軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:ピリオ近郊の農場と装備

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メッセージによれば、カステラさんと夾竹桃さんは、β勲章パワーで無事に魔術師団長と連携が取れたらしい。なんだかんだ強いよな、β特典。

カステラさんは面倒だから魔術師団長にはさっさと正体を明かしたそうだ。夾竹桃さんは面白そうだからって謎の呪術士のままらしいが。

で、2人が言うには、せっかく呪術士なんていうプロフェッショナルが手駒になって呪いをいつでもどうにか出来るようになったから、あえて解呪せずに敵を油断させながら反撃の準備をする方向にシフトしたらしい。

あれだけ睡眠障害なんてしんどい思いしたのに、抵抗出来るようになったからってそのままか……よく平気だな? 俺だったら普通に寝たいぞ。

丸投げした俺達はひとまず元通りの日常に戻った。

投げた手前、一応今回の件が噂話で広まってたりしていないかスレだのwikiだのを確認していたが……そういう心配は無さそうだ。

今日の新聞も、魔術師団長だの呪いだのなんて一言も出てきていない。

『秋は長い冬に向けての最後の準備期間なので、農業系の依頼がギルドに増えてますよ』みたいなのがトップ記事になっているくらいだ。

……そんなわけで、今日の俺達は変装無しで冒険者ギルドへやってきていた。

そう、トップ記事になるくらいには、ピリオノートで農業系のクエストを大々的に募集していたからだ。

その原因は、『冬がクソ長い』から。

ピリオノートの季節はリアルに合わせている。

そしてゲーム内世界は時間の流れる速さがリアルの3倍。

つまり、冬の長さも3倍になる。

今のところ、どの地域の冬がどんな感じになるかはわからない。

わからないが……生息している動植物の特徴から、『なんとなくこの辺は寒くて、この辺は熱帯とかなんじゃないか』っていう予測は立てられている。

それによると……ピリオノート周辺は、たぶん普通に冬は雪がそれなりに積もると思われるらしい。

いざとなれば本国からの食糧支援はあるらしいが……出来れば広大な開拓地から本国を潤したいのが王国の方針らしいから、そうなると本末転倒なわけだ。

もしかしたら将来はこっちが本国になるのかもしれないが……そんなのはまだまだ先の事。

なので、秋野菜専用農場を作り、祭のご馳走と冬に向けての備蓄を増やそうという作戦らしい。

「農家さん大活躍の季節って事なのかな」

「まぁ秋だしなぁ」

秋も長さ3倍だからな……この世界。暑くも寒くもない時期が長く続く。

リアルの作物が突然そんな環境になったら色々おかしくなるんだろうが、まぁゲームだからな。そもそもゲームだから作物が実るまでが短いし。

あれだ、牧場系ゲームによくある『季節の野菜はその季節内で育てる』ってやつに近い。夏に育てて秋に収穫じゃなくてもいいんだ。夏の暑さが無くても作物はグングン育つ。

冒険者ギルドのクエスト掲示板には、『新規畑の開墾』や『種まき』『草取り』『収穫』みたいなクエストが目白押しだった。『畑の害獣駆除』なんてのも、もちろんある。

ピリオノートには、防壁内に小規模な畑があるだけだ。

新鮮さが命の葉野菜なんかを主に育てていて、穀物や芋なんかは開拓地や本国に頼っていた。

それはなんでかと言えば、定期的に襲撃が来るからだ。

防壁の外に無防備に畑を広げれば、あっという間に襲撃で踏み荒らされる。

だからってじゃあピリオノートの人口を食わせられるくらいの畑を壁で囲むなんてなれば、それはとんでもない手間と時間と金がかかる。冒険者居住区画の第二防壁だって相当時間がかかっていたからな。

だから各開拓地の開墾を優先して、この世界の生活拠点を増やすのを優先した……っていうのがゲームの設定だ。訳知り顔のプレイヤーは『もっと上手いやり方があるだろー』とかなんとかスレで言ってるが。

で、今回の畑クエスト。

これはピリオノートの北……元々平原と森が点在している方角に、ある程度の広さの農場を作る計画らしい。

森を切り開く手間が少ない事と、ピリオ北の街道が繋がる街が戦闘の出来るNPCが多い事から決定したんだとか。

ピリオ北の街はアレだ……『☆フェアリータウン☆』

プレイヤーの間で『アマゾネスの街』なんて呼ばれるようになった所だ。うん……たしかにあの街は強そうだ。

そういうわけで、北に防壁付きの広い農場を作るためのクエスト群が、秋イベントまでの繋ぎみたいにゆる~く続いている。

「僕は『【草魔法】の苗作り』やってみようかな、相棒は?」

「……俺は【石魔法】あるし、防壁建築かな」

せっかくだから参加してみるかと、俺達もひとつずつクエストを受注した。

そのついでに、俺はシイタケさんに頼んでいた防具を受け取りに行く。

「あ、いらっしゃいませ! 出来てますよー」

「……どうも」

【常闇狐の軽鎧】…物理防御+21、俊敏+2

仕立ての良い服に急所をカバーする軽鎧付き。

常闇キツネの革は暗がりに溶け込み、隠密にボーナスが入る。

製作者:シイタケ

【常闇狐のブーツ】…物理防御+15、俊敏+5

常闇キツネの革で作った丈夫な編み上げブーツ。

しなやかな闇色の革は気配を闇に溶かし込み、隠密にボーナスが入る。

製作者:シイタケ

【常闇狐の耳付きフード】…物理防御+15

常闇キツネの革のフードと、口元を覆うマスク。

顔の判別を不可能にしつつ、気配の感知が鋭敏になる。隠密と感知にボーナスが入る。

製作者:シイタケ

【常闇狐の弓用手袋】…弓使用時の威力+15

常闇キツネの革を薄く鞣して弓を引きやすく仕立てた手袋。

弓矢に触れても音が一切出ない。

製作者:シイタケ

うん、同系統の上位互換素材で作った装備だからか、シンプルに上位互換装備が出来てきたな。

……うん?

「……なんか、フードに耳付いてません?」

「その方が感知にボーナス入ったんですよね……取ります?」

……いや、まぁ、ボーナスあるならいいか。

「……そのままで」

「ウイッス」

まぁ強いて言うなら……この装備は狐だけど、ネビュラと同化すると狼なんだけどな、俺。