軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

146 ココロエネルギー2

マーラとエクスの偉業を、歩きながら拡散している領軍に絡むのは町民。

「待ってくれ、大魔導師はエックスじゃないのか?」

「それは勇者新聞のフェイクニュースです。正しくは大魔導師エクスです」

エクスは表立った活躍はしていないが、肩書きがなぜか大魔導師である。きっと何かした、凄い事を、よく知らない街の人はそう純粋に思った。

まさにその通りであるのだが。

離れていく領軍の背中に町人達はざわざわと噂する。

「なあ、マーラ様とどっちが凄いんだ?」

「ええと、魔導師と大魔導師だろ?それなら·····」

「エクス!」

こうして、マーラの正直な申告により 感情(ココロ) エネルギーが半分、エクスへとペイされた。

「救世主、エクス大魔導師に感謝を!」

「街を護ってくれてありがとう」

無知なる町人達の感謝を受け取れい。

ぽやっとした少年よ。

「ゥア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

「エクス!しっかりして」

エクスが胸を抑えて、虚ろが輝きだした。

彼は報われなかった人間。

いうなれば純度の高い少しの感謝を糧に生きる清貧派の少年。

そんな貧乏少年がたくさん食らうとお腹を壊す。

「はあはあはあ」

「エクス、落ち着いて」

ルカは甲斐甲斐しく背中を摩り、くま吉はその横でわたわたする。ライ姉も同じ。ニトラは、そういえばエクスに眠らされていたな。

「なんだ?これ?お腹がすごく熱い」

「認められたのよ。悔しいけどあの女がやったの」

「良かったじゃねえか相棒」

ルカは自らのハイブランドを通して多くの憧れを食っていたが、エクスは一気食いするのは初。

「うえっぷ。気持ち良いけど、ふわふわして気持ち悪い」

「ええー?」

「やれやれ、相棒はお子様なんだぜ」

ステージ3のくせに、大勢の感情を食らうのはこれが人生初。しかも感謝!新社会人少し良いお酒をガブ飲みしたような感じでくらくら。

ふと見ると、エクスの虚ろが光っていた。

「あいつ光ってない?」

「みたいね」

「強そうじゃねえか」

虚ろは幼さを残したままなんかちょっとイケメンになり、クイーンにウインクを飛ばす。

「あら、素敵だわ」

クイーンがうねうね。

うん、お幸せに。

□□□□□□□□

3日後。

街は街道を取り戻し、幻想の活気を取り戻す。

好景気の噂を聞きつけ集まってきた傭兵や冒険者達に、壇上で気勢を上げるのはリョグ。

「おぅ、遠方からはるばるご苦労!」

次いでリョグの傍らに立つ巨乳。いや、違った。マーラの赤い髪が風で靡く。

「S級魔導師のマーラだ。フール討伐の招集に応じてくれて感謝する」

儀式魔法の反動で暫く休息を取っているためこの日は挨拶だけ。

リョグに再びバトンタッチ。

「俺は長話は嫌いだ。これを見ろ」

ギラつくギャラリーの視線は、巨乳から大量に積まれた魔石へと移る。魔石は魔道具の燃料として使えるため、どの国でも使える金の代わりだが、こんな量は誰も見たことが無い。

「貢献度で山分けだ。多く欲しい奴は気合いを入れろ、魔王フールをぶっ殺せ。さあ狩りの時間だ!」

「「おおーっ!!!!!」」

傭兵と冒険者達はぞろぞろと焼けた魔の森から逆侵攻を遅遅として開始した。

緊張を紛らわすため軽口を叩く傭兵の2人組にスポットライトを当ててみよう。

「見たかよ。あの魔石の山を」

「やばいな」

「一獲千金だ!」

「やめとけって。適当に日銭を貰って帰るぞ。腐っても相手は魔王だ」

リョグの見込みにズレが生じていた。

金で雇われた奴は命までは賭けないとは、武力へ全振りコンビは気づかない。この辺りはイゼルやギルマスが優れているのだが、上手く噛み合わなかった。

話題はマーラへ。

「それより見たかよ。あのおっぱい」

「たまんねぇな」

「お近づきになれねえかな」

「あー、駄目だ駄目。なんでもすでにエクス大魔導師と深い関係らしい」

「やってられねえな。えろジジイめ!弟子を手篭めにしやがって」

「なんでも延長魔法を使うらしいぞ」

「いったい何を延長するんだよ!」

嫉妬と羨望の感情がエクスへ。

ずもももと黒く輝くオーラを、喰らえ!

「んんう。気持ち悪さと良さが」

「エクス!またなの」

有名人は大変そう。

今まで、昼も夜も新型結界で警邏業務で街を護って来たエクスは、街の人達から何一つ評価されなかった。

対して、今回はほとんど何もしていない。やった事は、泣きついてきた村人病に罹ったマーラにバフを掛けてあげただけなのだが、人の評価なんてこんなものだったりする。

ルカが赤い顔をした。

「どうしたの?ルカ」

「う、ううん。なんでもない」

腕の中で見上げるエクスのトロンとした表情に、襲ってしまいたいとは言えないルカだった。

クイーンが叫ぶ。

「カッコイイわ!」

キラキラ輝きだしたエクスの虚ろに、クイーンはひしっと抱きついた。

お似合いの2体をくま吉は茶化す。

「おう、クイーン良かったじゃねえか」

ちょっと待って、ステージ3は実体が無いのに、なんで抱きつけるかって?

「ふふっ」

それはね、仮初の肉体を得たからなんだ。

ルカが密かに作っていたエクス人形に、エクスの虚ろがするりと入って動きだした。

そんな訳で、どうやら普段は人形として過ごすらしい。