軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:気になる夢を見たので

「……って感じで、これだけお土産に持って帰ってきた。【夢魔法】が覚えられるキノコ」

「……うん、ありがとう」

またちょっと目を離したら変なもの見つけて帰ってきたな……

俺はキーナからキノコの欠片を受け取った。

「胞子はしっかり落としてきた?」

「うん、軽く死の海に潜ってきた」

消毒用プールかな?

ネビュラが『ヒトの子よくわからぬ』って顔をしている横で、俺はお土産のキノコを食べた。

──【夢魔法】スキル取得

「うん、覚えた」

「イエーイ」

「……で、これ結局どういう魔法?」

「えっとね、レベルが低い内は、寝てるヒトの夢の中に入ったり、悪夢デバフをちょっと緩和したりする魔法」

「レベルが上がると?」

「無理やり夢に引きずり込んで眠らせたり、夢魔が現実で動けるようになる領域を展開するとか……あと前に僕がパクリンちょされた巨大ウツボカズラいたじゃんすか」

「うん」

「アレみたいに、夢に捕まえてる敵のステータスを自分に加算したり出来るようになるって」

「へぇー……悪夢デバフの完全キャンセルは出来ない?」

「ダブルクリエイトで【夢魔法】を混ぜるとデバフ完全キャンセル状態の魔法になるって。デバフ完全キャンセルをバフとしてかけられるようになるのは、だいぶ高レベルになってから、らしいよ」

「なるほど」

「まぁザックリとだから、まだ何か出来る事はあるかもだけど」

夢に特化している魔法だ……まぁ、【夢魔法】だしな。

これ1本でやっていけるような魔法ではない。あればいざって時に困らない魔法って感じか。

それにしても……

「……そんなに詳しくわかるチュートリアルがあったんだ?」

「ううん、無いよ」

「ん?」

「そんな親切な物は無かった! カタツムリちゃんの案内先にあったのは、揺り籠の木の時みたいに、地下のキノコの根っこの中で夢を見てる誰かの影だけ!」

「……じゃあどうやって確認したの?」

「その影の夢に入って、ペタちゃん呼んで訊いた」

「ああ……」

そうか……確かに夢魔はプロフェッショナルか。

しかし【夢魔法】も、【召喚魔法】みたいに『求めないと覚えられない魔法』なんだな。

しかも、立地と幻獣の仕様を考えると、【召喚魔法】よりも見つけにくくなっている。説明が投げっぱなしなあたり、とっつきやすさのハードルも高い。

どうやってスキルレベルを上げたものかと考えていると、キーナがちょいちょいと袖を摘んで引っ張った。

「それでね? キノコを通して誰かの夢に入ったんだけどさ……あ、一応変装はしてたんだけどね? ……とある夢がめっちゃ気になったんだよね」

「どんな?」

「なんかね……『世の中に馬鹿が多すぎる』とか『全ての馬鹿も積み重ねれば少しは役に立つだろう』とか『この、夢からのアプローチはその偉大なる第一歩なのだ』とかブツブツ言いながらデカい鍋かき混ぜてる誰かの夢」

「分かりやすいヒントだな?」

説明口調すぎる。明らかに何かのフラグだ。

「俺達と因縁のある死霊魔法使いだった?」

「ううん、たぶん違う。骨の籠も持ってなかったし。変装してた僕を見て『誰だ!?』って言ったから」

「あ、見つかったんだ? ……見つかってどうした?」

「え? 敵対判定だったからペタちゃんで倒した。どうせ夢だし」

「だよな」

夢から覚めるだけだから、そこは遠慮はいらないよな。

「たぶんだけど……キャトナちゃん達を誘拐してた所とも違いそう? なんていうか……服の雰囲気が違った」

「……名前とかはわかった?」

「ちょっと待ってね、メモしたから……」

「えらい」

「……あ、これだ『テオドラシス』。確か『この錬金術士テオドラシス様が〜』って高笑いしてた」

「なるほど、錬金術士なんだな」

死霊魔法使いは死霊魔法使いだし、獣人の組織とやらは錬金術士って感じの雰囲気はしていなかった。

……って事は、ムービーに出てたヴァンパイア関係ともさらに違う組織か? いくつあるんだ。

「でね、思ったんだけどさ……僕らって、買い物以外であんまりピリオ行かないじゃん? 冒険者ギルドでクエスト受けたりも全然しないし」

「うん、用事無いと行かないな」

「で、拠点は異次元な場所にあるじゃん?」

「だな」

「って事はさ……今回みたいなヒント出しが、ゲーマスAIちゃんからの精一杯のアプローチなのかなって」

まぁそうかもしれない。

あとは城からの指名の依頼とかか?

「ってなるとさ……僕ら、そろそろ自分からヤバい組織撃退に動いた方がいいのかなーって思ったりしたの」

「ほう」

「城に引き渡した敵組織のやつらは情報出たら教えてくれるとは言ってたけど、知らない内に他の色々が動いて知ってるNPCが死んだらイヤだなぁーって考えてはいたじゃん? だから……何かしたいなぁって」

「なるほど」

具体的にヤバい組織が動いていそうな情報が出てきたから焦ったか? キーナは少し不安そうな顔でうろうろと視線を彷徨わせている。

「でも何からすればいいかな?」

「そうだなぁ……」

まぁ闇雲に走り回った所で見つかるわけがない。

後、変に焦るのもよくないだろう。

状況は大きく動いていないと思う、動いていたら掲示板はもっとお祭り騒ぎになっているだろうからな。

と、なると……いま具体的に出来る事で、有効かつ実感が湧くのは……

「……城とかで情報収集かな」

「なるほど」

夢の中で見た内容も、ついでに報告するといいんじゃないか。