軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

021 買い物と登録

次の日の午後。なぜか顔を赤くしたアリスと合流したオレは、アリスと一緒に街へと来ていた。今日はダンジョンじゃない。アリスのアトリエを作るのにいろいろと道具を買うつもりなのだ。

とはいえ、オレは錬金術に使う道具なんてわからないから、とりあえず店に置いてあるものを一通り買っておけばいいだろう。あとは必要になればその都度買い足せばいい。

あと、道具だけではなく素材も買わないとな。オレは『レジェンド・ヒーロー』で何度も錬金術を極めたことがあるから必要な素材ならわかる。まずは下級ポーションを作るために薬草を買っておけばいいだろう。

「さあ、行こうか」

「は、はぃ……!」

オレはアリスの手を取ると、用のある店に突撃するのだった。

オレとアリスは、手をつないだままオレールの街を散策していた。

「ジルベール様のギフトってすごいんですのね」

「そう? まぁ、そうかも」

アリス用に買った錬金術の道具や素材は、オレの収納空間に収納してある。おかげでオレもアリスも手ぶらだ。

オレもだいぶ肉体レベルが上がってきたからね。MPの量も増えて、一度に収納できる量も増えたのだ。

「髪飾り着けてきてくれたんだね」

「はい。せっかくいただいたので」

そう言ってはにかむアリスの後頭部には、オレが昨日贈った髪飾りが輝いていた。

気に入ってくれたのかな?

本当は装飾店に行ってアリスへのプレゼントを買いなおしたいところだけど、たぶんアリスを装飾店に連れて行って好きなものを選ばせても遠慮されてしまうだろう。後で一人で買いに行こう。

「さて……」

錬金術関係の買い物は済んだ。あとは本題だね。

「アリス、昨日言った二人だけの秘密を覚えている?」

「ッ!?」

アリスは肩をビクリと震わせると、驚いたように周りを見た。

「こ、こんな街中で……!?」

「誰もオレたちに注目なんてしてないよ」

「ちゅ、ちゅー……!?」

なんだかアリスの様子がおかしい。その顔は徐々に真っ赤になっていき、両手でスカートがシワになるくらい力強く握っている。

そして、アリスは覚悟を決めたように目を閉じた。

なにをしているんだろう?

まぁ、聞いているならいいか。

「アリス、今からキミには冒険者になってもらう」

「…………え?」

「これから装備を選びに行こう。顔を隠すために仮面も必要だね。錬金術師用の装備があればいいけど……。まずは見に行こうか」

「…………え?」

オレは目をぱちくりさせているアリスの手を引いて、冒険者御用達の防具屋へと入っていく。

「なるべく動きやすい方がいいよね。でも、いざという時のために防御力も欲しいし……」

防具屋でアリスの装備を整えていく。

色は白を基調とした。ダンジョンの通路は白いからね。なるべく目立たない方がいい。

そして大きめのポシェットと、ポーション入れ。錬金術師の戦闘方法は、錬金術で作ったアイテムを敵に投げ付けることで攻撃する。ポーションやアイテムをある程度収納できた方がいい。

「こんなものかな?」

そこには、白い装備に身を包んだアリスの姿があった。アリスは小柄だからちょっと身長が足りないけど、そこは仕方がない。

「あの、ジルベール様。これって……?」

白いキツネのお面を着けたアリスが困惑したような声をあげる。

「いいかいアリス。この姿をしている時は、オレのことはジャックと呼んでくれ。オレたちは平民の冒険者としてダンジョンに潜るんだ。そうだ、アリスの偽名も必要だね。なにがいいかな? ジゼルとかどう?」

「いいですけど……。え? ダンジョン?」

「そうだ。ダンジョンのモンスターを倒すことで強くなれることは知ってるよね?」

「はい。でも、危険じゃあ……?」

「大丈夫だよ、オレが付いてる。オレはもうソロでダンジョンの第九階層まで潜ってるからね」

「え!?」

「アリス、オレは無理強いはしたくない。でも、アリスにも強くなってほしいと思っている。アリスも今の自分から変わりたいと思わないか?」

「今の自分から……」

アリスは俯いてしまった。そして、しばらく時間が経って、ようやく顔を上げる。その顔には迷いはある。でも、それを上回る決意もあった。

「わたくし、変わりたい……!」

「オレも精いっぱいサポートするよ。だからアリスもがんばって強くなろう。そして、自信を手に入れるんだ」

アリスはコクリと頷いてくれた。

まだ迷いも恐怖もあるだろう。しかし、アリスは自分から変わりたいと言ってくれた。オレは全力でアリスの気持ちに応えるだけだ。

その後、オレたちは冒険者ギルドに向かった。

アリスはオレの妹で、今年成人したばかりの十五歳ということで押し通した。

ちょっとアリスは不満そうだったが。

その時、受付嬢さんにメタルスライムを倒した冒険者を知らないかと訊かれたが、とぼけておいた。

厄介ごとにかかわるつもりはない。オレはダンジョンに潜れればそれでいいのだ。