軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

168 隠れんぼ

そういえば、隠れんぼしてたんだっけ。

次は、

▶ライ姉の部屋

ニトラの屋根裏

ルカの別邸

ライ姉の部屋を見てみよう。

「お邪魔します」

まっ、返事は無くて当たり前。

勇者のように、衣装ケースを開ける、ベッドの下を覗き込む、カーテンの裏、壺の中。

「異常なし。ん?」

何かボールみたいな布が壺の中に落ちていた。

「なんだろ?これ」

短い手を大きな壺に一生懸命伸ばしてじたばたしてどうにか、手触りのいい布を手に入れた!

ふふっ、ちょっと達成感。

パンッ!と開くと三角形で中心にはファンシーな熊の·····パンツ?

「くま吉パンツ」

ガタガタ、ドタンっという音がして天井から人が落ちてきた。

「痛ぁっ」

「·····ライ姉。大丈夫?」

手を差し伸べたら真っ赤な顔で頭から湯気が出ているライ姉は涙目でそっぽを向く。

「旦那様、それは、そのニトラのです」

嘘だと思ったけどスルー。

「そうなんだ。本人に返しといてくれる?」

「わかりました。わ、私のはもっとセクシーですので」

ごにょごにょ言いながら奪うように受け取ってくれたけどまだ、うーあーと恥ずかしそう。

「僕は忘れるから、本人には内緒だよ」

「はいっ!」

はー、これでルカの部屋に行きにくくなった。

パンツトラップ絶対にある。

セクシーなのか、ファンシーなのか、エッチなのか分からないけど、高級素材なのは間違いなさそう。

想像しかけて首を横にぶんぶん。

「旦那様どうしたんですか?」

「えっと、ルカは何処に隠れてるのかなっと思って」

ライ姉の顔が輝いた。

「おそらく旦那様のお部屋です!」

「なんで?」

「さっき、譲りましたので」

「そうなんだ。行こっか」

「はいっ!」

パンツトラップを回避し、自分の部屋を開けると思わず声が出た。

「あっ!」

不思議そうに見てくるライ姉に宣言する。

「ふっふふ、ルカを見つけてしまった」

「おおおぉぉ、旦那様さすがです。どこに隠れているか全然分かりません」

きょろきょろ探して分からなかったらしく、崇拝するような狂信的な眼差しで見てきてくすぐったい。

「そこだっ!」

びしっと増えたスライム枕に指を突きつけると、助手のライ姉がベッドにダイブした。

びくんっと偽スライム枕が震えて確保っ!

「ひゃん。エクスぅ。まだ昼なのに激しい」

色っぽい声に、ライ姉がびくっと固まる。

フライング、ルカ。

「あー、ごめん。僕はここ」

「奥さま、ごめんなさい! 抱きついたのは·····私です」

「·····」

ちょっと、気まずい。

ライ姉が、どうしましょう?と心配そうに見てくるけど僕も何と答えれぱ良いのか。

黙ってルカの反応を待つしか。

「わたし·····スラリん」

「「え?」」

それは、ちょっと無理筋じゃない?

ほら、ライ姉だってどうしていいか分からなくてきょろきょろしてるし。

「だ、旦那様。どうやら野良スライムだったようです。うっかりうっかり」

「悪いスライムじゃないよ」

スライムルカがぷるぷる震えて逃げ出しそうだったのでぎゅっと捕まえる。

「逃がしません」

「すらっ!?」

「旦那様、あ、あの。野良スライムさんが可哀想です」

僕は心配そうなライ姉に微笑む。

大丈夫だよ、任せて。

別パターンの解決方法があるから。

「もしかして、君はルカなの?」

「違う。わたし、スラりん」

伝わらない想い。

「呪いを掛けられてるんだね」

「すらっ!?」

ようやく話が通じたみたい。

「僕は大魔導師エクス。君の呪いを解いて人間に戻してあげる」

「すらー!」

後は、着ぐるみに口付けすれば解呪成功の流れだろう。たしかそんな物語があった。

観客のライ姉はちょっと興奮している。

「旦那様、ちゅーするんですね」

「そうだよ」

「ひゃう」

スライムルカがぐねぐねと不思議な踊りをしだした。

変だな?まっいいか。

「キスで真実の姿に」

「え、エクス。まだ心の準備が」

盛り上がってるルカの着ぐるみにキスすると布地の感触。

「ほら、これで魔法が解けるはず」

「·····」

「旦那様、役者みたいです!」

拍手するライ姉と対照的に、むすっとしたルカがスライム着ぐるみから出てきた。

「·····騙された」

なにかぶつぶつ言ってるけど、汗でしっとり張りついた白銀の髪と上気した白い肌が色っぽい。

「ところでルカは何でここに隠れてたの?」

「エクスのにお、なんでもないっ!」

誤魔化すように睨んでくる。

「えっと、次はくま吉を捕まえようかな。なんて、あはは」

グウウウウオオオオオオー!!!!

ひうっ。

竜のような咆哮が聞こえて、どきどき。

これは街の外からだろうか?

びっくりした、ルカかと。

「フールね」

「そうなんだ、良かった」

ルカが真剣な表情から呆れた表情に変わった。女心はよく分からない。

「安心して、貴方達は私が守るから!まずは、クレイジーベアと合流しましょう」

「う、うん?」

やっぱりよく分からないけど、笑顔が可愛いルカに、ぐっと手を引っ張られてくま吉を探しに駆け出した。