軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:野生をテイムしてみよう。

俺がネビュラに、キーナがダディに、そしてカステラさんは自前のバッタのような召喚に乗って俺達は拠点から森へと繰り出した。

相乗りしていないのは、帰りにテイムした従魔が乗る予定だからだ。

空にはベロニカ。

目指すは島の中央の山。

道中でうたた寝ウサギと宵闇キツネをテイムして、山でワンパンベアをテイムする。

「そういえば僕達って……こうやって野生を自分からテイムしに行くのって初めてじゃない?」

「……そうだっけ? ……確かにそうか」

「マジかよ」

ベロニカはクエストで懐いたようなものだし、シマエナガのシロは大会の景品で、ダディはヒヨコからの育成、スライム達は購入。今回やって来たドラゴンのメララックスもクエストからの好感度枠だろう。

見事に野生からのテイムはしていない。

「【テイム】のコツとかあるのかな?」

「あー、基本的に【テイム】と【召喚魔法】の契約はスキルが違うだけで方法はほぼ同じって言われてる」

「……じゃあ、カステラさんは詳しいですか?」

「そりゃほとんど【召喚魔法】一本でやってるようなもんだからな」

カステラさん曰く。

召喚契約と【テイム】も共通の仕様として、『レベル差によるゴリ押しは可能』という物があるらしい。

プレイヤーのベースレベルが対象のベースレベルを大幅に上回っていれば、ただスキルを使うだけで契約や【テイム】は成功する。

ただし、それをすると好感度が低い所から始まってしまうので、扱いにくい形になってしまうのだそうだ。

「だから、ちょっとでも機嫌を取って慣れてる状態にしてからスキルを使った方がいい」

「……なるほど」

そして次に注意が必要なのは、野生のモンスターにはテイムや契約が出来る個体と出来ない個体がいるらしい。

「一応『滅び』の影響で凶暴化もしてるって設定だからだろうな。何をしても聞き耳持たない奴はいて、そいつらは好感度が上がらない」

そういう個体は、上位種族関係で出てきた言語が通じるスキルを習得しても会話が出来ないらしい。

「逆に言えば、会話が通じればワンチャンあるって事。後は色々試して好感度が上がれば、契約でも【テイム】でも応じてもらえる」

「「へぇ~」」

「ただ、その色々が本当に色々あってさ……『食べ物で釣る』ってのは1番イージーで、『タイマンで勝たないと認めない』とか『指定のアイテムを持ってきて初めて会話をする気になる』とか……あー、『自力で走って競争して勝たないとダメ』とか『同じカラーリングしてないとダメ』とかもあったな」

「わぁ」

「……検証勢が泣いてそうですね」

「 エフォ(EFO) 世界はしゃぶり尽くせない規模してるしなぁ」

そんな話をしている内に、うたた寝ウサギが数匹うとうとしているのを見つけた。

「かわいい」

「普通にかわいいなこのウサギ」

さて、このノンアクティブなウサギを一匹確保するわけだが……

「……どうやってやる?」

「え? 相棒はお話出来るんだから、訊いてみるのが1番平和じゃない?」

「……ですよねー」

「ああ、旦那さんは獣人の上位種族アイテム取りに行ったんだ?」

「……いえ、因果の黒鳥幻獣に木の実もらいました」

「え、あのガチャそんなのも出るのか!?」

俺は、うたた寝ウサギにそっと近付き、出来るだけ目線が近くなるようにしゃがんで覗き込んだ。

……うたた寝ウサギはチラッと目を開けると、面倒くさそうにのっそり立ち上がり、グッと前歯を見せて威嚇してくる。これ以上近付くと問答無用で噛み付いてくるから、この距離感で交渉してみよう。

「……あー、えっと……快適な睡眠環境に興味は無いかい?」

ウサギはキョトンとして前歯を引っ込めた。

「安全に寝れるのー?」

「……そう、ふわふわな寝床もついてくるかもしれないよ」

「ふわふわー……ご飯はー?」

ご飯か……俺はカステラさんへ振り向いた。

「……妹さんって、従魔の食事はどんな感じですか?」

「あー、従魔ショップで気に入ったの探してそれをやってる」

なるほど。

「……よりどりみどりだと思うよ」

「わぁー、興味あるー、そこにいきたーい」

はい、【テイム】っと。

なるほど、レベルが低いモンスターだし、難易度もかなり低めなんだろうな。

俺はウサギを1匹抱き上げて振り向いた。

「ウサギオッケーです」

「さすが相棒!」

「お見事。……ただ、後ろのやつらどうする?」

「……後ろ?」

ウサギの群れを振り向くと……うたた寝していたはずのウサギ達が目を覚まして、襲いかかるでもなく俺の方ににじり寄って来ていた。

「……ちょっ」

「たまにあるんだよなー。意図せず群れ丸ごと懐柔しちゃう時って。『ゲーマスAIが複数プレイヤーに配布させようとしてる』なんて言われてるけど」

「……え、どうしたら?」

「手に余るなら里親を探す。群れごとじゃないとイヤだって言われる事はほぼ無いらしいし」

……じゃあ里親だな。何匹いるんだ……全部で9匹!?

のんびりとしたウサギの群れの大量確保に、キーナはひたすらケラケラと笑ってウサギをダディに乗せていた。

「さすがに多いから、僕は戻って置いてくるね」

「……頼んだ」

餌付けもしていなかったのにな……ウサギに話した条件を提示して、それに頷いてくれる里親を探すしかない。