作品タイトル不明
キャンプ地での治療2
「本当にありがとうございました」
案内された小屋で寝込んでいた老婆。その老婆に、それこそ学んだばかりの≪病治癒≫を発動するユリアンネ。
やはり不慣れであり上手く発動していない気配もあったのと、咳が強かったことも踏まえて、肺の構造をイメージしながら何度も発動したのである。
「おい、本当に治ったのか?確かにはっきり話せるようになったし、咳き込みも無くなったな」
「あぁ、このお嬢さんのおかげだよ」
フードをおろしてマスクをしているので、顔はほぼ隠れているのだが、若い女性であることは分かっているはずである。
「いったん落ち着いただけかもしれないので、油断はしないでくださいね」
老婆であることからも、何が原因か分からない。それに自身の発動したのはあくまでも≪病治癒≫程度であり、軽い肺炎ならば治せたとは思うが、それ以上にこじらせていた可能性も考えてしまう。
また病で寝込んでいたのならば、年齢を踏まえると体力がかなり落ちているはずである。
「おぉ。本当に治ったんだな!ありがとう!」
その男性の声が大きく、キャンプ地のあちこちから来ていた野次馬たちにも、状況が伝わったのだと思われる。
小屋の外からも歓声が聞こえてくる。
そして、小屋を出たユリアンネたちは、ここの住民たちに取り囲まれる。
「本当に治療してもらえたのか?本当に金を取らないのか?」
「はい。いま手元に余裕がないならば結構です。ただし、無料ということではありません。お金は余裕ができたときに、教会に払いに行ってくださいね」
シスターに念押しされていたことを思い出したユリアンネは、皆に聞こえるように説明する。
「とにかく今が払わなくて良いなら。あっちにも来てくれ」
「いや、あっちにも!」