作品タイトル不明
ダニークへの尾行3
ダニークは1人、目的地がはっきりしている感じで、城門を出てもスタスタと進んでいく。
早朝なので街道を進む人はほぼ居なく、目視できる距離で尾行をすると、どうしてもこちらに気づかれてしまう。
「大丈夫だって。もうゼラも十分に慣れた感じだから」
ユリアンネが使い魔シルヴィスの視界でダニークを見ているので、自分の身のまわりを意識しないために目をつむっている。
それがシミリートから見ると危なっかしいというのであるが、実際にはユリアンネも愛馬である 戦馬(バトルホース) のゼラとは慣れたもので、目をつむるどころか単にまたがって寝てしまっても大丈夫と思われる。
シミリート自身も愛馬のライオとは同様の状況なので頭では理解しているが、気になってしまうのである。
また、いくら安心して身を任せていると言っても、ユリアンネは目をつむったまま背筋を伸ばした格好になるのは危険なので、腰から上は馬の背にうつ伏せになっている。
その横を普通に騎乗しているシミリートがいるのだが、2体の巨大な馬と、片方には普通に騎乗していない女性がいるので気になる人には気になる格好ではある。
「ほら、街道をそれて行くわよ」
すでにある程度は明るくなって来ているので、街道近くの草原で避難民らしき格好の集団が 角兎(ホーンラビット) の狩りを開始している。
そちらのことはもうすっかり気にしなくなったのか、ダニークの足取りは迷いなく街道からそれていく脇道に向かって行く。
「そっちにはゴブリンたちの集落でもあるのを知っているのか……」
「そうなのかもね。あ、背中の盾を左手に装備したわ」
「じゃあ、もう少ししたら遭遇する可能性を分かっているのだろうな」