軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

77 敗走のゾンビーズ5

「執事さん。領軍の方がお見えになっています」

「すぐ行きます」

人は夢を見る生き物だ。

それが例え幻想だとしても。

エクスを捕まえた!?

メイド長の連絡を受けて応接室へと駆けつけたイエスマンの淡い希望に満ちた顔はすぐに失望へと変わった。

「捕まえたのは、ゾンビーズのバッツとエルフマンでしたか。それに、・・・え?それと誰です?」

神妙な顔をしたリョグの前には、縛られた男が3人。顔を腫らした英雄ゾンビーズの2人と、領軍の服を着た見知らぬ男。

取り囲むリョグの部下の表情も冴えない。

「すまねぇ、俺の管理不行き届きだ」

「えっと、英雄の彼らが何か問題でも起こしたのですか?」

キーマンは領軍の服を着た見知らぬ男だろうか。内通者?

「英雄ゾンビーズだが、エクスの保護する少女を拉致しようとしたため捕縛した」

「な、なんですと!?言ってる意味が分かりません」

「詳しくは、それに書いてある」

投げ渡された報告書を流し読みするイエスマン。領軍はバカゆえに嘘はつかない。よって信じ難い愚行だが、そこに書かれている事は全て真実。

「・・・これは、酷い」

「待ってくれ!執事さん。そんなの誤解だっつーの。俺らはなんもやってねー。おぐっ」

「無駄だ!事実は覆えらねーよ。あと、コイツラには余罪があるかもな」

囀るバッツに、リョグの蹴りが入ると嘘つきは沈黙した。従うまで蹴られるので、ボコボコになった顔の2人は沈黙を学習したのだろう。

「許せませんね。それで、その男が裏切って手引きしたのですか?」

縛られた領軍の服を着た見知らぬ男は青ざめてガクガクと震えている。

「あぁ。裏切りと言えば、そうなんだが。説明しにくい。・・・何というか、普段より気合い入ってんなと感心してたらこのざまだ。あー。報告書の最後を見てくれ」

普段と違って神妙なリョグに危機感が募るのかイエスマンは怪訝な顔をした。そして報告書のおしっこ発言を目にしたイエスマンの胃がキリキリ痛んだ。

「・・・うっ」

「如何様な処分でも受けさせて貰う」

これは酷い。

お手柄を帳消しにする酷さだ。

我々とか言われて、自爆テロの巻き添えになったリョグには少し同情すらしてしまう。

「状況は?」

「謝ったが、口を聞いてくれない」

リョグは死にそうな顔をした。

いっそ殺してくれと目で訴えかけてくる。

初めて見ましたよ・・・こんな顔。

「彼は懲戒免職及び接近禁止命令、貴方は減棒3ヶ月。あえて隊長の任は解きません。エクスを見つける事で返しなさい」

「分かった」

悲しみに染まった男は、シープタウンへとがむしゃらに駆け出す。ここ最近の朝の会話が癒やしだったのにッ。

フォレストエンドで最強の男リョグが猟犬となり、本気でエクスを追い始めた。

「貴方達は後回しです。牢屋に入れておきなさい」

「ま、待ってくれ、英雄の俺らとクソガキは命の価値が違うだろうが。こんなのあんまりだ」

「しかりしかり。認められん。我らはイゼルに頼まれただけだ」

巻き添えになる勇者イゼル。

「ほぅ、これが第3の手ですか」

「俺らはハメられたんだ。エクスとイゼルに!被害者なんだよ」

「その通り。エクスが罠を仕掛けたのだ」

喚く2人をイエスマンは見放した。

あるのはイゼルに対する怒り。

小物に構う気力すら残って無いらしく、残った領軍の部下に声をかけて、カツカツと足音を立てて消えていった。

「頼みましたよ」

「はっ!」

「イエスマン。なあ!俺らは街の英雄だぞ?恩を売っとけよ、イエスマーーーン」

「なんて、私は女運が無いんだ。それも、あのメイドが12才以上だったからです。やはりババアは駄目っ。女は8才まで」

「え?私も?」

冷たい牢屋へと3名様、ご案内ー。