軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

37.睡眠対策アクセサリ

攻略先行のソーダたちが負けて帰ってきたダンジョンのボス。ボスにはまだたどり着いてないけど。

倒すのだいぶ先じゃないか?

『とにかくスリープがキツい。睡眠対策アクセサリとか手に入れないと無理だと思う。耐性育てるには、ダンジョンにかなり通う必要がある』

『他の酒はそんなデバフ付かないんだろ? そっち飲ませたらいいじゃんッ!』

『御神酒は御神米から造るらしいんだけど、その御神米を育ててる水田にこの水が混じってるんだってさ』

特別なお酒なのだ。

「御神酒を鑑定させてもらってもよろしいですか? あと、他の畑のお酒も」

俺の言葉にタカヒロとゴンゾウははっとして、是非と倉から瓶を持ってくる。

おちょこに注ぐ。

「青冴えが素晴らしいとても良い出来なのです……」

タカヒロが少しさみしそうに言った。

右が金賞受賞の他の水田で育てた米で造ったもの。

左がその後御神米で造ったもの。見た感じは変わりない。

「右は、普通のお酒だね。素晴らしい酒ってあるよッ。だけど、左はまた泥寝酒となってる。泥のように寝入ってしまうお酒だってッ」

長雨の原因ここにあり、だ。

「御神酒は試飲しないんですね」

「御神米から作られるものは総じて神様の物なので。試飲は一切いたしません。神殿で捧げれば空になりますから」

お下がりがないのか。そのせいで気づくのに遅れたわけだ。

「普通の水田の水は、街の西を通る支流から引いて来ているのですが、御神米の水田の水は北の清らかな水を使っています……が、それがいつの間にかこのように変わっていたのですね。神殿も含めて報告しなければなりません。次の金賞を取った酒もまたこの御神米を使って造るのですから。今回は本当に助かりました。何から何までお世話になり通しです。是非この後土産の酒をお持ちください。私は組合の者たちを集めて集会を開かねばなりませんので」

そういってタカヒロは頭を下げ下げ去って行った。

残された子どものタカトシがこちらへどうぞと店舗の方へ案内してくれる。

一緒にゴンゾウもやってきた。

「酒じゃーっ!」

柚子が買い占める勢いであれもこれもと選んでいる。

俺もいくつか買いたいなと、懐と相談しながら選んだ。

14万以上あったのが、10万切るけどまあいいや、と思ったら、……7割引ってどゆこと!?

負けすぎだろうと言えば、父に怒られますからと固持して譲らない。

とりあえず、柚子にはまた別の日に思い切り買いなさいと、買う点数を減らさせた。50万の7割引はさすがにダメ。

『北のダンジョンって、フィールドダンジョンなんだよ』

その地域一帯がダンジョン。一般的なイメージの潜っていくタイプではないやつだ。

『手応え的にはボス一歩手前まで行けてるとは思うんだが、八海山が寝ちまったら手持ちの回復薬使うしかないし』

『ソーダが寝たら起きるまで決壊ギリギリのところを耐えるしかないしね~』

眠りは即仲間が叩けば起きるが、時間経過で深く寝入るらしく、前衛のソーダには攻撃が集中するので離れていて、即叩くのが難しい。

『みんなそれなりに【睡眠耐性】ついてきてはいるけど、育てるのには時間かかるわ』

『拙者言うほど喰らわないから、そんなに育ってないでござる』

半蔵門線は思わず避ける。

『たぶんボスが睡眠薬でも垂れ流してるんだろうなぁ~』

『1週間で、他のプレイヤーが入ってくる前に倒しておきたいですね』

『それッ! 先行のうまみを存分に味わいたいッ!』

十分味わい尽くしているとは思うが、とっとと長雨から解放してあげたいという気持ちはある。

「蔵元さんが開く集会って俺たちも紛れたら迷惑ですか?」

ゴンゾウさんを見て聞くと、彼はうーんと悩んでいる。

「俺はよわっちいけど、友人は結構強いんです。少しでもお手伝いできたらいいかなと」

「強さが……何か関係があるのか?」

「結果的に、その水田に流れ込んでいる水の出所を探りに行きますよね。護衛としても役に立つかなと。あとは……ここまで聞いて何もしないでいられませんから」

『うわっ! え、セツナくんいつもそんな風にNPCに語りかけてるの!?』

『相手のことを思ってる風に言ってるけど、自分たちの興味を満たすためでしかないな。ナイスだよ、セツナ君』

『セツナっち、いい人風すごいー!』

いやいや、お前らいつもどんな風にNPCに接してるんだよ!

『酒のためならなんでもやるのじゃー!』

『この街は忍者の匂いしかしないでござる。拙者も全面的にNPCの味方はすべきと思うでござるよ!!』

欲望の2人組。

「うむ……まあ、君がそう言うなら、蔵元も構わないと言いそうだが」

「ボク、父に連絡してきますね」

と、タカトシくん退場。

やがて帰ってきた彼に案内されたのは神殿だった。

たくさんの人相の悪そうなおじさんたちが集まってる。着物だから余計に貫禄があった。

「やっぱり北の山で何か獣の叫び声がしていたのは嘘じゃなかったんだな」

「そこら辺は関わってるんだろう。調査隊を組まなければ」

「若い衆を集めて山狩りだ!」

ガヤガヤとあちこちで話が盛り上がっている。

やがて例の鼻水と涙の神官と、タカヒロが彼らの前に現れた。

案山子の鑑定でわかったことと、北の山の異変をあわせて、そこら辺に原因があると思われることを話す。

「今後の御神米作りにも関わってくることだ。みんなでこの問題に取り組もうではないか」

おう! とあちこちから声があがる。

そこで、ソーダがすっと前に進み出る。

「こんにちは、ソーダと申します。実は少し前に北の山を散策していたのですが、なかなか手強いモンスターが多数おりました。その原因に、こちらを眠らせるようなスキルを使ってくるものが多かったんです」

周囲がざわつく。

「やはり、北の山が原因でしょうな」

神官がソーダの言葉に頷きながら何やら祭壇の後ろをごそごそとしている。

「ふむ……2つしかないが、これは眠りを防ぐと言われている、水瓶のかぶり物だ」

『おい、変なの出てきたぞ……』

『私あれかぶるの絶対嫌ぁ!!』

『タンクに必要なものですから』

『ソーダっちは確定ッ! だねッ!』

『頭装備のバフ消えるんだけど!?』

水瓶、下側の方が大きいピーナツ型みたいな感じで、青い花の模様入ってて綺麗。かぶり物だからそこまで重くはなさそう。

「こちらをお貸ししよう。これで眠ってしまうことはなくなる」

こちらはパーティーチャットでもう1人は誰が被るかの押し付け中。

「我々の中でも腕に覚えのある若衆で山狩りをしますが、貴方がたにもお願いしてよろしいでしょうか?」

「もちろん。素晴らしいものもお借りしましたから」

ソーダの口元がひくついてて、どんな再現だよと内心笑う。

そこからは住民たちの中で誰が向かうか、誰に頼むのがいいかの相談が始まった。

神官がすすすと俺の隣にやってくる。

「セツナさんは行かれないのですか?」

「いやぁ、俺は最近来たばかりで腕にはまったく自信がないので……」

「えっ? セツナっちも行こうよッ!」

『なかなか体験できない初期イベントだから参加しとけよ』

『でも、パーティー経験値分配すぐできなくなるぞ?』

今レベル19の60%です。

『お祭りにそんなの関係ないわよぉ〜これ、このアイテム借りたから絶対クリアできるやつよー!』