軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:イベントの終わりと、チビっ子達の穏やかな生活。

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キャトナちゃんの呪いが解けてひと安心しつつのんびり過ごしていたら……バレンタインイベントが終わりました。

まぁチョコレート素材はそれなりに確保していたから問題無し。

イベントストーリーは公式動画が何回か出て、本当に絶対聖母コマドリさんが人気争いに参戦していた。

そして三人でチョコレート工場に乗り込んだ結果、コマドリさんのレベルが高すぎてダンジョンの敵レベルがかなり上がってしまい、それによってVアイドル二人がもみくちゃになった。

最終的に、それを涼しい顔で片付けたコマドリさんをお姉様と呼ぶようになり。

たくさん集まった『チョコットラブパワー』によって、『チョコレートファクトリー』は再びエンジンが点火。

『チョコットット』はVアイドル二人とコマドリさんに見送られながら別の世界へと旅立っていきましたとさ……めでたしめでたし。

「来年もコラボしたら、また墜落するのかな?」

「……かもしれない」

季節イベントの宿命だね。

チョコットットに安息は来るのか。

* * *

そんな感じでバレンタインイベントを見送りつつ過ごした数日。

サビ猫ちゃん三兄弟も呪いが解けて本当の意味で安堵したのか、ポツポツと今までどんな生活を送っていたのか話してくれるようになった。

なんでも、亡くなった両親はキャラバンの一員で護衛を担当していて、子供達もそのキャラバンと一緒に旅をしている生活だったらしい。

小さいのに身の回りの事はだいたい自分できちんとしてくれるのは、自分の事を自分でしないといけない旅生活で躾けられたからみたいだね。

危ない植物も、教えたらすぐに覚えて近付かなくなった。一応危険な野菜とかは柵で区切ったりもしたけど、そこまでいらなかったかな?

うちはヒト族の大人NPCがいないからその辺が少し心配だったけど、これなら僕らがログアウトしている間も大丈夫。

そのキャラバンは崖崩れに巻き込まれて半壊しちゃって、生き残りは解散。他に親戚のいなかったこの子達は、異世界の孤児院へ……って流れだった。

だからなのかこの子達は、防壁の外に行きたいみたいな事は言わない。

誘拐もされちゃったし、ちょっと街の外が怖くなっているのかもしれない。

時々相棒がジャック達もまとめて勉強を教えているけど、それも娯楽になっているのかとても素直に授業を受けている。

そうしてのびのびと暮らしていると、だんだん個性とか興味の違いとかが浮き彫りになってきた。

一番活発なのはサナ君。

ダンスィな一面が出てきたようで、敷地内を走り回ったりリンゴの木や家の木に登ったりして遊んでいる姿をよく見る。

猫の獣人は生まれつき【跳躍】が高いらしくて、高所から落ちても平気みたいだから、ちょっとハラハラするけど見守る事にした。

相棒が作った木刀でキャトナちゃんとチャンバラやってるのをたまに見る。

「おにいちゃん、ボクも弓でたたかえるようになりたい!」

有志wikiによると、子供のNPCは、仲良くなるとプレイヤーに憧れて同じ事をやりたがる子が出てくるんだって。

言われた相棒は少し考えてから、サナ君にパチンコを渡して的を作った。

「本物の弓はまだ危ないから、それで的あての練習からしような」

「わかったー」

相棒は、サナ君がジャック達とドタバタ騒がしくしているのを眺めて、本格的に敷地の拡張を検討している。

対してお姉ちゃんのキャトナちゃんは、少し気が抜けたというか、張り詰めていたモノが切れた感じで、ぽやんとする時間が増えた。

朝とかご飯の時とかはキリッとしてお姉ちゃんやってるんだけど、弟妹がそれぞれ好きに過ごし始めると、オバケ達の所でネビュラにくっつきながら話を聞いたりしている事が多い。

僕らがいる時は、たまに僕らの所にやってきて特に何を言うでもなくグリグリと頭を擦り付けてくる。猫っぽくて可愛い。もしかしたら甘えてるのかもしれない。そういう時はわしわしと撫でると満足した顔をして去っていく。

興味があるのは畑と家畜。

今までが旅をしていたキャラバンなら接する機会は少なかっただろうから、面白いのかな。世話の手伝いをして楽しそう。

耳が出る麦わら帽子を作ってあげたら、嬉しそうに被っていた。

後はサナ君と一緒に戦闘の訓練。

キャトナちゃんの戦闘技術は両親に教わっていたものだから、サナ君にもちゃんと教えてあげたいんだって。

呪いが解けて身体能力が元に戻ったから、相棒と訓練するとアッサリ相棒に負けちゃって、そこはちょっと不服そう。

ネビュラに見守られながら、用意した体術用の的をポカポカと攻撃しているのをちょいちょい見かける。

そしてキャトナちゃんは意外にも、【光魔法】を覚えたいって言い出した。

「サナとナナがケガをした時に治してあげたい」

うん、やっぱりキミは甘えられる相手が出来ても、お姉ちゃんなんだねぇ。

図書館で事情を説明して写本を作り、キャトナちゃんに読ませて、彼女は【光魔法】を習得した。

夜の灯りや光学迷彩マントのチャージ、後はサナ君の擦り傷なんかを治して少しずつ訓練している。

そしてサビ猫三兄弟の中で、一番のインドア派がナナちゃん。

ナナちゃんは僕がコレクションしていた絵本を子供部屋に置くと嬉々として読んでいた。たまに絵本を片手に僕に読み聞かせをせがみにやってくる事もある。

僕らがいない時は、もっぱらマリーの作業場に入り浸って針仕事や編み物を教わっている。

手芸が好きなのもあるだろうけど……どうやら動くお人形が気になるみたい。

自分で戦う事にはとんと興味が無いみたいだし……人形使いみたいになったら護身にもなるかなと思って、マリーより少し小さめなお人形をここの森の木で作ってあげた。

「大事に仲良くしていたら、いつか精が生まれてマリーみたいになるよ」

「ほんと!?」

女の子のお人形だけど、服は簡単なインナーみたいなモノだけ。そうしたら、ナナちゃんはマリーに教わりながらせっせと人形のお洋服を作り始めた。

どこへ行くにも抱っこして持ち歩いているから、割とすぐにお友達になるんじゃないかな。

そうして過ごしていると、拠点襲撃が1回あった。

ウェーニンさんに頼んで光学迷彩のケープを作って貰い、それの使い方を教えて渡してあったから、三人は襲撃の間は言い含めていた通りそれを使って地下室に籠もっていた。

終わって迎えに行ったらホッとした顔で三人ともしがみついてきたけど、これはもう何処に住んでも同じだろうから、この世界に生きる以上は慣れてもらうしかないね。

そんな感じで、避難してきた三人は、順調に僕らの拠点に馴染んでいった。

「なんか、なんだかんだでこのままここに住みそうだよね」

「……俺は割とそのつもりだった」

「あ、そうなの?」

もう情が移ってるじゃんすかー、まぁ僕もだけどさ。

もしも悪い組織の事が片付いた後も三人がそのまま住みたいって言ったら、断る理由は特に無いよ。