軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

55.ミュスの王

ミュスの進化にわくわくしながら、俺は【隠密】を使い先へ進む。

後ろから2人もついてくるが、ちょっとへっぴり腰。まあ、進化してたら敵うかわからないもんね。

『セツナくん、無理しちゃいけないよ』

『わかりました! 危ないなと思ったら全力で逃げましょう』

やだけどねー。

そして見えてきた姿。

下水道の横道に、水のない場所で、大量の……ミュス!! と、奥にでっぷりとしたミュスの進化系。藁のような物の上に集まっていた。巣かな?

名前の部分が???となっている。

名前教えてくれないモンスターとか初めてなんだけども。

「うわっ!」

ビルが声を上げると、ミュスたちが一斉にこちらを向いた。

ギーギーと通常のミュスたちが鳴く中、大きなミュスがギイイイイイイと大声を上げた。

ミュスたちが向かってくる。

「ファイアーボール!」

「ウィンドシールド!」

ダンとビルの攻撃魔法と防御魔法が飛び交う中、俺はうっきうきで小さいミュスに飛びかかった。

探して探してしなくていいなんて最高じゃね?

大きなミュスはその場から動かないで風系の魔法を放ってきた。だが、ビルのウィンドシールドに阻まれて、俺無傷。ありがとう。

普通サイズのミュス、100匹は始末したところでようやく取り巻きの残機が減ってきたようだ。動かなかった大きなミュスがぞろりと身体を起こす。

ノーマルミュスを倒しながらクランチャットで確認作業。

セツナ:

名前が???ってなってるモンスターってつおい?

ピロリ:

え、セツナくん!? 何に遭ってるの!? それ、全ワールドで初のやつよ……。

セツナ:

えっ!? でも美少年名前普通に出てたような??

ピロリ:

あれはエリアボスで、メインクエストの流れだし、先にアナウンスあったでしょ? だからハテナではなかったの。

それ倒すと全体アナウンス流れるよ。

セツナ:

あー、そこは名前別に設定してるから大丈夫なんだけど。

うーん、NPCさんと一緒なんだよなぁ。死なせたくないなぁ。

ピロリ:

エリアにもよると思うよ。ローレンガじゃないんでしょ?

第3は無理だろうけど、第2くらいまでの隠しなら、なんとかなるんじゃないかなぁ。

NPC関連で当たった感じ?

セツナ:

多分。前にミュス狩りして遊んだ衛生局員さんとまた下水道で遊んでたんだけど……。

ピロリ:

下水道www 遊びに行くところじゃないわwww

あんまりにもピンチになったら呼んで~! 下水道なんて入ったことないけど。どこら辺かな?

とのこと。

まあ、ちっちゃくてもおっきくてもミュスはミュス!!

NPCが倒れると寝覚めが悪いのでそれなら俺が一番に倒れよう! そしたら多分、俺を担いで命からがら逃げ出した設定になるやつ。……あ、登録地ローレンガになってる。まずい。いや、担がれたならここで目が覚めるのか。

『俺が先陣を切ります! お二人は安全な場所に』

『防御系バフ山盛り掛ける!』

【鑑定】があれば魔法や攻撃がどんなものかわかっただろうが、残念ながら俺にそのスキルはないし、NPCの彼らにもないのだろう。

今の俺は素早さが売り! 腕力はさほど無い。急所を狙うしかない。そしてミュスの急所と言えば首の後ろ!

大きいミュスは平原で見かけた物とは違って灰色の体表に、長い尻尾。爪と歯が随分と鋭い。

振り下ろされるそれをすんでのところで避けて、背後に回った。

ううん……背中広いなこいつ。自分の背くらいあるのだ。つまり、体格負けしてます。

とはいえ、バフを掛けてもらっているのだ。まあいけるだろう!

思い切って背中に足を掛けると、ブンブンと身体を震わせ阻止された。まあ、そりゃそうか。

『攻撃はファイアボールが基本ですよね?』

『そうだね……』

『雷系あります?』

『俺は持ってるよ』

ビルが言うので、それでは、と思い切り打ってもらうことにした。

「サンダーボルト!」

まるで見当違いのところに向かって振るわれたサンダーボルトに、大きなミュスがギギギギとせせら笑う。いや、ホント、せせら笑ったね、あいつ! が、それはこちらの計画通り。

下水道だけあって、脇道と言えども水がそれなりにある。ないところもある。俺たちはそのないところに立ち、奴らは見事、感電した。

とはいえ、軽くしびれる程度でしかないらしい。

それでも、今のお前の首後ろはがら空きだ!!!

《隠しクエスト:下水道の主 を‡愛の戦士‡ がクリアしました》

《ミュスの王 を ‡愛の戦士‡ が初討伐しました》

《貢献ptが 150pt 手に入ります》

「すごい、すごいよセツナくん!」

「素晴らしい動きだ!」

うん、やっぱりそうたいしたレベルのモンスターではなかったようだ。単に遭遇しにくいだけ。あれかなぁ~ミュス討伐数とかが関係あるのかな? 下水道にたどり着かないといけないから、積極的に納品していないとこれないとか。ありそう。

ミュスの王~の方は全体アナウンスだった。

ピロリ:

セツナくんよね?

セツナ:

ですね。

ピロリ:

……名前?

セツナ:

適当にそこら辺の人のをひねりました!

アンジェリーナさんの愛の戦士です。

受け取ったアイテムは、ミュスの王の爪、ミュスの王の歯、ミュスの王の尻尾、謎の紙切れ、ミュスの王の宝珠。

謎の紙切れとミュスの王の宝珠がなんだこれ……。

後で案山子に鑑定してもらおう!

この下水道で軽く100匹は倒したぞ、ミュス。そしてミュスの王討伐。

もうこれ、俺がミュスの王でもいいやつだな。やだけど。今後ともミュス狩りに勤しむことを誓います。

下水道から出て、ダンとビルに別れを告げる。今日狩った分の尻尾はぜひ冒険者ギルドに納めてくれと言われた。ありがたくいただく。2人の拾った分まで来たらさすがに重量制限。歩く速度が遅くなる。だがまあ、ギルドまでだし。

鞄の分稼がないとな! 親方のアイテムポーチはとても羨ましかったので、お金を貯めようと思いました。ロフト型ベッドとソファの夢もあるしなぁ。まあ、あまりクランハウスの自室にいることは少ないが、こーなんというか、己の箱庭的な? 部屋を育てたい?

冒険者ギルドに入ると、青髪のお姉さんがこちらを見てパァっと顔を輝かせる。

完全に呼ばれているのでそちらに向かい、ミュスの尻尾の束を取り出す。

「セツナさん、衛生局員さんたちから聞いていますよ! 大活躍だったそうじゃないですか!」

「ビルさんの雷系魔法のおかげです」

なんというか、仕組まれた戦いなので、絶対に倒せる方法があるだろうと読みました。だってここ始まりの街アランブレだし? 地面がところどころ濡れてて、相手の動きを鈍らせたいなら凍らせるか感電させるかだ。

「お礼を預かっておりますよ」

今度は10000シェル。ありがたくいただきます。