作品タイトル不明
ダンジョン奥のキング
「サンダー、大丈夫?」
ユリアンネが、左手の方に分かれたサンダーとドロテアを気遣う。
しかし、サンダーからは問題ないとの返事があったので、敵に回り込まれないように壁魔法を発動する。念のため、サンダーたちの様子も見えるように≪氷壁≫である。
「よし、早く倒して助けに行こうぜ」
シミリートもサンダーとの競争というよりは、ドロテアとユリアンネの実力差による影響を気にしているのだろう。
シミリートに対してまで攻撃するフレンドリーファイアにならないように、少し奥のハイオークメイジとアーチャーに対して、≪爆炎≫と≪爆雷≫を発動する。
「あれはしないのか?」
シミリートは最近便利に使っている≪泥沼≫のことを言っているのだろう。
「そうね」
大きなキングには効果があるか分からないが、キングに比べると小さな上級ハイオークたちは足元を取られてくれる可能性がある。
実際に試してみると、シミリートたちと対峙しているおかげで敵も足が止まっているので、思ったよりも効果があった。
「じゃあ、ついでに」
洞窟タイプであり地面が見えているので、土精霊ペクトーンとの契約に基づき、その近くにいる精霊たちにも、その≪泥沼≫の補強を頼んでみる。
さらに、サンダーたちが相手しているハイオークたちの方にも、≪泥沼≫を広げるように発動しておく。
「助かる!」
サンダーがこちらを見ずに謝意を伝えてくる。サンダーが対峙できない奥にいるメイジやアーチャーの相手は、ドロテア1人ではどうしても追いついていないからである。