軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

51.カクさんスケさん

と、言うわけで。

「まあ、検証は掲示板にたくさんある」

この掲示板はVRゲーム配信元が作っている、このゲーム専用の匿名掲示板とキャラクター名明記の掲示板だ。明記の方は自動的にユーザーネームが記される。

特に今回のような、都市解放イベントの謎詳細などを書くときに使うらしい。

ソーダも翌日には全サーバーのユーザーが見られる掲示板に詳細書き込みをしたそうだ。どうせもう他サーバーでこの謎解きは行われることはない。次の都市解放イベントのときに、役立てるための共有だと言う。

預言書、メインストーリーに関しても匿名、明記どちらにも掲示板があるらしく、日々解釈が垂れ流しされているという。

預言書に関しても、この宝石は予言書に嵌まっているのだろう派と、それが隠された場所にこの宝石をはめるのだろう派がいる。

某玉のように7つ集めると呼び出せる論もあるにはあるそうだ。

ユーザーの中には例の伯爵様にこの透明の宝石を渡そうとする者もいたらしいが、鼻で笑われて追い返されたそうだ。持ってろってことだろう。

「前回からの流れなら、その友人に会えるように何かあるんだろうな」

メインストーリー用のナビゲーションをオンにしても矢印が現れないのだ。

そんな話をしながら俺はメインストーリーを振り返っていた。

みんなも目の前にステータスウィンドウを出し、何かキーワードがないかスクロールしている。

場所は冒険ギルド内のテーブル。

基本的に前回のファンルーアの話の中にヒントがあるはずなのだ。

と、父の文字を誤タップしたところでポップアップが出る。

『パン屋の女性、ハナの父親』とあり、その父親のところがさらにタップ出来た。

『イェーメールで知り合った学者と名乗った男、ミト。以前は神殿に仕える神官だった』と。……ミト………………うんんんん。

「よし、旨い飯を食いに行こう!」

「なんだ突然」

「セツナっちお腹空いた? ご飯持ってるよッ?」

「ちょっと思うところがある。定食屋に行こう!」

これ、多分カクさんに会うためのルートこっちからなんだよきっと。

「こんにちは~」

「いらっしゃい! お、セツナか! 友だちか?」

「はい、一緒に旅をしている友人たちです。この間の生姜焼き定食がとても美味しかったので、食べさせてあげたいなと」

「ん、てことはトウヤを救ってくれたお仲間か! 孫が世話になったな。さあさあ座ってくんねぇ。食いたいものを注文しな!」

おじゃましまーすと、みんなもぞろぞろ席に座り、思い思いに注文を始めた。

「俺はその生姜焼き定食!」

「私も!」

「私もじゃー!」

生姜焼き3つ。

「俺、はカツ丼を」

「拙者こちらの唐揚げ定食をお願いします」

「あ、唐揚げ俺もッ!」

俺は今回はチキン南蛮定食にした。とても美味しゅうございました。

「あー米はいいな~けど、ファンルーアのあのパン屋さんのパンもすごく美味しかったよな」

食事が一段落して、俺は仕掛けに行く。みんなには話を合わせてくれとだけ言ってある。だって違ったら恥ずかしいじゃない。

「美味しかったねッ! ご飯も好きだけどパンも好き。もっと買ってくれば良かったッ!」

「ハナさん、だっけイェーメールで亡くなったミトさんのお嬢さんの? またファンルーアに行ったときに買いに行こう」

と、そこまで話したところで、親父さんが会話に入ってくる。

「ミトだって?」

「ええと?」

「ミトってえのは、イェーメールで神官やってたやつか?」

「そうですが、もしかしてお知り合いだったんですか?」

俺の問いかけに頷きながら、親父さんはそばの椅子に座った。

『せっちゃん大ヒットじゃ~!』

『え、何? 何でわかったの?』

『それは彼の名前がスケだから』

『『『『『『スケさん!』』』』』』

『ちなみに、カクさんもこのローレンガにいる』

『諸国漫遊してたのかしら?』

「そうか、死んじまったか……」

「亡くなる少し前に道ばたで苦しそうにしてらっしゃるのを助けました。持病かなにかあったのかもしれません」

「お前さんはどこでもそんなことをしてるんだなぁ」

『私も助けたのじゃ!』

『俺もッ!』

『みーんなに助けられてるわね~』

「あいつにも知らせてやらねえとな」

そう言って立ち上がるが、ため息をついて動きが鈍い。

「仲の良いお友だちだったんですか?」

「ああ、若い頃一緒にあちこち旅してまわったもんよ。隣のほら、ウロブルの街を気に入っててな。あそこは学者の街だ。冒険者やってるくせに、ミトは昔から本の虫だったから……」

なんかしょんぼりしてる。

「もしよかったら、俺が伝えに行きましょうか?」

「……そうだな、そうしてもらおうかなあ」

そう言って地図だ。お約束の行き先案内が入る。うん。『さわり屋』だ。

きっちり請け負って店を出た。

「めちゃくちゃ気落ちしてて可哀想だったな」

「ねー、仲良し3人組だったんだろうし」

そうだなー。このまま行けばまたメインクエストで長々お話を聞くはめになりそう。

「ちょっと寄っていい?」

ということでお孫さんのトウヤくんのおうちへ参りました。

スケさんが友人の訃報で気落ちしてるから、時間があるならお店に寄ってあげてくださいとお願いする。奥さんは慌ててトウヤくんを連れて出て行った。

『これがッ! NPC好感度NO1の気遣いッ!』

父親世代がしょんぼりしてるの見てると可哀想じゃん?

気を取り直して『さわり屋』へ。

「こんにちは~」

「おう、セツナか。と?」

「一緒に旅をしてる友人たちですが……今日はちょっと悲しいお知らせをお持ちしました」

そう言って、スケさんちから来た理由を話すと、カクさんは眼鏡を取って目頭を押さえる。

「あいつがなあ……まあ、連絡ありがとよ。しかし、急だなぁ」

「少し調子が悪そうでした」

「俺らと違って酒もやらねえあいつがなあ……なんか周りでおかしなことはなかったか?」

「おかしなこと、ですか??」

「ああ。あいつの研究してたもんはちょっと物騒だからな。……いや、忘れてくれ」

そう言われると聞きたくなるし、まあ、メインストーリーだからね。聞くはめになるのだ。

「葬儀の列にいきあたったとき、部屋の中がチラリと見えたんです。その前におうちへお邪魔したときは部屋中の壁と床にあった、たくさんのメモが書かれた紙がすべて消えていました」

「私も見たな。あんまり人の部屋をじろじろ見るのは悪いから、詳しくは読んでいないが。とにかく細かい字でたくさんのメモを壁一面に貼り付けていた。それが全部消えていた」

俺たちの言葉にカクさんはカッと目を見開く。

そして唸っていた。

「お前さんたち、あいつが何について調べていたか知ってるか?」

俺たちは顔を見合わせる。

『ほら、セツナ言ってやれ!』

『ええ、俺なの?』

『NPC好感度高い方が何か起こるかもしれないから、セツナくんよろしく~』

ここは変わらないと思うが。

「預言書がどうのとは聞きました」

「そうか、そこまで知っているのか」

カクは奥へ引っ込むと、1冊のノートを持って来た。