作品タイトル不明
ドラゴレシエ国の貴族
オリガ王女から自分たちのことを聞いているということは、この国の中枢の人物たちであると想像される。そんな人物たちが、この焼肉屋にいるのである。
「ははは、気にするな。今日の俺たちは、皆と同じく、この焼肉屋の普通の客だ」
「この店の調理の腕を気に入っている客同士ということだ」
「いや、そちらの料理人の腕はもっと良さげだな」
貴族であると想像したこちらの推測を否定する感じはない。ただ、この場ではそれに合わせた態度をとって欲しいという要求をするわけでもないようである。
「お騒がせして申し訳ありませんでした」
「ご覧のように子供たちと来ておりますので、別の意味のお騒がせをしてしまうかもしれませんが、ご容赦の程を」
「ははは。アイツらのうっとうしい言葉に比べたら、子供たちの素直な言葉は、逆に楽しませて貰うさ」
シミリートとサンダーからの言葉に対しても、席に座ったままではあるが、構わない、好きにしたら良いという感じで返事をされる。
こちらの大人8人と状況を理解した感じのザリーナだけは、自分たちのテーブルのところのままで、立って頭を下げる。
それに片腕をあげて答えてくる。
「イスクラディヤ国の状況に耐えられないと独立したこの国らしいというのか」
「そういう人たちのこの国には負けて欲しくないわね」
カミラとユリアンネがこっそりと会話をするが、子供たちは届き始めた肉に夢中なようである。
「ほら、まだお代わりすれば良いのだから、喧嘩しない」
「だって、これ美味しい!油断するとすぐになくなる!」
「いらないなら、もーらい」
「ダメだって!」
最低限のマナーは教えるべきであるが、たまには子供らしい元気さを発揮させるのも良いのだろうか。
先客は声に出さずに笑ってこちらを見ているので、見逃してくれるつもりなのであろう。