軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

66.ニホン酒の買い付け先

そんなわけで、オーナーを通じて呼び出すかと思ったら、ルンゴさん自ら連絡を取ったそうだ。

そして、1時間もしないうちにくる、最悪のお友だち。

いや、顔!!

なぜそんな嫌悪感あふれる顔をしているんだ。やめなさい……。四面楚歌どころじゃないよ。

「野蛮極まりない小さき者からの呼び出しに応じてやったんだ、早く用件を言え」

「ファマルソアンさん!! こっち頼む側なんですけど!?」

爪いらないのか、あんた!!

「よう! 高慢ちきの長耳野郎。こっちの来訪者の坊っちゃんのほうがよっぽど状況を理解してるじゃねえか」

広場の真ん中で、2人でいがみ合ってる。周り全ドワーフなのによくやるよね。

柚子も初めて会ったので、なんじゃこやつは、とつぶやいていた。

「なんでも、俺に宝珠のアクセサリーを作って欲しいそうじゃないか」

「それは間違っている! アクセサリーが欲しいのはセツナさんだ!!」

「アクセサリーがあなたの欲しいものを得る手段なんだから、ファマルソアンさんの欲しいものでしょうよ」

あなたも頭を下げる側です!!

「まあいい、長耳に何を言ったって歩み寄る気はないだろうさ。だからな、俺は、アクセサリーの代金に、酒屋を要求する!! ニホン酒を取り扱う酒屋をこのイェーメールに開け!!」

おおおおお!!!

と 小人族(ドワーフ) たちが地を這うような低い声を上げる。さらには持っているジョッキやフォークをテーブルにガンガンと打ち立て始める。

俺はファマルソアンをちらりと見やる。

彼は忌々しげに口を歪めて両腕を組んでいる。

「別に格安でなんて言わねぇよ。正規料金でいい。ニホン酒、昔、一度飲んだことがあったが、今回改めて、癖のある美味い酒だって思った。だがあそことはかなり離れてて運送費がかかるらしく、なかなか入荷したと聞かない」

美味しかったんだなぁ…… 小人族(ドワーフ) さんたち。うんうん頷いてて、ちょっと目頭押さえてるやつもいる。

「……計算しないと何とも言えない。ニホン酒だけじゃなくとも、儲けがなければ店を出しても続かない。また、土地があるかもまだわからん。6日後だ」

「わかった。こっちもアクセサリーが作れるよう準備する。材料費はいただくぜ!」

飲み尽くした瓶や、道を塞いでいたテーブルを片付けだす 小人族(ドワーフ) たち。

ファマルソアンに指でちょいちょいっとされて呼ばれる。

「ずいぶんと話がでかくなった」

「そうですね……お店とか、ちょっと想定外というか」

「店は、出せば儲かる。あいつらの飲み方を見ただろ? 水代わりだ」

「あ、今回のお酒も経費ですよ」

「……やはり意図的か。策士だな」

不機嫌そうだった表情が少し和らぐ。

「問題はニホン酒の取引相手のツテがないことだ。誰か知り合いはいるか?」

今は街全体が知り合いみたいなものだ。

「一応いますけど、商売は話し合ってもらわないとですね」

「そこは商売人だ。私に任せてもらおう」

第三都市までは飛行船。そこから先は徒歩……ではなく馬車だ。

魔物には当然襲われる。

だが、御者席のカランさんがめっちゃつよつよ魔法使いだった。

『あの女ヤバいのじゃ!』

納品に忙しいといいつつ、楽しそうでしかないし、ローレンガチラ見したいということで柚子がついてきている。

俺はここら辺のモンスターには負けると言ったとき、大丈夫大丈夫と話していたが、確かにまったく問題ない。

爆走馬車の周りには常に爆発が。

戦隊ヒーロー物ばりに爆発起きてる。その中を颯爽と走り抜ける、一見普通の馬車。

たまに、窓にカッって何かの破片が飛んでくる。傷1つついていないが。

そんなこんなですぐローレンガに着いた。

「絶対に失礼な態度ダメですよ! こー、勢い余る態度というか」

「セツナさん。私をなんだと思っているのですか。これでも腕利きの商売人です。ミラエノランでは一番の大店ですよ」

「ミラ……?」

「そうですね、ローレンガから3つほど行った都市ですね」

つまり、第7都市? なんかさらっと情報いただいた。

「セツナさんはイェーメールでのニホン酒販売を望んでいる私を紹介してくださるだけでいいのです」

たいした自信だ。

お店を尋ねると、タカヒロが店先にいた。

「こんにちはセツナさん」

他にユーザーもいる。

というか、すごく人が多い。ローレンガにプレイヤーの大多数が集まってきているのだろう。

あまりに多くてかなり人が間引かれているらしい。

「こんにちは、タカヒロさん。少しお話がしたいのですがお時間よろしいですか?」

「もちろんです。蔵の方に参りましょうか」

一度ファマルソアンへ目をやったが、尋ねてくることはなかった。

「タカトシ、後を頼むよ」

「はい、旦那様」

ここの親子は本当にもうなんだろう。出来過ぎ!

蔵は日本酒の香りでいっぱいだった。

「今日は実は商売のお願いというか、お願いをしたい方に紹介をお願いされました。ファマルソアンさんです」

「初めまして。わたくしミラエノランを本拠地とし、アランブレやイェーメール、ファンルーアにいくつかの店を持っています、ファマルソアンと申します。今度イェーメールに酒を取り扱う店を出したく、ぜひ、ローレンガの日本酒も置きたいと思っておりまして……」

「迷惑だったら断っていただいていいですからね、タカヒロさん!」

何を言う! と睨まれたがそこはそれ。

「商売のお話でしたか……では何度も申し訳ございませんが、場所を変えさせていただきましょう」

そう言って2人は店の奥へ消えていった。

俺はハザック親方の、残りの日本酒を買って行こうと思います。ポーチほぼ空にしてきた。多少のEP回復分だけだ。

店頭にはタカトシ以外にも2人店員がいて、ユーザーの質問に答えていた。

「やっぱり米は山田錦ですか!?」

「そうですね、ヤマダニシキを使っております」

「わぁーこだわってるぅ」

「日本酒用の、底に青い丸のあるおちょこって売ってますか?」

「当店でも取り扱いがございます」

「わぁー!! こだわってるぅ。それじゃあそれも一緒にお願いします」

日本酒大好き娘がおる……。

作り込みがすごい分、こういったユーザーに応えるように色々やっているんだろうなぁ。

俺はタカトシから残りの金でニホン酒を買った。これで、親方からのお遣いは終わる!

イェーメールに店を出したら通うんだろうしな。イェーメールくらいなら親方もすぐ行けるだろう。俺でも行けるし。弟子に買いに行かせそうだ。

商談はどのくらいかかるのだろうかと思っていたら、そんなには待たされなかった。

「それでは今後ともよろしくお願いいたします」

「こちらこそ、次は私の代わりの担当を伴います。連絡はこまめにいれます」

2人の表情を見るに、双方利のある取引になったのかな?

「さあ、セツナさん。イェーメールに帰って店舗を整えようか」

なぜ俺もそこに巻き込まれるのだ?