作品タイトル不明
裕福な避難民2
「そうか、ハイオークの肉を提供してくれるのか。それは久しぶりで楽しみだな」
少し大人になったヨルクが、先客の笑い声を無視して店員に向かって話す。
「はい、希少部位は限られますが」
「ならば、女性たちには脂身の少ないヒレ肉、俺たち男性陣には脂身に旨みのあるロース肉をそれぞれ多めに。もし残っているならば、首のトントロも頼めるかな」
ジーモントも話にのって店員に依頼する。
店員が承知したと厨房に注文を取り次いでいる間に、先客はこちらの注文に対して払えるのか、と笑っている。
「私たちが何かしましたか?先ほどから失礼ではありませんか?」
カミラが先客の男性4人の席に移動して、丁寧ではあるものの怒りを伝える。
「は!このドラゴレシエ国の国民風情が無理して贅沢なんてするのがおかしいだろう」
「そうだ。我らイスクラディヤ国から勝手に独立した、貧乏地域の住民のくせに」
「……そのイスクラディヤ国から避難してここに来たのではないの?」
「ハンソク王国の戦船の攻撃があったから、仕方なく、な。そうでなければこんな国に足を運ぶことなど無かっただろうな」
「ならば、早々にドラゴレシエ国を通り抜けてゾリヴィヤ国にでも行けば良いのでは?」
「生意気な女だな!俺たちの勝手だろうが」
「そうだ。イスクラディヤ国から持ち出せた物が少ないから、この貧乏国でひと稼ぎする予定なのだ。この国の奴らは商売というものを知らないようだから、俺たちが見本となって教えてやるんだろうが。ははは」
そのときにはカミラの横にジーモント、ゾフィ、ヨルク、そしてシミリートが並んで立っていた。
「カミラ、戻ろう」
そこにユリアンネもやってきて、カミラの手を引いて自分たちの席に連れ戻る。