軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:クリア後、孤児院でまったり

「お二人のおかげで、誤解されずに想いを伝える事が出来ました。重ね重ね、ありがとうございます。ささやかですが……感謝の証にこちらを」

【比翼が彫られたブローチ】…ユニークアイテム

求める甘さを見つけられず、勧められるまま買った縁起物。

所持していると恋愛が絡んだクエストに関わるNPCからの好感度に微量のボーナスが入る。

──称号『恋苺の使者』を取得しました。

わぁい。

クエストが大成功扱い判定だったみたいで、ユニークアイテムのご褒美と称号が貰えたよ!

アイテムはバレンタインイベントの報酬だからなのか、全力で恋バナに関する効果がついてきた。

そして称号に至っては、別にストロングハートベリーは恋愛特化のアイテムじゃないのに、僕らが恋愛関係にしか持ち出さないもんだから『恋苺』なんて称号名になってしまったよ。

……これ、前に相棒がお城でプロポーズの応援に苺配った延長だと思うなぁ。僕は完全に巻き込み事故だね!

「あらそんなこと無いと思うわよ? 慌てて誤解されるようなムーブかました男の口にこの苺叩き込んだ手腕はお見事だったわぁ」

「そうですかねぇ?」

「そうですとも! そうですとも! 素晴らしい絆の結びっぷりだったわ!」

はい。

そんなわけで僕らは、カップル成立のおめでたいテンションのままオネェの戦隊ピンクさん&フクロウちゃんと合流して、色々お話をしていたりする。

場所は移動して孤児院。

孤児院の様子を見たいのと、そこでホットチョコレートの屋台を出して、孤児院の子供達には無料でご馳走したいって相棒が希望したのでここに来た。

戦隊ピンクさんは、僕らがクエストを受けていたデビット君のお相手のナフローラちゃんからチョコレート調達の依頼を受けていたんだって。

デビット君の誤解ムーブで飛び出しそうになったけど、クラウチングスタートを切る前に僕のストロングハートベリーが炸裂したから様子を見ていたらしい。

カップル成立した事で戦隊ピンクさんの方も大成功扱いになったみたいだから、そのお礼を僕らに伝えに来てくれて、その流れでイチゴの話になった。

甘〜いホットチョコレートの香りが漂い、ちびっこが駆け回る庭先で。

せっかくだから、戦隊ピンクさんにストロングハートベリーをまとめて何個かあげることにした。

「あらこんなに、ありがとう。特に恋愛関係の効果があるわけじゃないのね」

「ですねー」

「……もしかしたらプラセボの可能性も」

「ふふ、そうかもね。でも、ちょびっと勇気が出るならなんだっていいのよ」

一応、特殊な環境で育った物だから、他の場所で育つかは分からない事は伝えておいた。

「じゃあうちの畑マニアにはナイショにしといた方が無難ね」って戦隊ピンクさんは笑ってた。そうだね、見たことない作物を育てられなくてノイローゼになったりしたら困るし。

戦隊ピンクさんはフクロウちゃんと一緒に恋愛関係のクエストを受ける事が多いらしいから、きっとイチゴも活躍してくれることでしょう。

「ありがとう。何か力になれることがあれば、声をかけてちょうだいね。戦隊で駆けつけるわ!」

「それ勝確じゃんすか」

「……心強いなぁ」

そんな感じで、戦隊ピンクさんは去っていった。

僕らの話が終わるのを待っていたのか、またひとり子供がテテテテッと寄ってきたので、ホットチョコを入れて渡す。

「はい……これ飲んで元気にお手伝いしような」

「うん!」

ホットチョコレートを飲んだ子供達は、柔らかそうなぷにぷにほっぺが温まって赤くなっている。健康そうでなにより。

あ、ホットチョコレートは孤児以外は有料です。

寒いし、珍しいからか割と通りすがりの人も買っていく。売り上げはそのまま孤児院の募金コーナーへインする予定。

そうして戦隊ピンクさんが去ってからものんびりとしていると……ひょこっと勝利の女神の聖女さんが顔を出した。

「こんにちはー」

「……こんにちは」

「先生方! お久しぶりです」

もう完全に僕らが先生になってしまっている……

勝利の聖女ちゃんは、笑顔で挨拶をしてくれたんだけど……少し眉を寄せてキョロキョロと周囲を見渡した。

「? 何かあった?」

「いえ……何やらよくない気配を感じたもので」

はて、よくない気配?

僕が首を傾げていると、相棒もフッと明後日の方向に顔を向けた。

「……いい加減鬱陶しいな」

「心当たりが?」

「えー、無いよ?」

「……いやあるよ。アレだよ」

声を潜めて「死霊魔法使い関係」って囁いた相棒の言葉で、僕はようやく思い出した。

「ああ! そうだった。歩く時は一応通る道とか気を付けてるけど、到着すると忘れちゃってた」

「忘れないで……俺の【感知】にはちょいちょい引っかかってきてるから」

「マジかー」

不安そうな顔をしている勝利の聖女ちゃんに、一応【死霊魔法】関係の事情を説明する。

偶然【死霊魔法】の習得に辿り着いて、それがきっかけで本国の死霊魔法使い達が一斉検挙された事。

「だからまぁ……僕が逆恨みされてるって事になるのかな」

「……うん。相棒が狙われっぱなしなのもイヤだし、そろそろ何か手を打つか……」

すると、聞いていた勝利の聖女ちゃんがちょっと言いにくそうに口を開いた。

「……おそらくですが、既にお二人共両方がターゲットになっているかと」

「え?」

「……ん?」

「いえ、初めは確かに魔女様だけだったでしょうが……揃いの衣装を着ていつも一緒となれば……」

あー、まぁそうだよね。

敵がニコイチだったら、セットで敵判定になるよね。

「……って事は、相棒じゃなく、俺が1人で出歩いてても襲われるかもしれない?」

「おそらくは」

ふむ、そろそろそっちも何かした方がいいのかもねぇ。

……相棒も、何か考え付いたみたいだし。