作品タイトル不明
ユ:救出ミッション開始
捕まっていた檻部屋を出た俺は、2階下がった所に窓のある物置部屋を見つけてそこに入った。
光学迷彩マントはじっとしていれば完全に見えなくなるから、ここで貰った見取り図と周辺の確認をする。
……キーナの方はどうなってるかな?
繋がるかどうか分からないが、念話を飛ばして確認してみるか。
(そっちどう?)
(パズルゲーム中。ごめん、返事できないかも)
(……わかった。俺もクエスト来たからしばらくそっち行けない)
(うい、たぶん大丈夫)
……わからん。けど、死に戻ってはいなさそうだから何か抵抗はしてるんだろう。
問題は……キーナがいるのが、同じ建物内なのか、まったく別の所なのかが分からない事だ。
同じ所で別の部屋に運ばれたのか、それともまったく別の土地に運ばれたのか、判断がつかない。
合流したい所ではあるが……救出対象のNPCを助けてから探してみるか? もしくは、向こうが落ち着いて念話が飛んできたらどんな所にいるか確認するか……うん、救出対象のNPCを探してる内に念話が来そうな気がするな。それなら俺は俺で動こう。
俺が捕まっていたのは高い建物の上の方。見取り図と照らし合わせると、たぶん塔だな。
分厚いカーテンのかけられた窓から見える景色はそれを裏付けるように、眼下に建築中の建物部分が見えた。
……見取り図にもあちこち建築中の記載がある。城でも建ててるのか?
建物の周囲は岩山のような壁に囲まれていて、それより外は見えない。青空が眩しいな。
建物は黒っぽい石造りだから、夜だったらヴァンパイアが似合いそうな雰囲気になるんだろう。
見取り図に書かれた印によると、救出対象がいるのは地下。
そして、出口と書かれているのも地下だ。
どっちも見張りがいるらしい。それはそう。
「……とりあえず被害者を助けに地下行くか」
「分かった」
ネビュラと同化して物置を出た。
「……【ダークネスクリエイト】」
小声で魔法を詠唱。足に消音の魔法をかけた。
薄暗い建物内で階段を目指し、下へと降りていく。
【感知】で気配を探りながら、程々の早さで進んだ。
……1人。
気配が引っかかる。
ちょうど通る廊下のド真ん中で、木箱に座って欠伸をしている男。
「【ダークネスクリエイト】」
唱える【闇魔法】で影に侵入。
男の背後から出現。
さっき渡したのと同じ失神する粉末を手に、相手の口を強く抑えた。
「っ!? むぐ〜……」
対象は脱力。
気を失ったのを確認してそっと床に下ろす。
よし、上手くいった。先を急ごう。
その後も何人か通路にいたから、同じ方法で失神させながら進んだ。
時折、強靭が高いのか粉末だけで落ちない奴がいたから、そういうのは【雷魔法】をスタンガンのように撃ち込んで意識を刈り取った。
そうして慎重に……けれど速さを意識して進んで行くと……状況が落ち着いたのかキーナから念話が飛んで来た。
(相棒、いまどんな感じ? 忙しい?)
(いや、大丈夫)
すぐに物陰に身を隠して念話に集中した。
(今どこで何してた?)
(んー? なんか地下室っぽい所で死霊魔法使いに儀式されそうになってた)
(死霊魔法使い? ヴァンパイアの組織じゃなくて?)
(ヴァンパイア関係ではないと思うよ? お前死霊魔法パクっただろーって切れ散らかしてたもん)
って事は同じ建物にはいない可能性が高いか……そうなると、さっさと救出を完了しないとな。
(相棒はヴァンパイア関係の所にいるの?)
(そう、捕まってる被害者を助けてくれって言われた)
(僕、指輪でそっち行ったほうがいい?)
(いや、スニーキングしてるからソロで平気。……こっちに来れるの?)
(行こうと思えば? でも出来ればここのアジト潰しちゃいたい)
(ほう……勝算は?)
(皆めっちゃ張り切ってるからイケるイケる!)
(……そっかー)
皆? 拠点のオバケでも呼んだのか?
……まぁ、張り切ってるなら好きに暴れてくるといい。
(じゃあ行ってくるね、愛してるよー)
(うん、俺も愛してる。何かあったら言って)
(はーい)
念話を終了……した所で、遠くから悲鳴と怒号が入り混じったような喧騒が聞こえた。
……少しのんびりしすぎたか? 失神させたNPCが見つかったのかもしれない。
バタバタと複数人が走る足音が、隠れ場所の近くを通過する。
……だが、方向を見るに、目的地方向からヒトがこっちに来ているようだ。これなら地下が手薄になっているかもしれない。
見取り図に描かれている出口の通路がやけに細長いのが気になるが……まぁ行ってみればわかるだろう。