軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

64.アクセサリー依頼のために

「この中で一番成功率が高そうなのは誰なんですか?」

バンゴ、ランゴ、ロンゴ、ルンゴ、だっけか?

「さあ、どいつもこいつも短気な 小人族(ドワーフ) どもだ」

「ファマルソアンさん、協力する気ないんですか?」

「あるよ! じゃないと爪がもらえないじゃないか!!」

ソファにぐだっと寝転がっている。エルフのお姉さんの太ももを枕にして。

『これ、アバターをエルフにすると、NPCのドワーフと仲悪くなるの?』

『多少は好感度が下がるらしい。代わりに同種族だと好感度が少し上がる。ただ、毛嫌いされるんじゃなくて、俺たち来訪者はこの世界に合わせたかりそめの姿をとっていると言われているから、どちらかというと、そんな姿になって可哀想にっていう同情が先だそうだよ』

八海山が説明してくれた。獣人は人族とちょっとした確執があるらしい。

「まだ望みがありそうな方はどなたですか?」

ファマルソアンに聞いてもまともな返事が得られないので、絶賛膝枕中のお姉さんに尋ねた。

「そうですね……ルンゴ様はこの中でも一番年若く、お怒りになるのも一番先ですが、気持ちの切り替えができるのも一番早い方です」

一年前から連絡拒否されてるのが一番ましなのか……まあ、冷却期間があったと思えば?

「では、ルンゴさんに紹介状を書いていただけますか? あと、必要経費はまた別途請求しますよ。本来手配までするのがファマルソアンさんのお仕事でしたからね」

「セツナ……君、結構しっかりしてるね。まあ、遠くから応援しているよ。私の爪ちゃんのためにもねっ!」

《ファマルソアンからフレンド申請が届きました》

拒否じゃっ!

「わ、私の連絡先を二度も断るなんてっ……!!」

「ファマルソアンさん、珍しい物ないかってやたらと連絡くれそうだから……今後はこちらのオーナーさんを通して連絡しますね。お金用意していてください」

ミュスの宝珠まだ持ってるから欲しい欲しい言われたら迷惑なんだよ。

司会者もとい、オーナーが便せんを用意して、それにファマルソアンがつらつらと書き連ねる。

さらに美人秘書が蝋封印を取り出し、用意された蝋を垂らすとぐっと押した。

シーリングスタンプだ。かっこいい。ぺろっとなめてぺたんじゃない!

「喧嘩腰の紹介状は嫌ですよ?」

「そんなことするわけないだろう。爪ちゃんのためにならない」

「主人は対面での口が悪いだけなのでご安心ください」

「カランちゃん酷い……」

ちょっと涙目の成人男性エルフ……イケメンだから絵になるのが悔しいなこれ。

紹介状をいただいて、またもや地図にマーキングしてくれた。第二都市、つまりここにいるようだ。

『どうするセツナ。俺らついてく?』

『種族的には俺はついて行かない方がよさそうッ!』

案山子はエルフだからなぁ。

『ちょっと一人でチャレンジしてみるよ。なんかあったらまた相談する』

『クランチャットに連絡入れておいてもらえたら、誰かが対応するよ』

ソーダたちとはここでお別れ。

案山子は香辛料を採りに行くそう。他の四人は狩りだ。

『あ、でもその前に、ローレンガに送ってもらいたい』

『わかった』

八海山の出したポータルに乗り込んで、用事を済ませる。

ローレンガは人で溢れていた。NPCじゃない着物の人たちで溢れてる。俺の装備の方がちょっと浮くレベル。みんな全力で楽しんでるな。

「眠り耐性つくまでレベル上げは無理だな」

「でももう3まできた」

「3回中2回寝てたら負けるんだけどなぁ」

漏れ聞こえてくるのは主に例のフィールドダンジョンの話だ。

みんなやっぱりあの眠り攻撃に苦労しているようだ。

神殿で見かけがヤバイかぶり物を借りることができるのは、あの一回だけなのだろうか? だとしたら完全なる先行特典だ。

八海山がアクセサリーの売り時を検討中だそうだ。知り合いのトップランカーに売るか、それよりも少し下あたりのランカークランに売るか。どちらが利になるか。売るとするなら同時だとかなんだとか言っていた。

ネタクナイノダを手に入れられる前に売った方がいいやつだけど、なかなか見極めが難しいと言っていた。

ローレンガからはクランハウスへ飛ぶ。そしてハトメール。親方に連絡だ。

酒を持っていることをちらつかせれば即返信が来るので、家に向かった。

「よう! 入れ入れ」

荷物の半分はクランハウスに置いてきて、代わりに案山子産の料理を入れてきた。今日は絶対合うはず、クラーケンのバター醤油焼きが入っている。

「とりあえずこれくらい」

と、酒瓶を山ほど取り出す。やっぱり割引が消えなくて困る。NPCの好感度30%増量中だからなあ。あれ、いつ消えるんだ?

「おおお!! ニホン酒! すまねえな」

「約束ですからね」

八海山のポータルとクランハウスへの直行便だからなんとか。緑水晶はこの間俺も結構掘ったし!

「親方、ちょっと聞きたいことがあって。やっぱり 小人族(ドワーフ) の職人さんにお願いに行くときに、酒を手土産にすると少しは心証良くなりますか?」

「んん? そんな小細工しなくちゃなんねえのか? うまっ! クラーケンと合うなぁ! 船の上で酒はダメだって言われちまったから、ニホン酒と合いすぎて……やべえ、これはすぐなくなっちまう」

クラーケンの醤油バターか? それとも酒がなくなるのか? 一升瓶20本はあるぞ!?

「仲が最悪のところから、アクセサリーの依頼をしないといけないんですよ」

「セツナがか!? お前さんが俺らに嫌われるようなことはしないと思うがなぁ」

俺、好かれ過ぎだろ……。

「あー、俺じゃなくて、紹介してくれる人と、紹介される人が仲違いしてて、でもアクセサリーを作ってもらうならその人で、みたいな」

「んんー、よっぽどのことしたのか? 相手が 耳長族(エルフ) のクソ野郎でもない限り、俺らはそんな根に持つことなんて……クソ野郎なのか」

俺の顔を見て語気が濁る。

「お金を出してくれるのがそのクソヤロウさんなんです」

「……すでにやりあった後か」

「……です」

ううんと唸り出す親方。これは絶望的。

「お前さん、ドワーフの知り合い、他にいないか?」

「ドワーフの……」

たぶんNPCってことだよな?

「あとは、鞄屋さんくらいかなぁ。まだこちらにきて日が浅いんですよ」

ぱっと思いついたのはレラントさんだ。今回酒のお土産も買っている。

「ほら、お前のお仲間にもいないのか?」

あー、それなら柚子がいる。

「ドワーフのことわざに、『三人寄れば酒盛り』ってのがあってな」

文殊の知恵だろ……。

「他にも、『袖振り合うも酒の縁』ってやつだな。道で行き交ったやつとも、酒を酌み交わせば生まれてくる前からの仲間だっていう」

もうどこから突っ込めば良いのか!!

「つまりだ、酒に寄って来ない 小人族(ドワーフ) はいねえ!」