作品タイトル不明
再度の焼肉屋3
「何を。冒険者風情が知ったかぶりを」
金持ち連中は、ジーモントが店員に上位ハイオークの調理のコツとして伝えた内容を信じていない。
「いえ、確かにおっしゃることは。言われてみないと気づかないことで。こちらのお客様たちにはそのままでも満足頂いていたので、気にしていませんでした」
「実際に試して頂けますか?」
「はい、早速」
金持ちからの横槍は気にせずに、店員にすると良いことを聞いたので早速試したいという感じで厨房に肉を持って戻っていく。
しばらくすると驚いた顔で、焼いて切り分けた肉を皿に乗せてジーモントの前に走ってくる。
「確かに、全然違います!」
「何!そんなバカな。こんな冒険者の若造が」
語彙がない罵倒を繰り返しながら、テーブルにあった未使用のフォークでその肉を口に放り込む。
「う!」
「なんの冗談を」
隣の仲間が味に驚いた雰囲気を見て、自分も肉のカケラを口に入れる。
「……ふん、この程度のことで」
ただ具体的な否定はできていないので、何もしていなかった先ほどまでの焼き方に十分満足していたことを、恥ずかしくは思っているのだろうか。
「もうこんな街、さっさと出ていくぞ」
「確かに。商売を教えてやろうと思っても、金も持っていない奴らを相手ではその力を発揮できそうにないからな」
聞いてもいない捨て台詞を残して、店を出ていく金持ちたち。
「良いぞ、お前たち!」
出て行った金持ちたち以外にいた先客のテーブルから声がかかる。
「せっかくの居心地の良い店だったのに、アイツらのおかげで」
「あんたらが、オリガ様がおっしゃっている頼りになる冒険者たちなんだろう?」
「助かっているぞ!」