軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:戦後処理と持ち込み

相棒が来てくれたおかげで、ボスの猛禽オバケを倒せてめでたしめでたし。

ひとしきり討伐への健闘を称え合って、相棒に経緯の説明をしたら、さくさく戦後処理をしていこう。

まずは、解放して一緒に頑張ってくれたオバケちゃん達。

戦闘途中で限界になっちゃった子達は一足先に霊蝶になってバイバイ済み。

最後まで頑張ってくれたオバケ達の内、野生のアニマルゴースト達は、現地解散でバイバイした。

NPCにパーティシステムからの僕らの名前確認が出来るのか分かんないけど、パーティ組んだ時に僕らの名前は内緒だよって言っておいたから、身バレの心配はたぶん大丈夫。

「手伝ってくれてありがとねー」

「こちらこそ」

「助けてくれてありがとう」

「バイバーイ」

「生まれ直したらまた会おうぞ」

牢屋から良くしてくれた蛇オバケちゃんも、ゴキゲンな様子でバイバイした。

皆まとめて、火の色をした追悼の花でお見送り。

また会えるといいね。

そしてヒト型のオバケ達にはひとつ提案。

「一緒にお城に行って相談してみる? もしかしたら本国に連れて行ってもらえるかもしれないし」

騎士のオバケとか墓守や葬儀屋のオバケ達はやっぱり故郷とか子孫とかが気になるみたいで、『よろしくお願いします』って事に。

休憩を兼ねて僕の強制力ゼロ仕様な籠に入っていてもらった。

回収したお骨も一緒にお城へ提出すれば、きちんとお墓に入れてもらえるかな。

そして最後は……ハイタッチまでしてたくせに、シレッと宝箱のフリをしなおしてやり過ごそうとしていたミミック達です。

もう1回【木魔法】で固めた途端に往生際悪くジタバタし始めたから、きちんとお話しておかないとね。

「キミたちを野生に解き放つわけにはいかないから……この場で僕に倒されるか、一緒に街まで行って誰かに従魔として引き取ってもらうか、どっちか選んで」

ミミック達は速やかに投降。従魔の道を選びましたとさ。

なんだろう……ミミック族って日和見主義なのかな? それともかわいがってもらえてなかったから、こんな『命だけはご勘弁』モードなのかな?

まぁそんな感じで、縛り上げたミミック達も鏡にぶち込んで、僕らは開けた天井の穴からとりあえず外へ出てみた。

「んー、ここはどこかなー?」

「どこだろうなぁ……」

野山が多すぎるゲームだし、僕らあんまりメインフィールドうろうろしないから……分かんないんだよね。

相棒がベロニカを呼び出してちょっと周りを見てもらったけど、ベロニカも知ってる所じゃなかったみたいで、現在位置は分からなかった。

「ま、しょうがないね。アジト埋め立てしてアイテムで帰ろっか」

「だな」

またここが悪用されないように、開けた穴は埋めて、本来の出入口だった小屋も解体して更地にする。

跡地は魔法で草木を生やしておけば、他の敵対NPCが訪ねてきても『あれ? ここじゃなかったっけ?』って思ってくれる……かもしれない。

「まぁ時間稼ぎにでもなればいいでしょ」

「うん」

そんな感じで、僕らは風切羽で拠点へ一度転移。

チビっ子達の元気な様子だけチラ見して、すぐにピリオノートへと飛んだ。

* * *

「──って感じの事がありまして」

「………………少し待ってくれ」

「はーい」

「……はい」

お城で事のあらましを魔術師団長さんに説明したら、魔術師団長さんは両手で顔を覆ってしばしフリーズしてしまった。

情報量が多いからね、仕方ないね。

それでも本当に少しだけで再起動してガリガリと何か紙に書き付けてメイドさんを走らせたのは流石だと思う。

「そうか門番か……正確な時間帯が分かったのは実に助かる。よくやった……だが、洗い出しをしても、もう手を引いた後かもしれんな……冒険者が復活可能な事は、向こうも分かっているはずだ」

そしてそうこうしている内に、相棒が救助した被害者をお願いしたロードオブザピッグさんもお城に到着した。

知り合いのプレイヤーさんに頼んで、ドラゴンでピリオノートまで送ってもらったんだって。

ポーチの中に匿われていたヴァンパイア被害者の小さな姿を見て、魔術師団長さんはまた頭を抱えた。

さらにそこへ、メイドさんが呼びに行っていたらしい騎士団長さんもやってきて、小さなヴァンパイアに綺麗な二度見を決めた。

ファンタジー世界の偉い人って大変だねぇ。

ブツブツと何か呟きながら、メイドさんが差し出した紙にガリガリと書き込みを続けていた魔術師団長さんは……騎士団長さんがハラハラと見守る前で、開き直ったかのように「フッ……」と微笑んで顔を上げた。

「……よし、何はともかく……被害者の保護と主要アジトと思われる場所の特定、そして企みを挫き小規模なアジトのひとつと幹部をひとり潰した事。よくやった」

同席してるロードオブザピッグさんが「あ、サフィーラ師団長のヤケクソモードだ」とボソッと呟いたのが聞こえた。

「色々と調査が必要な手がかりを持ち込んでくれたからな、これから内容の精査に入るが……ある程度は先に伝えておこう」

魔術師団長さんは、騎士団長さんと視線を交わしてひとつ頷くと、小さいサイズになってるヴァンパイア被害者さんに目をやった。

「敵対組織のひとつ、ブラッドレッド・カルトだが。こちらは有志の冒険者と支援組織の活躍によって、かなり詳細な情報を得られていてな……今回のアジトの情報と、そしてヴァンパイア化した本人からの話を聞く事が出来れば、近い内に総攻撃を仕掛ける事が可能なはずだ」

「マジで!?」

驚いて声を上げるロードオブザピッグさんに、魔術師団長さんが力強く頷く。

「他の手がかりについては精査や尋問が必要だが、ヴァンパイアのカルトに関しては早めに決着をつけられるだろう」

「よっしゃ!」

歓声を上げるロードオブザピッグさん。

それを微笑ましそうに眺めていた騎士団長さんは、スッと顔を引き締めて言葉を引き継いだ。

「御三方は信用に足ると判断していますのでお伝えしておきます。……現在複数確認している敵対組織ですが、それぞれの組織を繋ぐ、『伝達役』の存在がいるようです」

『伝達役』?

「今回、そちらのご夫婦が同時に拉致されたにも関わらず別々の組織へ連れ去られた事によって確証が得られました。それぞれの組織を繋ぐ、何者かがいる」

「……城の門番に扮してお前達を拉致し、それを別々に連れて行ったのだから……まぁ、背後に高位貴族の存在がチラつく話ではあるな」

あー、そっか、そっちの話にもなってくるのかー。

なんかいたよね、魔術師団長さんの政敵とかね。

「とはいえ、急いては事を仕損じる。ひとつひとつ丁寧に潰していくしかあるまい。目下、するべきはブラッドレッド・カルトの壊滅だ。参加を希望するなら準備しておけ」

「うぃーっす」

「はーい」

「……はい」