作品タイトル不明
431.堕落から得られるもの
さて、クランハウスに戻ってお楽しみのドロップ検討会。
今回、予想通りのものが紛れておりました。
【謎の紙切れ】が!!
『ミュス関連じゃなかったんだな』
クランハウスのテラステーブルで、EP回復ご飯を食べつつ数を数えている。
謎の紙切れは今回16番。番号がだいぶ増えていた。
『闇のモンスター関連だったのかもねッ』
『ミュスも闇属性で、闇属性のモンスターが多く集まるところに強い個体=ミュス王が生まれたと考えるべきじゃろ。レイスも同じくじゃ。レイスのところからは出んかったが』
『ランダムかもしれないわね。それか、レイスと、トレジャーハンターの裏試験はわりと初期でも通えるところだから、とかかもね。これ明らかにあれでしょう?』
みんなが俺を見る。
『まあ、預言書の一部でしょうね』
結論そうなるんだよねー。
そして修復師としての出番。
『修復師という職業がかなり重要だったんだな……あ、そうか』
わんこが閃いたと顔を上げる。
『【知の泉】があるだろう? それ狙いで貸本屋通いが増えて自然と修復師や写本師が現れるはずだったんじゃないか? 早々に図書館ルートが確保され、図書館で用が足りるようになってしまったとかかなと』
『ありそうね~導線引っ張る前にプレイヤーがタダで本を読める最適解を打ち出してしまった、って感じかしら。あと、最初のプレイヤーみんな戦闘好きだったもんね……ほら、前のVRMMO、生産職ってごくごく限られたものだったし。アルケミストするのは、店売りポーション高いから自作するみたいな感じだったじゃない?』
『戦闘民族大移動してきた結果でござるね』
謎の紙切れ16以外は、土蜘蛛の糸、土蜘蛛の目玉、土蜘蛛の足だった。
『目玉系多いね』
『あ、そうだ。セツナ知らないな。女王アリの目玉が、耐久プラス10になるアクセサリーなんだよ。今アクセサリー職人に交渉中。腕輪あたりにしてもらおうかと思ってる』
『あ、そうなんだ。使い道あってよかった』
ちょうど第七都市発見あたりでわかって、金がなくなって作れなかったそうだ。
世知辛い世の中だ。まあ金で解決するうちはいいのか。
この土蜘蛛も何かアクセサリーに変化するのかもしれない。
こういったアクセサリーにできるかも等の発見は、師匠筋からふいに教えてもらえたりするという。または取引先の宝石商とか。
『ほんっとうに、コミュニケーションがすべてのゲームね』
『だからこそあの闇魔法使いすげえんだよ。動画は無理って、SNSで状況発信してたな。コメント不可でさ』
『特殊ルートが過ぎるわ』
『闇魔法使いっているんだね』
『かなり強くなってるみたいじゃな。そして邪教集団に幹部候補生として迎え入れられて、コミュニケーションがとれなくてわたわたしてたら、強者みがあふれ出てとうとう幹部になったらしいのじゃ』
コミュ障で幹部に祭り上げられるの辛そう。
『今、預言書を求めているのは王家、神殿、噂の邪教集団かな』
『本人無自覚のファンルーア領主もいる』
伯爵様一番に読みたいって言ってたよ。気持ちはわかる。
『謎の紙切れ持ってファンルーアに修復に行ってもいいけどさ、どっちにしろ足りないんだよね』
まだ五枚しかない。少なすぎる。
『今回16だろ? てことは、最低16枚は必要だってことだ』
ソーダが指折り数えている。残り十一枚。
『まあ行くのは止めないが。何か起こるかもしれないから十分気をつけて』
『俺、こういったものは揃えられるだけ揃えてから一気にどんとやりたいタイプなんですよね』
一気に大放出したい。
『てことでせめて半分は集めてからかなあ』
『誰かに横取りされるぞ?』
『プレイヤーの修復師が出たら焦ることにする』
一番最初に修復してアンジェリーナさんに褒めてもらいたいな。
いや、アンジェリーナさんは預言書には興味ないかもしれないが。それでも本だから多少は気にしてくれそうだなと思ってる。
『この世のすべての本をアンジェリーナさんに捧げたいねっ!』
『面白いからいいけど』
一応まだ新しく修復師は現れていない模様。みんなかなりしっかりやってる生産職を持っているから、手を出そうと思うのは周りがサポートしてくれる、協力体制が確立されているクランのメンバーが多いそうだ。
『他のサーバーでは多少出てきてるそうだけどな。あと、公平性の問題で、修復師が預言書を修復したらそれは全プレイヤーの利になりそうな感じかな』
『あー、確かに職業でメインストーリーに優位性が生まれるのって問題だよなあ』
なんてことをソーダと俺がだらだら話している横で、半蔵門線とピロリは次の堕落したモンスターを攻略する場所の検討に入っていた。
堕落したモンスターはギミック的に倒せる可能性は高いが、その周辺の魔物が基本的に強いそうだ。
『せめてあともう一体くらいは倒しておきたいわよね~!』
『ソーダ殿が配信で流したら無茶して突っ込むプレイヤーが多そうでござるね』
『みんな無茶大好きッ! 俺も突っ込んで行きたい派!』
『一番薄着の案山子が行くのはやめてくれ』
八海山の懇願が俺にもブーメランとなって襲いかかる。多少は避けるけど、蜘蛛とか数多いと難しいな。
当面の目標はもう一体堕落狩りをするということになった。
『拙者が今度様子見してくるでござるよ。遁術は逃げるための物が多いでござるから。偵察に向いているでござる』
堕落に辿り着けるかが第一の関門だった。妖怪強かったからなあ。
各人の基礎ステータスを上げようと言うことで、耐久プラス10は大変美味しいと、女王アリ狩りをしばらくメインとすることになった。
毒を追加で作らなければならない。
毒をしっかり作っておけば、傘と毒でなんとかやっていけそうだという話だ。ピロリと半蔵門線が属性剣になったこともでかい。
『周囲の巣穴全潰ししていかないとだけどなー』
『あの作業が結構面倒よね。女王アリ十五分湧きらしいから、潰した後は作業になるけど、そうやってクランで女王アリ狩りをしてる現場に出くわしたら便乗女王アリ狩りしてくる人もいるらしいわよ』
『まあ、そこら辺はなあ……仕方ないっちゃ仕方ない』
やるならとことんということでログイン直後に入れるようにという話になり、準備をして突撃に備えた。