軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

70.まさかの破壊

『セツナさんありがとー!! おかげでクエスト受けられたよ!!』

『いえいえ、頑張ってください』

『独学露店商人で売ってたんだけど、なかなか服じゃないと難しくて〜クッションとか全然売れやしないのー!』

まあ、クランハウスないとね。

『2週間前に運良く師匠に弟子入できてさ、もー! 頑張るから!!』

テンションアゲアゲになっておられる。

『高い金払うからよろしくお願いします』

『あ、はーい。師匠チェック入るからそこは大丈夫だと思う!』

マルスはだいぶ頑張ってくれるらしく、1ヶ月で仕上げる予定だとか。ソファを先にして、ロフトベッドと同時に搬入できるようにしてもらうことになる。

楽しみだ。

「いっ、1カ月!?」

モヤシラはちょっと予定外のようだが、頑張ってね。

夜も遅くなってきたということで、マルスと分かれて日課をこなしてログアウトだ。

ミュス狩りは無心になれていいなぁ。

ザックザック始末して行くぞぉ〜!!!

と思っていたら突然、ガキンと音がして、短剣が壊れた。

えっ???

えーっ!!!!!

慌てて街に帰ってとりあえず狩った分の尻尾を納品。

「いつもありがとうございます。……何かありました?」

大きなため息をついていたら冒険者ギルドのお姉さんに気を使わせてしまった。

「えっ、いやあの……短剣が壊れてしまって……」

「あら、武器や防具はメンテナンスも大切ですよ? 完全に壊れる前に鍛冶屋で手入れしてもらうことをオススメします」

「完全に壊れたら……?」

「うーん、その武器によるので、鍛冶屋で聞いてみたらどうでしょう」

実は武器、ずっと使っていたものはすでにソーダに返して、代わりに借りた『西風のダガー』と言うものになっていた。装備すると素早さが+15になる素敵なダガー。

前のはレベル制限なしだったが、こちらはLv15以上だ。

借り物を壊してしまった……これは、絶対直さねば!!

鍛冶屋といえば、イェーメールだ!

武器なしなので、宿敵ミュスに遭遇しても手が出せず、バッドバットが攻撃してくるのをひたすら逃げながらになった。

クランハウスにストックしてた酒を持ってきた。

奴らにはやっぱりこれが一番。

しかし、まさかその日のうちにとんぼ返りすることになるとはっ!!

しかしもうあまり時間がない。イェーメールについてログアウトしなければ。

くっ……明日。明日ログインしてすぐ……夜中ぁ!! いや、ちょっと早く入るか。仕方ない。歩きと筋トレを省略しよう。

明日だ。待ってろよ、 小人族(ドワーフ) の鍛冶屋さん!!

定時上がりでダッシュ。これでっ!! 向こうの時間で18時頃には入れるはず!

「ようセツナ! まださすがにできあがってないぞ?」

ルンゴさんのお店に滑り込みました。

「それが、俺の武器が壊れちゃって。直してもらえる鍛冶屋さん紹介してください!!」

ニホン酒ドン!!

せっかくアクセサリーが出来るまでは開店を遅らせるって言ってくれたのに。ファマルソアンさんごめんなさい!!

「俺はお前のアクセサリーで手一杯だからなぁ。とりあえず見せてみろよ、その武器。んで、できそうなやつを紹介してやるから」

酒を前にしたルンゴは優しかった。

俺は【持ち物】の中から壊れた『西風のダガー』を取り出す。

「お前、いいもん持ってるなぁ」

やっぱりいいもんなのかーっ!!

「完全に壊れる前ならやりようがあったが、これは結構かかるぞ」

「お金なら……お金なら……多少はっ」

「ちっとまってろ。誰がいいかなぁ」

そうやって紹介されたのはウラルさん。

「あー、これはすごい、やっちまったな」

「ううう……直りますか?」

「直りはするが、金がかかるぞ? 新しく作った方が早いが、それには材料がいるな。結構な危険地帯だったはずだ」

あああ……。助けてぇ……。

「おいくらくらいかかります?」

「まあ、俺らにニホン酒を与えてくれたセツナの頼みだからなあ……それでも250万シェルはかかるぞ」

ロフトベッド150万、ソファ135万、合計300万弱。尻尾200に歯400で600万。足は出ないが、超金持ち気分が一瞬でスンッてなった。

「……よろしくお願いします。いや、ちょっと頼む前に一応確認を」

NPCには高いけど、俺らユーザーにはお手頃価格で露店で売ってるとかがあるかもしれないから。

禁断の掲示板に乗り込むことにした。

ゲーム中も、ネットを検索することはできる。確か、便利な露店商品検索サイトがあるとかなんとか。

わりとすぐ見つかって、『西風のダガー』と入れてみる。……出品ゼロ。仕方ないので、運営の用意した掲示板を全体検索かけてみた。

たくさんヒットしたそれを開いて絶望する。

おう、そんな高いもの貸さないでくれソーダよ。600万シェルで取引希望とか見つけたんです。わりと直近の日付で。

「うん、よろしくお願いします」

俺は頭を下げると同時に2本目のニホン酒を差し出した。

おかしい。おかしいな。600万シェル超えのお金持ちだったはずなのに。ちゃんと説明読まないとダメだな。うん、武器のところに耐久0になると壊れるって書いてあるんだよね。ちなみに耐久値出てたね。なんかバーがあるな位にしか思ってなかった。防具は言うほど食らわないからな。あと、結構こまめに【洗浄】かけてたのもよかったようだ。

「セツナ、お前武器なんかあるのか?」

「何にもないです……」

修理に六日かかるって言われた。つまり丸二日間暇になる。

店が開いてる間は本屋に入り浸るしかない。

「なら修理の間はこれ使ってろ。うちの弟子が作った短剣だ」

とウラルが差し出した物を受け取る。

え、優しい。代車システム搭載されてるの?

「さすがに六日じゃ壊れないだろうし、切れ味とか、評価してやってくれ」

「ありがとうございます!!」

わああい。ダガー完成するまで大人しくミュス狩りしておこう。あと、一応ソーダにもお詫びのメールをしなくては。

俺専用マップ、始まりの平原でミュスを狩ってるとソーダがやってきた。

「セツナ~」

「あ、ソーダ。メールの通り、すまん」

「俺も耐久言っておけばよかったなぁ。というか、ミュスだけでそんなに減るなんて思ってなかったよ。素早さ+15に変わるようなもんは他にないからなあ。もう依頼したんだろう?」

「ああ」

「勉強代、高かったろうけど、これでイェーメールの鍛冶屋とはがっつり仲良くなったからいいだろう。うちのクラン鍛冶育ててるやついないしなー。しかし、250万シェルか」

「高かった」

「やっすいな」

んん?

「まあ、掲示板やらの情報収集しないからわかんないだろうけど、完全破壊はもう新しく作った方が断然早いんだよ。それを250万シェルとか、安すぎ。新しく作っても素材代で500万するからな! 自分で集めるなら別だけど。俺の武器の耐久値回復も、今度酒屋出来たら頼みに行こう。そのときは一緒に行ってくれよ」

「任せとけ」

「アランブレより安くつきそう」

ちょっと攻略先行クランとは金銭感覚が合いそうにありませんでした……。