軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

379.ソウトゥースオークの実料理

ファマルソアンからの連絡をもらい、木の実を持って冒険者ギルドへ行くことにした。

もちろんギルドのお姉さんお兄さんはみんなエルフだ。エルフは基本綺麗な人が多い。そういった種族設定なんだろうな。まあ、俺たちの偏見でもエルフは美男美女。

「まあ! ソウトゥースオークの実ですね! 助かります。一応常時依頼にはなっておりますが、なかなか厳しい狩り場なので。あ、常時依頼達成といった形にさせてもらってよろしいですか?」

ミュスみたいなものだ。

俺たちに異存はなかった。

「しかもこんな大量に。ああ、これでリアニールのケーキ屋がまた開かれる」

「お菓子の材料ッ?」

「そうですね。木の実ですのでケーキやクッキーといったお菓子作りに使われることが多いです。甘く香ばしい香りのする木の実で、エルフはみんなこの木の実が大好きなのです。これを使ったお酒もあります。細かく砕いてサラダに混ぜたりもしますね」

案山子がワクワク目を輝かせる横で、柚子もワクワクしていた。お酒だな。

「そのお酒が飲める店が知りたいのじゃ!」

「ではわたくしの趣味と偏見でオススメさせていただいてもよろしいでしょうか?」

と、受付のお姉さんが教えてくれた店に駆け出す柚子。

まあ、木の実がとても高値で売れたので第7都市のお店を回るのもいいね。

いやほんと、びっくりするくらい高いんだよな。木の実。重量軽いし、詰め込めるだけ詰め込んできた。

その代わり経験値はほとんどなし。

「経験値はあの火の層がよかったわね」

「火輪の層、な。あちらの風輪の層の攻略も考えないとなあ。ソーダ分析は?」

「もしかしてってのはあるけど、もっとデータが欲しいな。今他の人が上げてるデータ漁ってるところ。自分たちでデータ取りに行ってもいいけどさあ、デスペナもう一回は嫌だろ?」

高レベルになればなるほどデスペナは辛い。

「火輪の層をうちのクランだけでぐるぐる回ればそれなりに経験値は稼げそうだけどねッ! ただ、俺っちはMPタンクの置物ですッ!」

「MPはありがたいですけどね」

案山子がいないと付与がほとんどできない。

「まあもう少し確信が持ててから挑戦してみようぜ。ほら、あそこは火輪の層から挑戦できるみたいだし」

「毎回とは限らないけどな」

「あー、セーブポイント使ったら消えるタイプか……そしたらまた一階から。大変だな」

そんなことを話していると注文した料理が運ばれてくる。

とてもお高い木の実。

それを使った料理はとてもお高かった! 普通のサラダの五倍するんですけど!?

「ちょっと、柚子、あんまり飲み過ぎるなよ」

木の実を使ったお酒も来た。果実酒的な木の実のお酒ではなく、完全にボトルの中にどんぐりがドボンしてる。

ただ、俺も一口飲ませてもらったが、甘い香りと甘み、香ばしさのある不思議な味わいだった。度数が高い。

木の実を使ったパンもある。パンとシチューと酒、ローストした鶏肉にも砕いた木の実が振りかけてあった。

「美味いよなあ、確かに。普通に美味い。ただ、エルフにはもっと美味に感じるってことかな?」

「とにかくお高く買ってもらえるならありがたいでござる」

「もっと拾ってこようぜ。もうひと狩りしてもいいくらいだ」

「そうねー、早く借金生活から抜け出さないと、お洋服買えないし。エルフの衣装屋に行くのを私は我慢してるのっ!」

そんなわけで二、三日は夜は狩り、昼も狩りだが三時間ほど自由時間の間にアランブレに戻り本屋へ。アンジェリーナさんのところで本を読む生活を続けていた。

ファマルソアンから連絡が入ったとき、ちょうどアランブレの露店に用のあった八海山が一緒だった。

『このあと飛行船でミラエノランに帰ります。お時間が合うときに例の杖のお話をさせてください』

キラキラ半透明のハトメールを受け取ったので内容を言うと、ファマルソアンが飛行船に乗らなければならないのでなければ、ポータルで移動しないかと八海山が提案する。

「ファマルソアンが第7都市に着く頃には、真夜中だろう。そこから話すのもなあ」

NPCは夜寝るのが普通なのだ。夜通し一緒に狩りして楽しんでしまうヴァージルとは違う。

ファマルソアンに八海山の言葉を伝えると、それならば是非という話に。ファマルソアンも今はアランブレにいるそうなので俺たちのクランハウスに来てもらうことにした。

イェーメールのポータルは潰せないが、他二つは臨機応変に取り直しているらしい。この取り直し用のポータルを出す商売がアランブレにはあるという。

今回は一度第7都市のクランハウスに飛んだ八海山が、ポータルを取って戻ってきた。

ちょうどファマルソアンとカランさんが現れる。

この二人いつも一緒だ。

「お待たせいたしました。いやー、ポータルは正直ありがたい!」

「俺たちも杖屋は気になるので。柚子と案山子がワクワクしてます。今はまだお金ないですけどね」

「杖の枝を自分で採ってきたのなら、少しはお安くなると思いますよ。まあ、合えば、ですけれど」

何やら気になることを言うファマルソアンは、八海山の出したポータルにひょいっと乗る。クランハウスの島ではなく、船着き場のそばだった。

ソーダたちももう揃っている。

「それでは道中説明しつつ、杖屋へと参りましょうか。皆様魔法使いの杖の作り方はご存じで?」

「何にも知らないのじゃ。今使っているものは魔法使いギルド職員オススメの店で買ったのじゃ」

柚子はわりと大きな長い杖を使っている。自分の背丈ほどある。

反対に案山子は某魔法学校で使われているタイプの手の先で持つものだ。杖にも色々と種類があるらしい。

拾った枝も大きさは様々で、俺の背丈ほどの長いものや、指揮棒くらいの短く細いものもある。

「杖職人は、主に木の枝から杖を作り出します。その枝選びにかなりの労力がかかるのです。杖に向いている木の枝を見分けるのに何十年もかかることもあります」

杖にはみんな魔石が嵌まっている。その魔石と相性がいいと、杖が反応するらしい。かといって、そこに反応する魔石がなければ杖はぴくりとも動かない。だからといって枝が杖に向いていないわけではない。

相性のいいものがその場に揃わないとその枝が杖に向いているか向いていないかの判別がつかないというのだ。

「職人の勘で今まではそれが行われてきました。一発で可能性を見いだせるものがあれば、職人の勘で置いておいた杖の木が長い年月を経てようやく伴侶とも言える魔石と出会うこともある。……来訪者の皆様の【鑑定】でその長年の歴史が覆されるやもしれない」

あー……これは問題になりそう。