軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

74.イケメンからの思わせぶりなハトメール

ソーダにめちゃくちゃ羨ましがられた。

だろう、もっと、もっとだ。いいないいなと言われるたびに俺のソファの価値が上がる。

「えー、部屋いいなぁホントに。こうなると部屋拡張も考えたくなるよなぁ~」

「拡張?」

「いや、まだ出来ないし、この後も出来るかはわからないんだけど、同じ運営の前のゲームはどうしても敷地の限界で、中が異空間の部屋拡張施工とかがあったんだよ」

「へー、そうなったら、ロフトの下を戸棚にして、ソファを別の場所に置いてもいいしなー。夢広がるな」

「今、窓もないからな。電気もないだろ。夜目効くし、部屋に入ったら即ログアウトだから気にならないけど」

「まあ、プレイヤーしか住まない場所だからね」

「ってお前、金は!?」

俺はソーダに向かってサムズアップする。

「武器修理も合わせてほぼゼロになった!」

いや、50万は残ってる。ゼロとは違うな。

「名前の通り生きてるんじゃねーよ」

「刹那的ではまったくないぞ。堅実に、アンジェリーナさんの元に通ってる。や、装備とか借り物で悪いんだけどさ」

「装備品は人に貸すときは帰ってこないと思ってるし、そこら辺のレベル帯のはもうつかわないからいらん。やったつもりだからそこは問題じゃない。……まあ、貸本代は微々たる物だし、ミュスで取り返せるけど、お前メインミュス狩りなんだから、稼げそうなクエストは積極的に受けとけよ~?」

稼げる稼げないの判別がつかない。

ソーダは呆れながら狩りに行き、俺はソファにゆったり座りながら本を読んだ。

あー、読む速度が遅いのか。まあでもこんな日があってもいいだろうな。

薄暗くなってきたので、本を【持ち物】にしまうと俺は始まりの平原へと向かった。

「今日も今日とてミュスちゃんと~」

適当な歌詞とメロディーで歌っていたらミュスが逃げる逃げる。

ダメだ。【隠密】も使おう。歌ったらダメ。

と、ハトがやってきた。夜のハト綺麗だな。ライオンも綺麗だったけどさ。

『少し気になることがある。もし10日以内に俺から連絡がなかったらミトの娘さんに預けている手紙を受け取ってくれ。彼女も君のことは知っていた。連絡を入れるとも言ってある』

やっかいごとぉぉぉ!! こんなんフラグでしかないじゃん。

えー、やっぱり一緒に行くべきだったってこと? ううん……。

セツナ:

聖騎士のヴァージルって知ってる?

ソーダ:

唐突だな……ちょっとまってろ。

ピロリ:

聖騎士ってイケメンパラダイスって聞いたわよ♪

八海山:

中身のこと考えるとお前がそーゆうこと言うと怖いからやめろ。

ピロリ:

俺は一筋だから絶対そーゆうことはないっっ!!

半蔵門線:

なかみ~~~なかみでちゃったでござるー!! リア充爆ぜろぉ!

そう、先日なぜピロリが女性キャラを貫いているか聞きました。

前のVRでは男性キャラでやっていたら、配信をしていることも相まって、モテ倒したらしい。そして、彼女さんが嫉妬で大変だったので、今回は女性キャラになることになった。

男でおかま(ごりごりの)プレイをするか、可愛い女の子をするか迫られ、このデザインも彼女さん指定。

ソーダ:

ヴァージル・アスター?

セツナ:

そうそう。そのヴァージルさん。

ソーダ:

イケメンランキング1位。

えーと、ファンクラブと専用板がありました。

セツナ:

マジか。ヴァージルさんから匂わせ誘い受けメールもらったんだけど、どーしよっかなぁ。面倒くさそうなんだよなぁ~。

ソーダ:

ヴァージルはミト関係と家族関係でクエストあるらしいな。ミトを父親のように慕っていたとか、ざーっと見てそんなことがたくさん。

クエスト名は言わない方がいいだろ?

セツナ:

うーんそうだなぁ。まあしかたないや。ゲーム内10日後だから、3日後か。俺が反応できるのは4日後かな?

ソーダ:

レベル的にキツそうな展開になったら呼んでくれたらヘルプする。

セツナ:そのときはよろしく。

じゃあそれまでは本とミュスでのんびり暮らそう。

宝珠のおかげでミュスの首元にダガーを突き刺すとき、驚くほどすっと入るようになった。筋肉ってつおい。

10日って、ちょっと面倒なのでフライングでファンルーアに参りました。ここは本当にちょっと来ただけだ。せっかくだから飛行船に乗って行こうかなと思ったら、飛行船代が5万シェルだったのでやめました。あほか-!! 初回、ピロリか半蔵門線が出してくれてる。何かで返そう。

八海山にお願いしてポータルを出してもらった。

あの鉱山なら1人で行けそうだから、今度緑水晶採り行くことにします。

メールをもらってからまだ7日しか経っていない。まあ今日何も見つからなくても次ログインしたときにパン屋に行けばいい。

ファンルーアは穀倉地帯。小麦大麦がメインの土地だ。山羊座を門に描いている。

とりあえずは神殿でお祈りをしてからにしよう。

神殿はどの街でも同じ位置。そして山羊座の彫像。下半身が魚、上半身が山羊だ。そこまでは神話通りだった。

あと、この街は海にも接している。が、街が高台にあり、その手前に穀倉地帯が広がる、という不思議立地。高台の向こうが海だ。崖が延々と続いており、海の恩恵はあまり受けられない。

プレイヤーは街に入るまで、ずっと眼前に広がる穀倉地帯を眺めることとなる。

心の中で、ヴァージルさんが無事帰ってきますようにと願った。

さて。

まだタイムリミット前なのだが、ハトメールを飛ばしてみることにする。

さあ行くのだはとぽっぽ!!

『ファンルーアに来ました。何かお手伝い出来ることがあれば呼んでください』

ゲーム内、今は午前3時。まあ普通なら寝てる。神殿に行ったのは神殿なら夜中でも問題なしだから。

フィールドのモンスターにチャレンジしてみようか悩むところ。たぶん、ファンルーアからイェーメール方面ならギリギリ戦えるくらい。この2都市間が飛行船なのは、かなりの距離があるからだ。

第3都市が開放される前は飛行船が休航していたそうだ。

夜なので店はどこもかしこもお休み。

思い切って宿屋で時間スキップはありかなと思いつつ、街の中を【隠密】使いながら歩き回っていると、なんか、明かりの灯った看板付きの建物があった。看板イコール店なのだが、暗くてよく見えない。

そして近づいてみたらびっくり、貸本屋看板。

こんな時間に開いてるの!?

意を決して扉に触れると、開いた。

店内にカランとドアベルが鳴る。

カウンターに座っているのはおっさんだ。

まあ、あっちこっちにアンジェリーナさんクラスの美人がいるわけがないか。