作品タイトル不明
薬への難癖2
「お前たち!」
翌日になり、伝言されていた家に来てみると、かなり大きめの建物であった。
大きな庭付きの貴族のような邸宅ほどではないが、道路に面した立派な建物の家である。
ノックして入り、案内された応接室で待っているとやって来たのは、焼肉屋にて2度接触のあった傲慢な商人たちであった。
「この度は私どもの取り扱っている薬に不都合があったとか」
シミリートが先に話し出す。トリアンでのことを踏まえると、このような男たちにユリアンネが薬師であることを知られたくないからである。
「は!所詮は冒険者がお遊びでやっている店舗経営か。だから効きもしない薬を売ることになるんだ!」
「私どもの薬で効果がなかったと?ちなみに、どの商品を購入いただいたのでしょうか?その残りを含めて拝見できますか?」
シミリートが相手の挑発には乗らず、丁寧な口調で答える。
「これだ!お前のところで金貨を払って買ったのに、全然効果がなかったぞ」
「こちらは傷回復ポーションですかね。それで、効果がなかったという傷はどちらですか?」
商人が顎で指示したところで、壁際にいたチンピラの1人が左腕を出してくる。
そして血のにじんだ包帯をはずすと確かに傷がある。
「おや、これはまた。剣で斬られたのですかね。しかし、この程度で高級ポーションを使用されるとは流石はお大尽。私どもの店で金貨で購入されたなら高級ポーションですよね」
「いちいちうるさい。この傷が治らなかったんだ。賠償して貰おうか」
「そうですか。不思議なお話ですね。私どもの店で購入されたとおっしゃるそのポーションの瓶は、私どもが取り扱う商品の瓶と形状が異なります。さらに、私どもの店の高級ポーションでこの程度の傷が治らないわけがありません」