軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:第2回フリーマーケット終了、そして猫の店へ

2回目のフリーマーケットも、面白い物がいっぱいでとても楽しいイベントだった。

それこそレアで有用な素材は1日目の内に売り切れてる物が多かったんだろうけど、それでも見たこと無いアイテムは目白押し。

猫の取り替えっこ用とか拠点の皆へのお土産とかも色々買ったし、面白そうな本も何冊か買えた。相棒もスパイス屋さんで色々買ってたし、ヤジリの素材をいくつか見繕っていた。

時々演奏したり歌ったり踊ったりしてるストリートパフォーマーな人達もいたし、面白いところだと象みたいなサイズのモフモフした生き物に『3分モフり放題』とかいう謎露店もあった。

モフモフは相棒と二人でやった。めっちゃ気持ちよかった。

なんでかバター焼きが多かった屋台も美味しい物ばっかりだった。

日本食はやっぱり無かったねぇ。

前に売られてた味噌と醤油も、お店で使えるような量じゃ無かったみたいだし。バター醤油味は、またの機会。

他に面白い所だと、芸術品関係の露店が今回チラホラと立っていた。

石像を売っている店、絵画を売っている店、それらを飾るための台座や額縁を売っている店。

NPCが作った物を売ってるんじゃなく、本と同じように、プレイヤーが作ったゲーム内作品なんだって。

ピリオに家を持つ戦闘勢が増えてきたから開拓勢じゃなくても飾る場所がある人が増えてきたし、高価な芸術品はNPCへの贈り物にも出来るから需要が増えてきてるんだって。

鉱脈が見つかって宝石なんかも多く出回り始めてるみたいだから、ピリオノート含めたゲーム全体の開拓が、贅沢品にお金を使うレベルにまで到達してきたって事なんだと思う。

貴族もかなりクエストに登場してきてるしね。

そんな感じで、第2回のフリーマーケットも惜しまれながら終わりとなったのだった。

* * *

そして僕らは買い物を終えた後、早速ピリオノートで猫を追いかけている。

「猫ちゃん……っ! 今日は随分と高低差使って引き離しにかかるじゃんすかっ!」

「前とは違う猫だけどな」

相棒の手を借りてなんとか猫を追跡。3つ目の角を曲がって、不思議な回廊に突入。

そのまま誘惑をスルーして袋小路まで進んで、箱の鍵言葉を確認。

「……変わってないね。『裏返し』!」

グワンと裏返る感覚と一緒に、景色がぐるりと裏返って、2回目の猫店主の前へ。

「おや、いらっしゃい」

「こんにちはー」

「……どうも」

いやー、本当にこの店はメルヘンファンタジーで良いね!

「今日は取り替えっこ? それとも新商品チェック?」

「取り替えっこに来ました」

「はいどうぞどうぞ」

猫の店主はニコニコしながらモノクルをクイッと上げる。かわいい。

「僕からやっていい?」

「いいよ」

では早速。

インベントリから取り出した……『泡沫クラゲの頭蓋骨』!

「これをお願いします!」

「おや、クラゲの骨とは珍しい」

猫さん! 珍しいって事は見たことはあるんだ!?

「クラゲの骨って……なんなんです?」

どう聞いたらいいのか、ちょうどいい言葉が見つからなくてフワッとした質問になっちゃった。

でも猫さんは、変わらずふわふわした雰囲気のままゆったりと答えてくれた。

「どの世界でも、クラゲは骨が無い事が多くてね? だから『存在しないはずのモノ』。それが、世界の仕組み次第では、何かが起きて、その辻褄を合わせるために存在してしまう事がある。そういうモノ」

「へぇ~!」

なんだそれファンタジー!

そういう不思議な話はとても好き。

「これは……大鎌でクラゲを倒したら出たって言ってました」

「ああ、それで頭蓋骨。鎌は『刈り取るモノ』『収穫するモノ』。そちらの世界では……加えて『頭蓋骨を獲るモノ』とかなんじゃなぁい?」

「……だから、クラゲの首を刈り取ったから、頭蓋骨が辻褄合わせに存在してしまった?」

「そうそう、たぶんだけど」

へぇ~、システム的に『骨の無いクラゲからは出ません』とかじゃないんだね!

でもこの言い方だと、ものすごくドロップ率低そう。

レアドロップがNPC売却価格が高いとは限らないし。

「さて、それと取り替えっこするなら……『存在しないはずのモノ』の中から選んでね。とはいっても、世界によっては珍しくもなんともない場合があるけれど……」

そう言うと、猫さんはカウンター裏からこっちに回って、対象商品を教えてくれた。

「まずはこれ。『蛇の足』」

「わぁ、蛇足だぁ」

「……見た目は普通のトカゲの足だな」

「次はこれ『失われた言語』」

「概念じゃんすか」

「……一応本の形態なんだな」

「最後はこれ『オバケの影』」

「黒いセロハンかと思った」

「……影絵かな?」

選択肢は三択だった。

この中から選ぶなら……

「……『失われた言語』かな」

「『オバケの影』じゃないんだ?」

「だってどう見てもヒトっぽい形してるからヤダ」

「……確かに」

ジャック達は明らか人外だからいいのであって、僕と相棒の夫婦拠点に、他の人間のオバケはノーセンキューなのですよ! たとえNPCであってもな!

「じゃあ『泡沫クラゲの頭蓋骨』と『失われた言語』を取り替えっこで」

「はい取り替えっこ」

手渡された『失われた言語』は、とてもとても古い本の形をしていて、ちょっと乱暴に扱うと崩れ落ちてしまいそうだった。

【失われた言語】…品質★★★

どこかの世界で誰にも使われなくなり忘れ去られた言語。

手にしていれば、その言語を理解出来る。

へぇ~、結構重要そうなアイテムなのに品質白星じゃないんだね。ユニークアイテムでもないし。

あくまで、ここじゃないどこかの世界で使われなくなったってだけで、別にアイテムとしては複数あるものなのかな。

「これでもしかしたら、図書館に寄贈した本の内のどれかが読めるかもしれない」

「ああ、確かに」

一応猫さんの店の本棚はチェックしたけど、この言語が対応している本は無かった。ちぇー。