作品タイトル不明
キ:翻弄されるオバケ達
オバケと戦う時って何したらいいんだろね?
そんな疑問を抱きながらボス戦に突入しました、デミ・レイスのキーナです。
なんか前にもこんな風に悩んだ気がする……あれはそう、かなり最初の頃に、拠点が死の海から上がってきたデカい蛇の骨のオバケちゃんに襲われた時だね。
懐かしいなぁ、あの時の僕は骨を炙ってガラスープ取るイメージが消えてくれなくてへっぽこになってたんだった。
で、確かフッシーの【煉獄の炎】がアンデッド特攻だったから、とりあえず今回もフッシーを出してバリバリ前線に出てもらってる。
「フーハッハッハー! 幽霊同士の戦いで不死鳥に勝てると思うな小童がぁー!」
「小賢しい! 不死鳥の一羽ごときでどうにかなると思うな!!」
解放したオバケ達もわちゃわちゃと向かって行っては吹き飛ばされて戻ってきて、また向かって行っての繰り返し。
ボスのレベルがそこそこ高いのを、フッシー&数の暴力でなんとか拮抗してる感じ。
そして僕は、男と同化してる猛禽オバケの風攻撃を【木魔法】のバリケード裏に隠れてやり過ごしながら……ひたすらMPポーションを飲む役です。いつもの!
でもねー、実際、オバケ対オバケの戦いって泥沼な気がするよ。
僕はデミ・レイスだから、つまり半分オバケなわけで……つまりオバケの弱点って、僕の弱点と同じなはず。
デミ・レイスの弱点は? はい、【光属性】ですね。
持ってないんだよなぁ〜! てかデミ・レイスになると持てないんだよなぁ〜!!
たぶんボスの野郎も同じだと思うんだよね……オバケ化したのがデミ・レイスみたいに生体に戻れるのか、それとも不可逆なものかは分かんないけど、【光魔法】は持ってないと思う。
んん~、なんか他に有効打無いかなぁ〜?
今までオバケと対峙した思い出を振り返ってみよう……
最初に会ったのは『霊蝶の群長』……追悼の花でなんとかした。倒してない。
次は拠点に来た骨の蛇……ヒドラみたいなやつに迎えに来てもらった&追悼の花で決着した。たぶん倒してない。
ネモは……なんか説得で終わった。倒してない。
オバケ屋敷はダークスライムがボス……オバケとは戦ってない。
大霊廟は追悼の花をぶちかます担当だった。僕は倒してない。
……あれ? 僕もしかして……オバケを倒した事がない!?
いや、いやいやいや……あー、あれ! 天使化した直後のフランゴ君は、監獄坑道にいた間は一応オバケ枠だったはず……いやダメだ! どっちみちあの時の僕はフランゴ君をからかい倒す担当だった! 攻撃らしい攻撃はしてない!
なんてこった! 僕ってオバケとろくに戦ったこと無いや!?
……いや、ホラー苦手だから当たり前かもしれない。怖いオバケがいる所に行かないもん。
まいったねぇ……フッシーの維持にMP使ってるから、魔法撃って消費するのも微妙だしなぁー……いや、フッシーがアンデッド特攻だからこれでいいのかな?
木のバリケードの隙間から、チラッと戦闘の様子を垣間見る。
体の左肩部分が猛禽のオバケと融合してるボスの姿。
……猛禽、だよね? なんか羽毛がウゴウゴしてて違和感あるけど……まぁそれよりも、気になるのはその融合スタイル。
「ねぇ皆」
杖に入ってる僕のオバケ達に訊いてみた。
「あんな風にオバケ同士で合体みたいな事って、僕も出来るのかな?」
「やめときな、オレ様なら絶対にゴメンだぜ」
すぐに反応したのはバンだった。
それに「うむ」って同意したのはコダマ爺ちゃん。
「やめたほうがよいぞ。魂の混ざり合いは喰らい合いになる」
「あっという間に死の海送りになるのがオチだ」
珍しくケタケタ笑いを引っ込めたネモが、さらにそれに追い打ちをかける。
「名前」
「カタチ」
「決めてるなら、ムリ」
「くっつくだけなら、ともかく」
「ヤメトキナ」
そんな僕らのやりとりが聞こえたのか、ボスの男は盛大な笑い声を上げた。
「貴様のような未熟者には土台無理な話よ! 我のように、【死霊魔法】を極めし選ばれた存在にしか成し得ぬ技なのだからな!!」
へぇ~……つまり、【死霊魔法】のレベルが上がったら出来るって事?
「……本当に?」
思わず疑問がこぼれ落ちる。
だって……うちのオバケは『レベルが上がったら出来る』って言い方はしなかったよ?
そのあたり、僕はうちのこを信用している。ギスギスが嫌いな僕ナイズされてるオバケ達が、嘘をついたり煙に巻いたりするわけない。
ネビュラだって、相棒の戦闘スタイルについてきちんとどうしたら出来るのかを教えてくれてたもん。
出来るなら、『今はまだ無理』って言い方をするはず。
……そんな僕の疑問は、すぐに答えが出た。
僕がポロリとこぼした……次の瞬間。
ピタリとボスの動きが止まって……男と猛禽の喉から不気味な声が同時に響いた。
「「……クカカッ! 勘のいい奴がいたか! ……まぁここまで浸食すれば今更疑問を得た所でもう遅い。ちと早いが、もうよかろう」」
色んな声色が混ざり合ったような不気味な声。
驚いた顔で、その声が出てくる喉を右手で押さえる男。
猛禽オバケは、そんな男の顔へグルリと頭を向けた。
……あ、瞼の中に目玉が3つある。
「グッ!? なっ……アッ……ば、馬鹿な!?」
「クカカカカカ! もう遅いわ、たわけが!!」
メキメキと羽毛部分が男の肌を覆い始めた。
猛禽がグワッと嘴を大きく開いて、恐怖に目を見開いた男の頭に喰らいつき……そして姿が大きな翼に隠される。
「……お友達じゃなかったかー」
「エサだったネ」
「カモ」
「忠臣、トハ」
「勘違い」
「まぁ宿主を食い殺すなどありふれとる事じゃからな」
「おう、よくある話だ」
うーん、弱肉強食。
モゴモゴウゴウゴしていた羽毛の塊は……バサッと大きな翼を広げて歓喜の雄叫びを上げた!
悪霊・ヌシ喰いラプター Lv78
ボス的には第二形態扱いかな?
完全に男を吸収したらしい大きな猛禽は、所々からヒトの一部が飛び出した禍々しい姿。
「クカカカッ!」と笑って力強く羽ばたくと、部屋中の物やオバケが吹き飛ぶような突風が吹き荒れた。
「うわわわわっ!?」
わー! 体が風に持っていかれるー!?
ギャー! キャー! と風で吹っ飛ぶオバケ達。
僕は慌てて木のバリケードに掴まったけど、体がグルンと回って宙に浮いた!
え、どうしよ……霊体化した方がいいかな?
でも即死回避に生体状態でいたいんだけどなー!
そこへ、聞こえた救世主の声。
(今どんな感じ?)
(相棒ー! 相棒ー!! 助けてー!!)
助けを求めたのと同時に手が離れた。
ああー!! 飛んでくー!
……そして腰に回された温かい腕。
「うおっ!? ……【ロッククリエイト】!」
【石魔法】で部屋の中に伸びる防壁。
僕は抱えられたまま、無風地帯に着地していた。
「……どういう状況?」
「ボス戦第二形態!」
慌てず対処できる相棒すごい! 好き!!