作品タイトル不明
ダニークへの尾行
店番をしていた孤児達へのお礼の焼肉屋から帰宅したところで、翌日からのことを相談する仲間たち。
「この国でも最初の頃にまわったダンジョンでは、魔物が復活してきていたんだよな?」
「まだ手付かずになっているダンジョンにも不安があるわね」
「でも、食糧難の話もあるよな」
「俺たちはこの国の運営者ではないから、全部のことをやる必要もないし、出来もしないぞ」
「私は、ダクのことが気になるわ」
皆とは少し違うことを発言するユリアンネ。先日、ダンジョン攻略から戻ってきた時に彼の怪我を治療したのが自分なので、あのときの雰囲気が気になったままなのである。
「確かに……角兎の狩場を避難民の大人たちに追い出されて、ゴブリンにやられたんだよな。それからずっと1人で訓練しているとか」
「ま、毎日、孤児院には戻って来ているようだし、大怪我はしていないのならば安心だが」
「でも、何か1人で無茶をしているならば、孤児院にも戻れなくなることも。いえ、最悪の場合には……」
「冒険者になるならば最悪を覚悟すべきだが、まだアイツにははやいよな」
「よし、明朝、アイツをとっ捕まえて聞くとするか?」
「いや、素直に話すとは思えないぞ」
「こっそり尾行するか」
最初は心配から始まったはずなのに、いたずら心が湧き上がった感じのシミリート。
「じゃあ、俺とユリで尾行して、危なかったら助けることにするか」
「なんで私たちなのよ」
「だって、ユリにはシルヴィスがいるから、バレないように尾行もやりやすいだろう?」
シミリートが指差したように、今は腕輪になっている使い魔のシルヴィス。確かに尾行に自分が適しているのはわかるが、そのペアが、とは今さらの話なのであろう。