軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

378.ブルーアドミラル狩り

蝶は単体で無く、群れでまとまって行動している。

「それじゃあいっちょやりますか。【一身集中】」

「【フロストサークル】」

「【氷耐性】【氷耐性】【氷耐性】」

「【氷付与】【氷付与】【水付与】」

「【MP譲渡】」

ソーダが構えて、柚子が詠唱を始め、八海山が【フロストサークル】に突っ込みそうな面々に耐性のバフを掛けて、俺が付与する。半蔵門線とピロリは氷、俺は水。氷付与をした剣は、振るうごとにキラキラと細かな氷の粒を撒いている。【フロストサークル】でしびれ成分の鱗粉が落ちるなら、ピロリたちの【氷付与】剣でも多少の効果が見られるかもしれないから試してみようということになった。

そして俺は【フロストサークル】がキマッたところへ【針雨】を降らせて氷割りがてらダメージを増加させようという作戦。

最後に案山子がMPをくれた。

そんな計画だったのだが。

『あああ……しびれ……た』

『柚子を守れ』

八海山に言われてすぐさまピロリと半蔵門線が動く。

『セツナとりあえず氷割りしよう。効くか試したい』

しびれていても一応話はできるのでソーダが指示する。

「【針雨】」

ソーダの合図で俺が柚子の隣で 細剣(レイピア) を振るうと、細かな針のように身体を穿つ雨が降る。

八海山がソーダの回復に全力を出している。

俺の【針雨】のダメージだ。

凍ったブルーアドミラルに当たると氷が溶けて、またすぐ凍ってを三回繰り返して倒れた。 しかし【フロストサークル】と継続時間が同じくらいなので、先に氷が止む。ギリギリで氷の吹雪から逃れていたブルーアドミラルに【針雨】が当たり、最後は俺の方に生き残ったチョウチョがドバッとくるのだ。

最近蝶難の相でも出ているのだろうか。鱗粉嫌だよー!

とはいえ、たぶん五十匹くらいまとまって飛んでいたブルーアドミラルのうち、【フロストサークル】の第一陣から逃れたのは五匹くらいなので、俺は難なく避けられる。

的は小さいが当てるためのスキルはある。

「【連続突き刺し】」

俺が二匹、さらに半蔵門線がサポートに入ってくれて他のブルーアドミラルを倒してくれた。

ソーダもようやくしびれのデバフが消えた。

『俺、最初のスキル発動だけで終わるな。パラライズ持続時間かなりある』

『でもそーちゃんのそれがないと凍りながら私の方に攻撃仕掛けにきたやつが、せっちゃんの【針雨】で氷が割れた瞬間私にダメージが入るのじゃ。三十匹に集られたら終了なのじゃ』

ソーダに一瞬集まっているから、そこから柚子までの距離でなんとか凍結からの【針雨】のダメージ三回分で倒せる。

『MPは?』

『八海山殿のソーダ殿の回復が一番消費してるでござるね』

『俺っちがMPはあげられるよッ。火魔法だめだからわりと手が空いてるし、下手に攻撃してこっちがヘイト取ったらフォローが大変だしッ!』

『このぎりっぎりはあんまり好きじゃないんだよなあ』

ソーダが悩ましそうだ。

この人数がいるならもう少し余裕が欲しいらしい。

『まあ、蝶の群れ二つに当たらないよう【気配察知】組に期待しよう』

頑張ります!

とりあえず目の前の換金率が高いという噂のどんぐりを拾う。

ソウトゥースオークの実という名のどんぐり。『とても滋養が高く、高値で取引される。エルフの間で人気』とあった。人気商品はよいです。

さらに、最初行き合った時にブルーアドミラルが集っていた樹を【鑑定】すると、『ほどよく樹液の抜けたソウトゥースオーク』とあった。さらに周囲に枝が散らばっており、どうやらこちらが目当てのものらしい。

『ほどよく樹液の抜けたソウトゥースオークの枝。杖の材料として人気が高い』とあった。さらにその中には『杖に最適なソウトゥースオークの枝』もある。たまたま【鑑定】していたらこんなものも見つけたとファマルソアンさんに見せることにした。

ほら、【鑑定】はもう無意識にできるレベルだから。

だいたい拾い終わったところで移動を始める。樹がたくさんの森の迷路だ。ただ、どんぐりはさっき見つけたところのようにはあまり落ちてなかった。枝もほどよく樹液が抜けていないか、完全に抜けきった薪にしかならないものだけ。

『この先に群れが……三つでござる』

『無理だな、さっきの分かれ道を反対へ行ってみよう』

二つもきっと難しい。決壊してしまうと思う。

慎重に進み、群れが一つのときに、先ほどの手順で倒すことにした。

十戦くらいしたところでソーダがすぐにはしびれで動けなくなることがなくなった。

『耐性ついたぞおーっ! 強しびれ耐性1だ。今までのしびれと違うなこれ』

『それは、出せるなら出していきたいけどもう少しソーダのレベルが上がってからじゃないと難しいわね』

ということ狩りを続けること持ち物がパンパンになるまで。結局ソーダの耐性が2になったところで終了だ。

第7都市のクランハウスへ一度帰還。俺は連絡係としてファマルソアンにハトメールを飛ばす。

『ブルーアドミラル狩り行って来ました! 木の実はファマルソアンさんにお売りした方がいいですか? 冒険者ギルドとかでもいいですか? あと、ブルーアドミラルの集っていた樹の枝が、【鑑定】したところ杖の材料にいいそうなんですけど、どうですかね?』

しれっとね。知らない振りで質問しますよ。

荷物を整理してクランハウスのストレージに保管し、俺たちはご飯タイムだ。途中立ち食いしてEP枯渇にはしないようにしていたが、それでも今日の狩りはなかなかにハードでもう少しEPを満たしたい。

「どんぐり料理……挑戦……したいッ?」

「クルミのようなもんじゃろ? クルミのスイーツ系は好きじゃが、どんぐり……」

「どんぐり……ねえ」

みんな食指が動かないようだ。

「どんぐりパンみたいな話は聞いたことがあるでござるね」

「海外なら普通にあるのかもしれないな」

日本では、聞かない。俺の周りでは。

「むしろ、第7都市にあるんじゃないか? 売った後に屋台とか行ったらありそう」

「でも、美味とか言ってたから高級料理店で使われてたりして」

そんなとりとめないどんぐり料理話をしていると、ファマルソアンから返信があった。

『お疲れ様です。木の実は冒険者ギルドに持ち込んで構いません。たぶん掲示板に常時依頼として張り出されております。ただ、危険度が高いので普通はなかなか受けないのです。きっと喜ばれますよ。よければそちらを使った美味しい料理のお店をご紹介いたします。案山子さんは興味もおありでしょうし。枝の方は、失念していましたね。【鑑定】があったことを。先に私に見せていただけますか? そちらに戻った際に連絡を入れるのでお願いします』

そんなに不満そうではなかった。