軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:ワンパンベアの矜持

ウサギ達がダディの背中から落ちないように気をつけながら拠点に戻って、ジャック達にウサギを預けた。

うとうとしているウサギだから、手がかかることもなさそう。

僕は従魔に詳しくないから多分だけど、うたた寝ウサギは睡眠バフ担当のペット枠とかじゃないかなぁ? 元のレベルも低いし、ゲーム開始直後でも弱かったし。

預けたら、再びダディに乗って相棒達を追いかける。

山に向かってるのはわかってるし、空にベロニカちゃんが飛んでるから合流は出来るはず。

そんな雑な手段だったけど、ダディが頑張って見つけてくれて、無事に二人に合流する事が出来た。

合流した時、二人は山に少し入った所で困った顔をして立っていた。

「へーい、ウサちゃん置いてきたよー」

「おっ、おつかれさん」

「……お帰り」

「山に着いてるけどキツネは?」

「……捕まえたよ。ほら」

「おおー、やったね!」

差し出されたのは、目つきが少し鋭い雰囲気の黒いキツネ。

受け取って抱っこ……うわぁお、ツヤッツヤ!

うたた寝ウサギはフワフワもふもふだったけど、宵闇キツネちゃんは毛皮がサラサラのツヤツヤ。極上の肌触りで高級感のある触り心地のキツネちゃんだぁ。

光沢少なめの黒い姿は、忍者とかと相性良さそう。カラフルファンシーな魔法少女ちゃんと一緒なら……大きな輝石のアクセサリーとか首輪とか着けたい感じかなー。

「キツネはどうだった? 難しかった?」

「……まぁ、ウサギよりは」

「遊びの隠れ鬼あるだろ? アレで捕まえないと認めないやつで、しかも【闇魔法】で影に隠れるから……そこそこの【感知】が無いとクリア出来ないタイプだった」

「へぇ~」

じゃあ僕は絶対無理だね。

さっくり確保出来たのは流石だなぁ、と思っていたら……相棒とカステラさんは二人揃って遠い目をした。

「……どしたの? 最後はワンパンベアを見つけて【テイム】だよね?」

「……ワンパンベアはもう見つけた」

「ん? そうなの? いないけど……?」

「倒したからなー」

「うん???」

二人が言うには、山を登り始めてすぐに1匹でうろうろしているワンパンベアを見つけて、相棒が説得を試みたんだって。

ただ……

「まず会話はしてくれたけど……戦闘は止まらなかった」

「え」

「あの熊……殴り合いしながらじゃないと返事しないんだってよ」

「ええ……」

それでも手加減して攻撃しながら『共闘いかがですか』みたいな事を伝えたらしいんだけど……

「あの熊は、特殊なアイテムを所持してないと【テイム】出来ないタイプだったっぽい」

「あ、そうなんだ? 何要求されたの?」

「なんか、他の島にいる強い熊の爪なんだよな?」

カステラさんの問いかけに、相棒が生暖かい微笑みを浮かべながら、ボソリとその名を口にした。

「……『フォーパンベアの死剛爪』」

「スリーは!?」

何で!?

ワンパン、ツーパンと来て、何でスリー飛ばしてフォーに行っちゃったの!?

* * *

ワンパンベアは言ったそうな。

『我らワンパンベアを従えたいのなら、フォーパンベアを倒した証を見せろ』と。

その爪を持っていて始めて合意テイムの道が開けると同時に、爪の所持者が認めた相手ならば主と仰いでも構わんと、そういうスタンスの熊達らしい。

「……何パンまで行くんだ」

「 エフォ(EFO) だからなぁ……百くらいは余裕で行きそうな気がする」

「それパンチが100ヒットしそう」

「……怖すぎる」

僕らの住む島からいくつか飛んだ先に熊ばっかりいる熊島があって、そこにフォーパンベアがいるんだって。

そこまで聞き出した所で、戦っていたワンパンベアは倒れた。

なんなら倒れる時に、『次はお前に勝つ』みたいな事を言い残して逝ったらしい。

僕はそっとその場所に火の色の花を供えておいた。

「……それまた来るんじゃ?」

「でも言葉と拳を交わしてナイスファイトみたいな相手ならお花あげたいじゃん」

「……まぁね」

「あんたらそうやって変なクエスト増やしてるんだぞきっと」

とにかく、ワンパンベアをテイムするならフォーパンベアを倒さないと話にならない。

というわけで、僕らはそのまま山を登って島を渡り、ワンパンベアに教えて貰った島へと飛んだ。

辿り着いたのはかなりの広さがある……島というより大陸。

生えている木も他の島より大きめで、降り立った山から平地まで緩やかに坂が続く、島全体が大きく緩やかな山になっていそうな雰囲気の場所。

そして

「待って待って待って、デカくない?」

「……デカいなぁ」

「初手でこれは適正レベルに足りてないだろ。ちょっと本気出すぞ」

フォーパンベア Lv88

ヒグマサイズのワンパンベアの、2倍くらいありそうな凶悪顔の熊が僕らを待ち構えていた。