軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:預けて終わって、ただいま

経緯を報告して、直後の予定も聞いた。

後は渡すものを渡してしまえばひと段落だ。

興味津々なロードオブザピッグさんに見守られながら、俺達は共有インベントリから渡す物を取り出した。

(やっぱり個人インベントリはいっぱいだったか……)

(捕まった時、武器を入れられたのでギリギリだったよね!)

あぶねーな。

まずは書類入れ。

小洒落た木箱で、中には手紙が入っている。

中身を読む時間はなかったが、全部開けて読む気力は今の俺達には無かった。

かと言って、持ち帰って日を跨いでから読んだら報告が遅れるからな。さっさと渡す事にする。

ロードオブザピッグさんは「きっと読みたい奴がいると思う」と言って、俺達に許可を取った後、掲示板になんやかんや書き込んでいた。

魔術師団長も「信用できる手伝いは歓迎だ」と言っていたから、後で誰か読みに来るんだろう。

そして姿見。

【鏡魔法】で中から捕まえた敵対NPCとミミックを出すと、ロードオブザピッグさんがパチンと指を鳴らして感心した声を上げた。

「そっか、その手があった! 【鏡魔法】便利だなー。……使い方掲示板に上げていい?」

「どうぞー」

「サンキュー! 猫の店で何人か【鏡魔法】覚えたみたいなんだけどさ。目下、鏡の先の探索にドハマリしてるみたいだから、こういう使い方失念してんじゃないかな」

ああ、前の鏡ダンジョンみたいな場所の奥が気になってるのか。うちはキーナが絶対行きたくない場所だから完全に忘れてたな……

敵対NPCは前と同じく騎士が地下牢へ連行。

そしてミミックは……

「……1匹くらい城で飼うか」

「クロウ隊もいるって事はテイマーもいますもんね」

「ああ」

テイマーの兵士がやってきて、1匹は城へ就職が決まった。

そして残りは掲示板でミミックを求めているプレイヤーが数人いるらしいから、ロードオブザピッグさんに託す事になった。

「おたくら従魔の里親探し多いよね」

「なんでだろね?」

「……さぁ?」

同じ流れで、出来れば本国へ帰りたいオバケ達も取り出して事情を話す。

「まぁ子孫を眺めて成仏するはずが、望まぬ異世界に来たらそうなるかー」

「ふむ……良いだろう、死霊魔法使いになった兵士もそれなりに成長してきた所だ。」

「へー、死霊魔法担当もいるんですね」

「それこそ霊に話を訊く必要が出てきた時に必要だからな。ただし……組織で使役されていた時の話はある程度聞かせてもらいたい。もちろん『隷属』などといった方法は使わせん」

魔術師団長が出した条件に、ヒト型のオバケ達は素直に頷いた。

「無論、故郷への帰還を助けていただくのですから、協力は惜しみません」

「我々に分かることであればなんなりと」

なんとかなりそうで良かった。

素材アイテムの類は回収した当人に権利があるとの事なので、ありがたく持ち帰る事にする。その辺はゲームだな。

「よし、ではこちらからの報告や連絡は後日飛ばす。三人とも、今回はよくやった」

「アザッス。森夫婦さんもおつ」

「おつかれー」

「……お疲れ様です」

やれやれ。

突発で始まった拉致イベントは、どうにか上手くこなして終了出来たのだった。

* * *

……と、いうわけで無事に拠点に戻ってきた俺達は、ワラワラと寄ってきた小粒達の相手をしている。

『ちょっと行ってくる』と言ってそのまま戻って来なかったから、少し不安になっていたらしい。キャトナとナナはキーナに張り付いて、サナは俺の背中にぶら下がって離れなくなった。

「ごめんねー、ちょっと急ぎのお仕事が入ってミミックに会いに行ってたの」

キーナがミミックの話をして小粒達を煙に巻いている。

ヤバい奴らに誘拐された事は言わないつもりだ。

どうせプレイヤーは襲われても死なないからな。生きて帰ってはくるんだから、無駄に怖がらせる事は無い。

留守番のジャック達には後で説明する予定だ。

組織との戦いに連れて行く事もあるかもしれないから、ジャック達には知っておいてもらわないとな。

「……だから、こっちの世界では洞窟とかで宝箱見つけても開けちゃダメだよ。大体ミミックだから。気になったら、遠くから攻撃する事」

「「「はーい」」」

三人は素直に俺達がミミック退治に行ってきたと思ったようだ。

まぁ、嘘はついてない。

全部説明していないだけだ。

「そうだ、お仕事の事でカラスちゃんがお手紙持ってくるかもしれないから。受け取ったらベロニカに渡しておいてね、開けて読んじゃダメだよ」

念を押して、読んで知るフラグを潰す。

せっかく安全地帯にいるんだから、小粒は健やかに育ってくれ。

そんな風に思いながら、俺は料理の材料を調理場に並べた。

「……サナ、そろそろ包丁使うから降りろ」

「ちぇー」