作品タイトル不明
薬への難癖
「ユリ!助けて!」
ダニークの件のあとは、サンダーとドロテアだけでなくシミリートとユリアンネも、冒険者ギルドの依頼にもとづいてダンジョンなどの魔物退治に明け暮れている。
正直なところ、低ランクの魔物相手であるので報酬額は安いが、この国の安全のためと割り切っている。
店舗を所有しているユリアンネではあるが、留守番組であるカミラ、ゾフィたち、そして孤児院のザリーナたちに店舗を任せてある。
その留守番をしていたザリーナが、帰宅したユリアンネに泣きついて来たのである。
話を聞くと、ユリアンネの店舗から購入した薬が全然効果がないとの文句があったらしい。
「お店に来たのは使いの人らしくって、ちゃんと金貨クラスの賠償ができる人が家まで来るように!って、言い放って帰って行ったのよ。私は単なる店番だからと、今日のところは帰って貰ったというか」
「それはごめんね。怖い思いをさせてしまって」
「使いって言っても、チンピラみたいな奴だったわ」
「なんか怪しいなぁ。俺もついていくよ」
「シミ、ありがとう。でも、ここでは衛兵の権限はないから気をつけてよ」
「分かっているさ」
「俺たちも行った方が良いか?」
「ありがとう。でも、大丈夫だと思う。サンダーたちは魔物退治の方を続けてくれる?」
「そうか?分かった。気をつけて、な」
正直なところ、サンダーやドロテアがついて来てくれる方が安心ではある。
先方がチンピラを雇っているのであれば、人数もたくさんの可能性がある。
しかし、こちらは店舗運営側なので、多くの人数を連れていくのではなくシミリートと2人だけの最少人数にしておいた方がもめない、との判断である。