軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:美女とマッチョの自己紹介

青い空、白い雲、延々と広がる黄金の麦畑と、遠くに見える巨大な白い柱……そんな現実離れした景色の中で、テーブルを囲む僕らショッ○ー。

ショッ◯ー着てるって事は……ここにいるの全員プレイヤーなんだろうなぁ。

天使ちゃんとか大きい人とか、一瞬NPCかと思うけど。

そんな奇妙なティーパーティーで最初に口火を切ったのは。

うっかり挨拶を噛んでしまった主催の天使ちゃん……じゃなくて、グラマラスな女性ショッ○ーだった。

「それじゃ、まずは自己紹介と種明かしからしましょうか」

コロコロと楽しそうな雰囲気で話す声色はやっぱり聞き覚えがある。

フリーマーケットで星屑のランプを売ってくれた女性だ。

「本当なら主催から始めるのが筋なんでしょうけど……ちょっと一休みさせてあげてね?」

噛んだ天使ちゃんはテーブルに突っ伏している。

あ、やっぱり天使ちゃんが主催でいいんだね。

お手紙の達筆振りと引っ込み思案振りとが繋がらなくて、こっちの女性がメインなのかと思った。

システムで何かやっていた女性は、どうやら装備を変えていたみたいで、一瞬で早着替え。

綺麗なラベンダー色の髪と、一緒に垂れ下がるロップイヤー。

その髪と顔の半分を覆うのは、目の大きな総レースにビーズがキラキラしている長いベール。

セクシーダイナマイトな体はベールとお揃いのレース飾りが綺麗な夜色のマーメイドドレス。

垂れ目のお顔が、めっちゃ美人!

「はじめまして『アルネブ』よ。見ての通りウサギの獣人で、職業は『ステラフォーチュンクラフター』。『星降り平原』の『蝕の台地』に開拓地を持っているわ」

「え、初手からめっちゃ情報出すじゃん。ほぼフルオープンでは?」

「ふふ、さぁどうかしら?」

フェアリーの困惑気味な問いに、余裕の微笑みで答えるアルネブさん。

「別にあなた方にも同じように明かせって言ってるわけじゃないわ? ただ、私はここに集まった人同士なら、こうしてオープンにしても問題ないって思っただけよ。各々どこまで明かすかは、好きにしてちょうだい?」

そう言うと、アルネブさんは天使ちゃんの方を見てにっこり微笑んだ。

「今回この子がお手紙を出した時の協力者っていうのが私よ。私はちょっと特殊な魔法を習得していて、出会う人を選んだりすることができるの」

「ほほー、それはそれは。ちょっとシンパシー感じちゃうなー?」

「あら、同業はいないはずだけど?」

「同業ではないねぇー」

んんん?

今アルネブさんとやりとりをした人の声に聞き覚えがあるぞ?

男か女かわからない中性的な声。

えーっと……誰だっけな?

(相棒、今喋った人の声って聞き覚えある?)

(あるよ。フリマの呪い屋じゃなかったっけ)

(ああ!)

それだー!

わー、呪い屋さんも来てたんだぁ。

カラスちゃんの件、後でお礼と顛末を伝えたいねぇ。

「私とこの子はリアルでの知り合いよ。それ以上は勘弁してちょうだいな」

「ま、リアル関係が御法度なのはどこでも一緒でしょ」

「それ以外なら……そうね、私は職業の事も開拓地の事も訊いてもらって構わないわ。せっかくのパーティだもの、たくさんお話しましょう?」

コミュ力の高いおねーさんだなぁ。

美人だしなぁー。

…………

(相棒、浮気しちゃダメだよ)

(しないよ)

よし、安心。

アルネブさんの自己紹介がひと段落して、次に名乗りを上げたのはスゴイ大きな体のマッチョさん。

「では次は自分が行こう!」

早着替えして現れたのは、ガッツリ日焼けした肌を持つ禿頭のムキムキ……うん、予想通りの人が出てきた感じ。

大きな革をつぎはぎにして作ったズボンと、巨大な爬虫類の皮を使ったブーツ。腰の大きなベルトには工具がたくさん吊り下げられている。

上に着てるタンクトップは……もしかして石の街ロックスで売ってたやつかな?

「自分は『ド根性ブラザー』! 元はドワーフであったが、色々あってギガスとなった! 職業は『ゴーレムマイスター』! 『ガイアの大動脈』にある『生存可能区域』に街を作っている! よろしく頼むぞ!」

んんんん! 語気が強くて暑苦しーい!

……なんかデジャヴ? どっかで会ってるかな? ……うーん、ダメだね。やっぱり僕は人を覚える才能が無い。

なんて考えてたら、男性ボイスのフェアリーショッ◯ーが反応した。

「ちょーっと待って? ド根性ブラザーって、溶岩地帯にすごい立派な街作ってる人じゃなかった? スレで見たよ?」

「おお! 確かに一度書き込んだな!」

「マジで!?」

へぇー、溶岩地帯にすんでるんだ?

……アレ?

「異次元って、普通の村人来れるんです?」

ついつい口から出たら、ド根性ブラザーさんはニカッと笑って教えてくれた。

「『ガイアの大動脈』はな、異次元ではあるがピリオノートのあるマップとの出入口はあるのだ! よってNPC達はそこを通ってやって来ている設定なのだろう!」

「行き来できる道が無い次元には、普通の人のNPCは来ないわね」

へぇー、異次元にも色々あるんだねぇ。

「あの……ド根性ブラザーさん?」

「おう!」

恐る恐る挙手したのはようやく顔を上げた天使ちゃん。

「ドワーフから……ギガス? に種族が変わったということですが……そ、その、急に体が大きくなったんですよね? こ、困りませんでしたか?」

「突然自宅に入れなくなったのは困ったな!!」

「ああー……」

「いやまずギガスって何?」

「シンプルに考えるなら……巨人かしら?」

「うむ! 巨人であっておる!」

異文化コミュニケーションだなぁ〜

まだ自己紹介二人目だっていうのにファンタジーがいっぱい。

僕はお茶請けのお菓子を齧りながら、楽しく皆の話を聞いていた。

……あ、このお菓子美味しい。