軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

104.賢帝の禁書庫

俺は人工魔力結晶の製造法について調べるため、帝国所有の【賢帝の禁書庫】を訪れていた。

城の地下にて。

巨大な鉄の扉があった。

扉の表面には複雑な模様が描かれており、魔力を帯びていた。

「この中が禁書庫となっています、ジーク様」

サーシャ皇帝が扉に手を触れる。

「あ、あれ……? おかしいです。扉が開きません。王族が手を触れれば開くのに……」

そのときだった。

『サーシャ、だれその人間?』

扉が光り輝くと、目の前に、手のひらサイズの妖精が現れた。

「【リリン】。お久しぶりですね。彼はジーク、魔王国の王で、わたしの大事な人です……♡」

リリンと呼ばれた女の妖精は、懐疑的な目を俺に向ける。

「この子はなんなんだ?」

「禁書庫の管理を任せている妖精リリンです。彼を中に案内してあげて下さい」

しかし妖精はンベッと舌を出す。

『やなこった! ここは皇族以外が立ち入ってはいけない場所よ! そんな得体の知れない男を入れるわけにはいかないわ!』

まあもっともな意見だな。

「リリン、彼は信頼の置ける人物です。皇帝の名においてあなたに命じる、彼を中に入れなさい」

『べーだ! おい魔王、そこまで入りたいなら自力で開けてみなっ』

俺は目の前にそびえ立つ、禁書庫の扉を見上げる。

「封印の魔法が施されてるな」

『そう! ここはアンチ賢帝陛下が造りあげた最強の図書館! 入り口は強固な封印、中は迷宮化していてモンスターもでる! 怪我しないうちに帰りな!』

なるほど、もし無断で侵入してきた不埒な輩を、撃退するための措置ってことか。

『言っとくけどね! 賢帝は歴代最強の皇帝にして賢者なんだ! 彼の魔法で造りあげられたこの禁書庫は、そんじょそこらの小童に攻略できる代物じゃないんだよ!』

「そうか。ご忠告痛み入る」

俺は扉に近づいて、表面に触れる。

指に力を込めて握りつぶすと、バキッ! という音とともに……扉が粉砕された。

『そ、そんなバカなぁああああああああああああああああ!』

驚愕の表情を浮かべるリリンをよそに、俺は禁書庫へと立ち入る。

『あ、あり得ない! 入り口の封印は何世紀経っても効力が薄れないほど強固なものだった! それを……いったいどんな力で打ち破ったと言うんだ……!』

「単に手で壊しただけだぞ」

『そんなことできるわけないだろぉおおおおお!』

壊れた扉は神の手で修復した。

破片が逆再生し、元の扉に戻る。

「よし、行くか」

『ふ、ふん……! たまたま入れてよかったね! けど中の巨大迷宮、果たして攻略できるかな!?』

俺のあとにリリンがついてくる。

目当ての本の場所まで案内……してくれるわけないか。

禁書庫の中には、天まで届くような、背の高い本棚がいくつも並んでいる。

薄暗い室内で、何列もの本棚が立ち並ぶ姿は、壮観というより実に不気味だった。

そのときだ。

バサッ、と本が一冊、本棚から転げ落ちる。

ページが開くと、そこから巨大な手がヌゥ……と現れた。

「なるほど、本の魔物ってことか」

本から召喚されたのは、一つ目の巨人だった。

『ははぁ! どうだぁ! サイクロプス! Sランクのモンスターだぞぉ!』

「知ってるよ」

俺がサイクロプスに近づくと、彼は自分から膝を突いて、頭を垂れた。

『なんだってぇえええ!? Sランクモンスターが自分から降伏しただとぉおおお!?』

俺はサイクロプスの顔をよしよしと撫でる。

『どうなってるんだ……』

「別に、魔物と仲良くしてるだけだぞ。何驚いてるんだ?」

『ふ、ふん……! まあいい。魔物はこいつだけじゃないからね!』

バサササッ! と本棚から無数の本が転げ落ち、そこから強そうな魔物が出現。

だがその全員が、俺の前で膝を突いていた。

『何が起きてるんだ……!』

「モンスターは俺にとって身内だからな」

この迷宮、なんとかなりそうだって思った。