軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

032 第二十階層

終始くっついていちゃいちゃしているオレとアリスだが、唯一離れている時間がある。それがダンジョンにいる時だ。

さすがにダンジョンでいちゃいちゃはしていられない。

特に今回はダンジョンの第二十階層だ。ボス戦も控えている。オレもアリスも真剣だ。

「せあっ!」

「えいっ!」

アリスと一緒になってモンスターを倒して白い通路を進んでいく。相変わらず、他の冒険者の姿は見えなかった。

「お兄さま、これを」

「ありがとう、ジゼル」

モンスターを倒し終わると、ジゼルがポーションをくれた。アリスが作った初級ポーションだ。

第二十階層にもなると、まだ掠り傷程度だが、攻撃を貰うようになってきた。一度に戦闘になるモンスターの数が多いからね。二人で六体のモンスターを相手にするのは少し難しくなってきていた。

仲間を増やせばいいんだろうが、仲間の当てがないんだよなぁ。学園に行ったら、仲間を探してみるのもいいかもしれない。できればパーティの盾になるタンクと、広域殲滅が得意な魔法使いの仲間が欲しいところだ。

まぁ、今は無いものねだりだね。

「もうすぐボス部屋だけど、ジゼルは心の準備はできてる?」

「はい。だってお兄さまがいるんですもの。きっと勝てますわ!」

嬉しいことを言ってくれるね。これはいいところを見せないと!

「敵はオークキングをリーダーにした二十体のオークとゴブリンの混成部隊だ。始めは遠距離攻撃で一気に数を減らそう。そして、モンスターが五体以下になれば、オレがモンスターとの距離を詰めるよ。あとはいつも通りだね」

「はい!」

本当は、遠距離攻撃をし続ければ楽に殲滅できるだろう。でも、それではオレの成長につながらない。オレはこの世界で武術を習い始めて、基礎の大事さを知った。

ゲームだったら、ただ強い技を連打したら勝てた。でも、現実はそんな簡単じゃないんだ。技につなげるまでの足運びや、位置取り、牽制やフェイントの大切さ、そういった技とも呼べないような技術がすべてなんだ。

「見えてきた……」

通路の先には、大きな両開きの扉があった。あれがボス部屋への入り口だ。

「行こうか、ジゼル」

「はい!」

アリスもだいぶ前向きになってきたな。前ならもっとボス戦と聞けば心配そうな顔を浮かべていたはずだ。アリスの変化。その理由というのが自分というのは照れる事実だけど、アリスが前を向く手伝いができたのなら嬉しい。

扉を開けると、獣臭いような臭気が漂っていた。白くて広い部屋の中は、まるで床や天井自体が輝いているように明るい。

そんな部屋の中に見えるのは、二メートルほどの巨漢のようなオークや、その半分ほどの身長の小柄なゴブリンの姿だ。その奥には、まるで王族のような豪華な衣装を身にまとった一際大きなオークの姿も見えた。

「GUABAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

その王様のようなオーク、オークキングが雄叫びをあげる。

「連装ショットガン!」

「えいっ! えいっ!」

オークキングの雄叫びに、オレとアリスは攻撃で応じる。

収納空間を展開し、オレが今まで指弾で弾いてきた小型鉄球を開放した。

鉄球は目に見えない速度で飛翔し、ゴブリン、オーク無差別に穿つ。そして、発動するのは、タスラムの無属性魔法の追加攻撃だ。

オレの指弾は、鉄球本体の打撃力だけではなく、タスラムの追加攻撃も乗っているのだ。

ドゴォオオオォォォンッ! ドゴォオオオオオンッ! ドゴォオオオンッ!

ショットガンの発動と同時に、ゴブリンとオークを爆炎が襲う。アリスの爆発ポーションだ。爆発ポーションによって、アリスは直接的な攻撃力を手に入れたのだ。

爆発が続くこと十回ほど。爆煙が薄くなると、立っている影は三つにまで減っていた。行くか!

「アリス、行ってくる」

「はい! ご武運を!」

アリスに手を振って別れると、オレは立っている三つの影に疾走する。見えてきたのは、オークキングの姿と、ボロボロの鎧姿のオークジェネラルの姿だった。

「GAUGA!」

オークキングはオレの接近に気が付くと、その腰に提げていた王笏を振り上げる。

すると、二体のオークジェネラルが弾かれたように動き出し、その手に持った巨大な斧を振り上げる。

オークキングの味方の強化能力だろう。オークキングは厄介で、味方の攻撃力と防御力を強化する能力を持っている。

先にオークキングを倒したいところだが、それを邪魔するように二体のオークジェネラルは立っていた。

不幸中の幸いなのは、最初のオレのショットガンとアリスの爆発ポーションで、ヒーラーのオークオラクルや、魔法使いであるオークシャーマンを仕留められたことだろう。

残すは三体のオークのみ。

【収納】のギフトの力を使えば、楽に倒せる。それこそ離れた所からショットガンを連打してたら、勝手に勝てるだろう。

だが、それではオレの体術のセンスが磨けない。

こいつらは、体術だけで倒す!