作品タイトル不明
【コラボ】没落貴族のボス攻略、クールな姫の参謀が助けてくれるらしい
ゲームを起動し、溶鉱炉ボスまでのルートを進み始めた。
「最初の敵、左から回り込んで攻撃してください」
「わかった」
俺はキャラを左へ動かした。
「……あ、右です」
「……」
訂正するのが少しだけ遅かった。視界の隅にでも自操作のキャラクターが映ったのか、こちらが攻撃を仕掛けるよりも早く振り返り、すぐさま切り掛かってくる。
《あら》
《道中で死にかけてるやん》
《右と左がわからんの草》
「す、すみません。私が間違えました」
右と左、たまに間違えるんです、と即座に言い訳する。
「仕方ない、私も咄嗟の時は間違えることもある。もう覚えたから、次は問題なく行けるであろう」
《ベルン様のフォローが光る》
《まあ誰にでもミスはあるから...》
気を取り直して先へ進む。道が二手に分かれていた。
「左です。こちらからボスエリアへ向かえます」
「わかった」
俺はキャラを左へ向かわせた。しばらく進むと、広い空間に出た。
「あれ……」
ユリナの声が少し変わった。
「……なんだ」
「ちょっと待って——」
待てなかった。広間の奥に敵の姿が見えた。俺は剣を構えた。
「ベルン様、そこは——」
「来い」
距離を測りながらボタンを押すタイミングを伺っていると、突如、死角から現れる。それも4体。
一体だと思っていた敵だったが、左右の影に潜んでいたらしい。ぞろぞろと湧いてきた。気づいた時にはすでに囲まれていたようだ。
1対4、数的不利はどうにもならず、なすすべがなかった。
『YOU DIED』
《あ~~~》
《方向音痴やめてね》
《参謀、ベルン様を大群に誘導する》
《もはや謀殺で草》
《参謀に売られた没落貴族www》
「……ごめんなさい。道、間違えました」
「……そうか」
俺は努めて平静を保った。脳裏に、配信前のユリナの言葉がよぎった。
——任せてください。
……本当に大丈夫か、この指示役。