作品タイトル不明
キャンプ地での治療
「え!?それは危ないな。俺もついていくよ」
さらに翌日も教会に行き、治療行為の手伝いと写本の続きを終わらせたユリアンネ。その日も別人を連れてきていた避難民の男性に、病人の場所を教わっている。
その旨を仲間たちとの夕食の際に話をしたユリアンネに対して、いつものようにシミリートが申し出てくる。
「それでしたら、私も治療のお手伝いに」
「じゃあ、俺もついていくよ」
「そうね、テアとサンダーも行ってくれるならば安心ね」
「カミラ、その言い方だと俺だけだと不安なのか?」
「あら、槍や剣の腕以外のところは不安いっぱいだけど?」
「ぐ……」
ある意味いつもらしい、仲間たちとのにぎやかな夕食となっている。
「で、ここか」
「確かに王都には入りきれないとはいっても、こんな状態だったのね」
王都からあふれている避難民たちのキャンプ地に、ユリアンネたちが来るのは初めてであった。
掘っ立て小屋という単語が頭に浮かぶ。もちろん、基礎石を使わず柱を直接地中に埋めて建てるという言葉の定義を知っているわけではないが、粗末で簡易的な小屋という理解である。
「おぉ、立派な馬だな。あんたたち、やっぱり裕福な人だったんだな。施しをできる余裕があるとは思っていたが」
教会に病人を連れて来ていた男性が近寄ってくる。
「今日は他の仲間も来てくれたのか?」
「えぇ。こちらも回復魔法を少しは使えるので」
「そうか、それは助かる」
「おい、バァさん。本当に来てくれたぞ」
先導して案内してくれる様子を見ると、この男性は視力が弱いようで、あまり遠くははっきり見えていないのかもしれないことに、今さらながらに気づく。