組み、首をひねる。
領地経営はしている。
孤児院もある。
商売もしている。
だが、それは今までと何も変わらない。
「うーん……。」
しばらく考え込んだヤマタニは、ふと思い出した。
「そういえば、貴族って騎士団を持っていたな。」
城を守り、領地を守る騎士たち。
貴族といえば、やはりそれだろう。
「騎士団員って、どうやって雇うんだ?」
また腕を組む。
「うーん……。」
浪人のような者はいないものだろうか。
浮浪者の中には、元騎士や元兵士もいるかもしれない。
「……普通に募集するか!」
こうしてヤマタニ男爵は、騎士団員を募集することに決めた。
だが、もう一つ問題がある。
「騎士団って、何人いればいいんだ?」
ヤマタニは首をかしげた。
貴族になったとはいえ、そんな常識は知らない。
「お隣のヤナール卿に聞いてみるか。」
ヤマタニは早速、ヤナール卿の館へ手紙を送った。
◆
数日後。
返ってきた手紙には、こう書かれていた。
――騎士は、領地の財力に応じて雇えるだけ雇えばよい。
「なるほど。」
ヤマタニはうなずいた。
「じゃあ……今いる連中を騎士にしてしまうか。」
孤児院や工場の警備をしているガード役。
それに、町で雇った腕の立つ浪人たち。
「まあ、十人もいれば十分かな。」
こうしてヤマタニ男爵は、
ガード役や浪人たちを取り立ててヤマタニ騎士団を結成した。
とはいえ――
訓練も格式もない。
まさに即席騎士団である。
こうして、ヤマタニ男爵騎士団が誕生したのだった。
そのときだった。
浪人の一人、白髭をたくわえた老騎士ドゴールが一歩前に出た。
「ヤマタニ男爵様。騎士団が簡単すぎますぞ。」
「ワシは元騎士ですが……これでは他の騎士の笑い者です。」
いかにも歴戦の騎士といった威厳のある風貌だ。
ヤマタニは少し考え、肩をすくめた。
「正直、俺には騎士団はよくわからない。」
そして、ドゴールを見て言った。
「ドゴール君。騎士団長を君に任せたい。」
老騎士は姿勢を正し、深く頭を下げた。
「ははっ。」
ヤマタニは続ける。
「ミランドたちは副団長だ。」
「はい。命にかけまして。」
こうして――
ヤマタニ男爵騎士団は動き出した。