軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:玉石混交ショッピング

予定通り、フリーマーケットを俺達二人で眺めて歩いているわけだが……キーナの『変な物センサー』が今日は絶好調に稼働している気がする。

「こっちの瓶はなんですか?」

「ん? ……ああ、よく気付いたね。これは『岩クジネジフジチューチュー虫の毒腺』だよ」

「「………………なんて???」」

「正確に言うと、『岩クジラに寄生しているネジフジツボに寄生しているチューチュー虫の毒腺』」

「……チューチュー虫の毒腺でよくないです?」

「それが岩クジラに寄生しているネジフジツボに寄生しているヤツのだと別アイテム扱いなんだわ」

「ええ〜……」

そんな他の目立つ商品の影に隠れた瓶よく見つけたな。

隣にいた人が瓶をガン見しながら俺達の会話を聞いて、最終的にそれを買っていた。……前にニヤニヤフラワーを欲しがった論丼さんっぽい声がした気がする。

また別の店では、ワサッと積まれたドライフラワーの間から、何か薄っぺらい物を見つけ出した。

「これは……ポプリ? 栞?」

「あーそれはポプリですですー、『ペラペラベンダー』っていう薄〜いラベンダーを使ってますですー」

「『ペラペラベンダー』」

「これですですー」

「「うっす!」」

紙で作ったようなドライフラワーのラベンダーは、生えてる時からその薄さらしい。薄すぎて自立出来ないから鉢を吊るして垂れ下がる蔓植物のように育てるんだとか。

その栞のような厚みの無いポプリは、これまた横でガン見していたお嬢様言葉の誰かが買っていった。……声は聞いたことがない、麗嬢騎士団のメンバーとかだろうか。

さらに別の所では、急に方向を変えたかと思うと大小色も形もバラエティに富んだ卵ばかり並べている露店の前に来ていた。

「卵祭りだ!」

「いらっしゃい。ここは従魔の卵の店だよ」

……この声は、『もっふる動物園』クランマスター夫婦の奥さんの方だな。

「従魔を卵から育ててみたい人向けの露店だね。戦闘用とペット用、両方あるよ」

「従魔ってペット用とかもあるんですか?」

「拠点に待機させる事でメリットがあるタイプの従魔がそう呼ばれてるのさ」

「へぇ~!」

そういうのもいるのか。

大きな卵も小さな卵も、ほとんどは何が生まれてくるのかわかるように値段と名前が添えられている。

……だが、相棒は隅に置かれた籠に数個入れられている、何も書かれていない卵を見つけた。

「これは何ですか?」

「ああ、これはね……何が生まれるかわからない卵なんだよ」

「混ざっちゃったって事です?」

「いんや。従魔は従魔同士を掛け合わせる事で生まれて、鑑定すれば何が生まれるのかわかるんだけどね……時々『フォーチュンエッグ』って卵が余分に生まれて、それは何が生まれるのかわからないのさ」

なんでも、本来卵から生まれないはずのモノまで生まれるらしい。

「たまに従魔ですらないアイテムが出てくる場合もあるからねぇ……だから置いてはいるけど、あんまりオススメはしてないのさ」

なるほど。

ドラゴンなんかの強キャラを求めて手を出すプレイヤーはちょいちょいいるらしいが、明らかにオーバースペックな従魔はまだ出てきた事は無いらしい。

「買いたい?」

「ん~……面白そうだけど、あまりにも好みじゃない子が生まれたらガッカリしちゃって申し訳ないし、やめとく」

「そっか」

オバケと違って見た目は主ナイズされないだろうからな。

横でフォーチュンエッグをガン見していた誰かは、俺達の会話を聞いてそっと目線を外し、普通の卵を買っていた。

* * *

(相棒も猫の店で取り替えっこするもの何か買ってみたら?)

キーナが念話でそんな事を言い出したのは、魔道具の店を眺めていた時だった。

(俺も? ……というか俺も行くんだ?)

(僕ひとりじゃ猫を追いかける自信が無いです)

……そういえばそうだったな。

(行きたくない?)

(いいや? いいよ、一緒に行こう)

(うん! じゃあ相棒も何か持っていこう)

……ふむ、俺は相棒が楽しそうにしてるのを見てれば割と満足するんだが。

まぁ、キーナがそういうなら……何か適当に選ぶか。

目の前の魔道具の店を眺める。

……魔道具か。交換に出したら魔道具と交換になるんだろうけど、あの猫の店は違う世界の物もあるって設定だから、こっちでは手に入らない魔道具と交換できるかもしれないな。

この店で主に売っているのは、建築用の魔法がこめられている物だ。

いくつかの魔法を組み合わせて、これひとつを使うだけで床も壁も屋根も出来上がるようになっている。

ファンタジー色の強い洋風な家が手軽に作れるらしく、そこそこ買っている客がいた。あれだ、建築要素のあるゲームのブループリントをやりとりしてる感じだな。

とりあえず、それをひとつ買った。

武器は武器の区切りだったから、魔道具は魔道具の区切りで交換できるだろう。

「相棒、見て見てー。埴輪が量産できる魔道具だってー」

「えぇ……」

「お客様さすがお目が高い。それがあれば拠点を埴輪まみれの町にすることができますよ。どうですかおひとつ」

「「いらないです」」

だからどうしてそういう変な物ばかり見つけるんだ。