軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:行こうぜ鬱憤を晴らしに

「何をちんたらとやっておる!! さっさとそいつを片付けんかぁ!!」

はい、パズルゲーム中なう、キーナです。

禿頭の死霊魔法使いが荒ぶってるけど、魔法陣を囲んでる魔法使い達は『無茶言うんじゃねぇよ』みたいな顔してるのが見えるね。

どうもこの儀式中は魔法陣の中に入ったらまずいみたいで、誰も僕を物理的に止めに来たりはしない。まぁ当然といえば当然だけど、この収束してくる輪に当たったら封印されちゃうわけだからね。

だからって、攻撃魔法を僕に撃ってきたりもしない。

これはゲーム的にこっちが撃つまでは撃たないってルールなのか、それとも封印の邪魔になるとか魔法陣を壊したくないとかの理由なのかな? まぁ正面から相殺している僕としてはありがたい。

片手で相殺パズルゲームやりながら、もう片手でMPポーションを飲むと、周りの魔法使い達がうんざりした顔になった。

そろそろ反撃の頃合いかなー?

反撃の方法はパズルゲームしながら色々考えたけど、こいつら相手なら無難にこれでしょ。

インベントリから、もう1本の杖を取り出して、そっちを使って魔法を唱える。

「【ダブルクリエイト】!!」

【死霊魔法】と【草魔法】を両方使った火色の花。

大霊廟の時に使ったのと同じ、死霊魔法使いの支配を解き放つ魔法の花が、儀式部屋いっぱいに咲き誇る。

「うわっ!?」

「なぁっ!?」

ダラダラと相殺していたから不意打ちになったのか、魔法使い達は驚いた顔で自分達の所有している骨の籠が壊れるのを見ているだけだった。

途端、儀式の部屋を埋め尽くすように現れる、自由になったオバケ達。

動物もいればヒト型もいる。多種多様なオバケ達が、隷属から解き放たれた。

オバケ達も一瞬驚いた顔をしていたけど、すぐに憎き支配者がすぐ側で呆けているのに気付いて殺意に満ち満ちた顔で襲いかかる。

「な、なにぃ!?」

「ヒィッ!!」

「バカなぁ!?」

おーおー、死霊魔法使い達が自由になったオバケにボコボコにされておる。

……一応ひと声かけておこうか、聞いてくれるかどうかは分かんないけど。

「出来れば殺さないでおいてねー」

儀式はもちろん中断。

僕は劣勢なオバケがいたら加勢しようと思って様子見していたけど……きちんとMPを消耗させておけたのか、大きな魔法を撃って抵抗するような魔法使いはいなかった。

ただ、豪華なローブの禿頭男だけが、「チッ」と舌打ちをして部屋から逃げていくのが見えた。

うーん、アイツは追いかけて叩かないとダメって事だね。

……さて、そろそろ仕返しタイムは終わったかな?

なんて呑気に考えていたら、喉元にシュッと剣の切先。

怖っ!

ちょっとピャッとなったよ! やめてよ!

剣の持ち主は、鎧を来ているヒト型の騎士みたいなオバケ。

……本国から連れてきたオバケなのかな。

「……貴殿も死霊使いなのだろう。我らを解き放つとは、何のつもりだ?」

「何って……とりあえず儀式が中断されてシッチャカメッチャカになればいいなーって」

騎士オバケが困惑した隙に、さっき僕を運んできた蛇オバケちゃんが「シャーッ」と怒った声を出して僕と騎士オバケの間に割って入ってくれた。

……周りを見ると、騎士と一緒に僕を警戒してるオバケが全体の三割くらい。そして四割が僕の側で警戒チームに怒ってて、残りはボコボコにした死霊使いを踏みながら成り行きを見守っている。

「……どうせ貴殿も、口ではああ言いつつも、我らを隷属させるつもりであろう」

「え、ヤダよ。そういうのキライ。帰りたかったら帰っていいよ?」

マジで状況打破の他には用事無いもん。

今回は魂呼びの魔女さんの協力が無いから、本国の方に帰れるかはちょっとわかんないけど……流石にそこまで僕は責任持てないし。

「死の海行きの蝶々なら呼べるけど……欲しいオバケいるー?」

あ、何体かお返事した子がいるね。

そういう子のために、『霊蝶の群長』を召喚して海に送ってもらう。

「バイバーイ」

「……では、本当に隷属させる気は無いと?」

「無いねぇ。……というか、今から相容れない親玉を殴りに行く気満々なんだよね。僕が気に食わないなら別にそれでもいいけど、解放した事に免じてこの場で僕を攻撃するのは勘弁してくれない? 殴りに行けなくなっちゃうから」

そう言うと、周りの残ったオバケ達が『いいぞいいぞ!』って感じに沸き立った。

「お、皆も一緒に行く? 無理だと思ったら無理しないで逃げていいからね」

ウオオー!と雄叫びを上げるオバケ達。

それを見た騎士オバケと他の警戒側のオバケ達は……毒気を抜かれたみたいにチリチリした雰囲気が霧散した。

「……助けていただいたにも関わらず、無礼を働き申し訳ない。どうか、私もその進軍にお供させてはいただけまいか」

「いいよー、奴隷扱いだったなら人間不信になってても仕方ないでしょ。パーッと鬱憤晴らしに行こうぜ!」

ウオオオオオーッ!!と雄叫びを上げるオバケ達。

うんうん、敵の敵は味方って事でいいじゃない。

たぶんこの好感度の上がりやすさは、僕がデミ・レイスだからかな。

でもその前に……僕はボコボコにされた死霊魔法使い達をオバケ達にまとめてもらって、その間に相棒に念話で一報入れる事にした。

(相棒、いまどんな感じ? 忙しい?)

(いや、大丈夫)

すぐに返事が来る。ちょうど余裕のある時だったのかな?

僕が説明する前に、相棒の方から質問が飛んで来た。

(今どこで何してた?)

(んー? なんか地下室っぽい所で死霊魔法使いに儀式されそうになってた)

(死霊魔法使い? ヴァンパイアの組織じゃなくて?)

(ヴァンパイア関係ではないと思うよ? お前死霊魔法パクっただろーって切れ散らかしてたもん)

ついつい脊髄反射でやりとりしてキレさせた事は内緒。

(相棒はヴァンパイア関係の所にいるの?)

(そう、捕まってる被害者を助けてくれって言われた)

おや、そうなの?

もしかして人手が欲しかったりするかな?

(僕、指輪でそっち行ったほうがいい?)

オバケ達が盛り上がってるから、『やっぱりやーめた!』はしたくないけどね。でも相棒とその他を天秤にかけたら僕は相棒を取ります。

(いや、スニーキングしてるからソロで平気。……こっちに来れるの?)

(行こうと思えば? でも出来ればここのアジト潰しちゃいたい)

(ほう……勝算は?)

(皆めっちゃ張り切ってるからイケるイケる!)

(……そっかー)

うん、大丈夫そうだね。

というか、スニーキングミッションだったら僕は逆に足手まといだわ。

大人しく自分の方の攻略しまーす。

(じゃあ行ってくるね、愛してるよー)

(うん、俺も愛してる。何かあったら言って)

(はーい)

うん、好き。

さーて、相棒も頑張ってる事だし……僕も行きますか!

まずは杖が空っぽだから、オバケ達を呼んで杖にイン。

前はログアウト直前だったから、拠点に置いてきてたんだよね。これでいつもの戦闘スタイル。

後は……実は体を持ったジャック達も従魔みたいに召喚で呼べるらしいってwikiのまとめで最近知ったんだけど……今呼ぶと、拠点が空っぽ気味になっちゃっておチビちゃん達が心配だから、やめておく。

「よーし……オバケ諸君! 酷使してた奴らをぶっ飛ばしたいかー!?」

「「「「「オオオオオー!!」」」」」

うん、良いお返事。

ちょっと注目浴びてハラハラしちゃうけど、それを補って余りあるくらい僕のテンションも上がり始めたぜ!

「よろしい! では、即席オバケ軍団! 突撃ぃー!!」

ここの道程とか何もわかんないから、完全に行き当たりばったりの行軍だけどね! 片っ端から蹂躙していけば関係なかろうなのだー!