作品タイトル不明
キ:コカトリス狩りの準備をしよう。
さて、呪いを解くのにコカトリスの肉が必要なら、まずはコカトリスを探さないと話にならない。
と、いうわけで僕達は……まずログアウトして集合知に頼る事にした。
「雄夜えも〜ん、コカトリスについて教えてよぉ〜」
「有志wikiで検索しなー」
検索バー万歳。
『コカトリス』で検索すると、デデン!と該当モンスターが表示された。
「ふむふむ、一番近い生息地は、砂漠の向こうの山岳地帯……主に水場の近くにいる……ちょっと探すの大変そうだね?」
「だな……でもリスポーンするダンジョンが無いから、フィールドで探すしかない」
「……類似品ならダンジョンにいるっぽいのにねぇ」
「どれ?」
「この『コカチョリス』と『コカピョリス』」
「いやぁ……多分ダメじゃないか? ……てかなんだこのチャラいコカトリスとヒヨコのコカトリス」
似て非なるコカトリスもちょっと面白いんだけど……今はキャトナちゃんの解呪が最優先。
「コカトリスは……うわ、物理は爪でもクチバシでも何の攻撃貰ってもジワジワ石化していくのかぁ〜。近接泣かせだねぇ」
「……石化回復薬はレシピが見つかってるんだな。じゃあそれは探してから行こう」
「最寄りの街はー……あー、前にダンジョン召喚したサラサオアシスが最寄りなのかぁ」
「だな、山の近くに開拓地はあるけど入場許可がない」
これは死に戻ると面倒なやつですよ。
出来れば1回で目当てのブツを手に入れたい所。
「コカトリス素材は需要はあるけど……立地が悪くて誰も通わない感じだな」
「通った所で石化モンスターだからしんどいしねぇ」
「うん、稼ぎが苦労に見合わない」
そんな状態なら、お肉の流通は望み薄。
しかも今ってバレンタインイベント中だから、余計にイベントダンジョン以外は過疎ってるだろうし。
「後は注意する事ある?」
「んー、弱点属性は特に無し、レベルは30ちょいだから特に問題無し……他に生息してる他モンスターがカエル系とスライム系で……毒の対策も必要かな」
「オッケー、じゃあそれも薬探して買ってから行こうか」
毒は肉体デバフだから、僕は霊体化すれば効かないけど。でもワンパン死を防ぐためにも未知の場所では霊体化は出来るだけ温存したい。と、なると、お薬大事。
「後は……wikiの最終更新日が秋だから、ここに書いてない変化とかがあるかもしれない」
「おおん、そんなレベルで過疎ってる地域かぁ……もしかしてゲーマスAI君、解呪方法が簡単な代わりに、手間でクエストのバランス取ってきた?」
「そんなことある?」
「または『そろそろ遠出しよっか^^』って言ってきたか」
「ならず者のアジト行っただろ……」
あそこは遠出には入らないと思うなぁ。
* * *
と、いうわけで、再ログインして遠出の準備。
変装状態で遠出するつもりだから、二人揃って変装して買い物へ。
何はともかくデバフ対策の薬を買わないと話にならないからね。目的地は薬屋さん。
それも今回は露店広場じゃなく……ピリオノートのプレイヤー街にある薬屋さんへ行ってみる。
……っていうのも、石化対策の薬はNPCの店では売っていなくて、プレイヤーの錬金術士も売っているヒトはあんまりいないらしいのだ。
薬の売れ筋は、やっぱり普段からゴリゴリ使う物の方が需要があるわけで……ってなると石化してくる敵なんて面倒な相手、普段からゴリゴリ狩るヒトってあんまりいないから……
結果、需要は少ないのに無いと困るっていう、困った立ち位置にいるのが石化対策薬。
「『でもご安心を。そんな冒険者の皆様のため、ドラッグストア・パピルスは各種対策薬を取り揃えております』……って新聞に広告が出てる」
「パピルスさんなんだよなぁ……」
そうです、あの商人さん、なんと開拓勢なのにピリオに土地を買って、薬のお店を出しているのです!
ピリオノートの冒険者ギルドに、パピルスさんが素材集めと製薬のクエストを常設で出してるんだって。
で、集まった薬を在庫として持ってて、ドラッグストアで必要なヒトに売っている、と。
場所がピリオだから分かりやすいし、需要が微妙な薬だけを扱ってるから初心者も助かるし、これが上級βプレイヤーのガチ商人って感じ。
「……あ、見た目は普通の西洋ファンタジーなお店だ」
「さすがに名前通りの現代風ドラッグストアは無理がある」
ピリオノートのプレイヤー街、大通りからは少し外れるけど、門からは近いっていう位置にお店はあった。
石造りでガッシリとした丈夫そうなお店は、入り口の横に鉢植えならぬファンタジーな鍋に花が寄せ植えされていてなんとなく可愛い。
ドアを開けると、カランカランとドアベルが鳴る。
建物の大きさに対して、店内は意外と狭い。カウンターが入ってすぐの所にあって、あとはちょっと待つためのソファがあってそれでいっぱいな広さ。
カウンターに店員さんがいて、その後ろに頑丈そうな扉があるから……店のほとんどが倉庫なのかな? って事は、店員さんはプレイヤーじゃなくてNPCなのかも。
「いらっしゃいませー」
にこやかな笑顔のおねえさんに、必要な薬を告げると、奥からその通りの物を持ってきてくれた。
リリーを支払ってお買い上げ。
「ありがとうございましたー」
(……なるほど、のんびり品揃えを見るための店じゃないんだね)
(必要な相手に必要なアイテムを売るための店って感じだな)
まぁおかげで、コカトリス狩りに行くための準備はスムーズに完了したよ。