作品タイトル不明
ダニークの1人訓練
「あ、道からさらに林の中に進んだわよ」
使い魔シルヴィスの視界でダニークを尾行しているユリアンネ。
徒歩のダニークよりかなり離れた後方で、騎乗して追いかけて来ているシミリートとの2人。
すでに街道からそれて来た脇道を少し進んだところにいる自分たちにすると、騎乗で林に入るのは抵抗感がある。
普通のときであれば、戦馬の賢さを踏まえると全く問題はない。
しかし、今はダニークに気づかれないように尾行しているところであり、木々の間を戦馬という大きな馬が2体通る際に発生させてしまう音が、尾行の阻害要因になることを懸念するのである。
「ダクがあまり奥に行かないようであれば、俺たちはこのまま道を進むことにしよう」
シミリートが愛馬ライオに指示をして先導していく。ユリアンネの騎乗しているゼラがあまり他のことに気を取られないようにする気遣いである。
「シミ、ありがとう」
そのことに気づいたユリアンネの小さな言葉に、過剰に反応するシミリート。
「この程度のこと、いくらでも」
「ちょっと待って」
そのシミリートに対して待ったをかけるユリアンネ。
「ゴブリンと戦闘開始したわ。でも相手は1体だけね」
「大丈夫なのか?」
「あ!……ふぅ。……まぁなんとか動けている感じね。まだまだ危なっかしいけれど、あんなに上手だったかしら」
「ま、ダクも思うところがあったんだろう。あれからしばらく経つし、最初からゴブリンを相手にしたのではなく、剣の素振り練習もたくさんしたんじゃないのか?あー、俺も見てみたい」
ダニークを少しは指導したシミリートとしては、師匠みたいな気になっている。