軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

033 第二十階層ボス戦

ブオンッブオンッ!!!

体を半身にして、オークジェネラルたちの両手斧を連続で回避する。まずは右のオークジェネラルから片付けよう。

オークジェネラル。その二メートルを超える筋肉質な体格は、間近で見ると脅威だ。このオークジェネラルの操る両手斧の一撃は、オレを即死させることができるだろう。

動きやすさを重視して、オレの装甲は紙みたいなものだからね。

だが、懐に飛び込んでしまえば、一気にオレが有利になる。

「ファストブロー! ダブルブロー!」

スキルを使って一気に倒す。拳を打ち込むたびに、オークジェネラルの金属鎧が弾け飛んだ。

「フィニッシュブロー!」

左右の乱打からのアッパー!

もちろん、そのすべてにタスラムの追加攻撃も発動する。合計二十発の連続攻撃だ。

さすがにこの猛攻には耐えられなかったのか、ついにオークジェネラルが後ろへと倒れていく。ドサッと重い音を立てて白い床に大の字に倒れ、ボフンッと白い煙となって消えていった。

ブオンッ!!!

しかし、オレにそれを悠長に眺めている時間はない。オークジェネラルはもう一体いるのだ。

オークジェネラルの両手斧の一撃を回避する。そして、オークジェネラルの懐に潜り込もうとしたら、今度はオークキングが王笏で殴りかかってきた。オークジェネラルの隙をカバーするように立ち回っている。厄介だ。

オレはのけ反るようにして、ギリギリのところでオークキングの王笏を回避する。

その頃にはオークジェネラルは両手斧を振り上げていて、隙が無い。

二対一というのは、圧倒的に不利だ。オークジェネラルとオークキングはお互いの隙をカバーするように連続攻撃を仕掛けてくる。これでは手が出せない。

が、手はある。

オレは小さな収納空間を展開すると、その中からあるものを左右の手に取り出した。

「指弾!」

そのあるものとは、ビー玉より一回り大きなサイズの鉄球だ。それを左右の親指で弾いて、オークキングを狙う。

「指弾!」

「GAHU!?」

スキルとしてMPを消費するだけあって、指弾の威力は強力だ。見る見るうちにオークキングがボコボコになっていく。指弾にもタスラムの追加攻撃が乗るからね。使っているオレでも卑怯なくらいエグイと思う。

オークキングが指弾を嫌ってオークジェネラルの後ろに隠れた。この時こそ好機!

ブオンッ!!!

オレはオークジェネラルの両手斧を紙一重で回避すると、オークジェネラルの懐へと潜り込んだ。

「ラッシュ!」

そして、殴る! 殴る! 殴る!

殴るたびにオークジェネラルの体はくの字に折れ曲がっていき、オークジェネラルは立ったまま絶命したのか、そのままボフンッと白い煙になった。

その煙を突き破るように王笏が目の前に現れる。

オークジェネラルの後ろに隠れていたオークキングの不意打ちだ。

だが、オレはそれさえも計算していた。

オレの足は事前に決められていたようにステップを踏み、オレは回転するようにオークキングの王笏を避ける。

「GABU!?」

そして繰り出されるのが、右の裏拳だ。タスラムはオークキングの頭蓋骨を容易く砕き、その追加攻撃でオークキングを滅殺する。

オークキングも白煙となって消え、戦場にはオレ一人だけが立っていた。

完全勝利だ!

「ジル様ー!」

「アリス!」

アリスがオレに飛び付くように抱きしめてきた。ふわりと香った薬草の匂いに安心感を感じる。

「すごいです、ジル様! あんなに強そうなモンスターを一人で倒してしまうなんて!」

「ありがとう。でも、それを言うならアリスもすごいよ。あんなにたくさんのモンスターを一気に片付けてしまうなんてね。あれは爆発ポーションだろ? アリスの錬金術の成長スピードはすごいね。毎回驚いてしまうよ」

アリスと抱きしめ合っていると、じんわりと彼女の体温が伝わってくる。それがとにかくオレを癒していく。このままアリスを抱きしめたまま寝てしまいたいくらいだ。

「とりあえず、これで目標の二十階層はクリアだね」

「はい!」

オレもそうだけど、アリスもかなり肉体レベルが成長したと思う。そのことは、錬金術でMPを使うアリス本人もわかっているだろう。

それに、今のアリスの笑顔は大輪の花が咲いたように美しい。

少し前までのアリスからは想像もできないほど、アリスは明るく前向きになってくれた。

エロー男爵家で虐げられてきただろうアリスにとって、自分にもできることがあるというのは、自己肯定感につながり、やがて自信になったのだと思う。

ダンジョンに行って、肉体レベルが上がって、できる錬金術が増えていく。そうした正の連鎖が、傷付いたアリスの心を癒してくれた。

「ジル様、あれ!」

「ん?」

アリスの目線の先には、大きな木の宝箱があった。二十階層をクリアしたご褒美だね。

「開けてみようか」

中身はランダムだからオレにもわからない。なにが出るかな?

できれば当たりアイテムの豪鬼の籠手だといいけど……。

期待しながら宝箱を開けると、中には白い粘土のようなものが入っていた。

「これって何でしょう?」

「これは錬金術用のアイテムだね。人工精霊の素体だよ」

まさか、一番確率の低いレアアイテムが出るとは思わなかったな。

オレは白い粘土を掴むと、アリスに差し出した。白い粘土はひんやりとしていた。

「これはアリスが持っているといいよ。まだ無理だけど、アリスが錬金術を極めていけば、心強い味方になってくれるはずだ」

「ありがとうございます、ジル様」