作品タイトル不明
キャンプ地での騒動2
「うわ!なんだ、これは!」
ユリアンネがシミリートの合図を受けて、発動したのは≪泥沼≫である。
相手が5人だがある程度は固まって襲って来たので、3回ほどの発動で5人ともを沈められる泥沼が完成している。
「うわ!危ないだろうが!」
腰から下が泥にはまっているので、武器を持った手を沼から上に出そうとすると、近くの仲間を傷つけそうになる。
「そうは言っても……」
「何なんだよ、これは!」
「うん、なかなか良い感じじゃないか?」
「そうね。もうちょっと慣れて、発動をもっと速くしないと、魔物には逃げられるかもね」
「ま、確かに。魔物の方がこいつらほど鈍臭くないだろうし」
ますますシミリートがあおるので、そのシミリートの方を向くように武器を振り回すチンピラたち。
「ほら、危ないだろう?」
そう言いながら、シミリートは自身の黒い槍を器用に操り、彼らの武器を弾き飛ばして武装解除していく。
「やっぱり便利だな、こいつ」
「サンダー、悪いけれど衛兵を呼んできてくれないか?」
シミリートは王都にいる衛兵を呼んで後始末をさせるつもりのようである。
先日の強盗みたいな自称商人のこともそうであるが、自分が迷宮都市トリアンの衛兵だからか、衛兵の使い方に遠慮がない。
「衛兵が来るまで、俺たちはこいつらが悪さをしないように見張っておこうか」
「それにしても、これだけの元気があるならば、魔物を狩りにでも行けば良いのに。あの人に言うくらいならば」
「実は……ゴブリンにやられてから、このキャンプ地から出るのを怖がっているのです」
「お前!」
目を治療した男が状況を背景を説明すると、チンピラたちは顔を真っ赤にして怒るが、固まり出した泥沼からは余計に動けなくなっている。