軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

366.【番外編】聖夜の夜にゲームする1

イベント時期、運営がどのようなものを提示するのか、いつからやるのか、それはあくまで運営の方針である。

「ここの運営、クリスマスに厳しいんだよ」

ソーダが言う。

「毎年だな。問答無用の二日間だ」

12/24、25の二日間でのイベントが起こるという。

「うちはピロリと柚子が不参加だ」

リア充は旅行に出掛けているそうです。

まあさすがに、デバイス持って移動して何かの拍子に落としたとかいったら悔やんでも悔やみきれないもんな。って言ったら寂しそうな目で見られた。

ぼかしたんだよっ!!

24日0時に告知されるそうだ。

「男子会になってるでござるね」

「俺っちはフル参加ですッ!」

もちろん俺もフル参加。まあ夜だけだけど。

「はいっ! アンジェリーナさんがサンタコスプレしてくれる可能性はあるんですかっ!?」

「課金で売ってたんじゃね? サンタ衣装」

「俺がコスプレしても何にもなんないんだよ」

NPCが着てくれるかどうかなんですよっ!

「どうなんだろうなぁ。今までの季節ものイベントはみんなガン無視してたな、NPCは」

残念。

とりま狩りでもして待つかという話になり、0時になる直前、カウントダウンが始まった。

「お、たまに強制ログアウト喰らうことあるから、慌てず騒がず再ログインな~」

ソーダの言葉に頷く間もなく、目の前で0の数字が瞬く。すると、……狩り場はそんなに変わらない。

「公式チェックする」

今日は主戦力が二人も欠けているので、わりと楽に進める狩り場、ローレンガの美少年手前をうろついていたのだ。

この辺りなら俺のフロストダイスもあるし、何より半蔵門線が遁術スキルでかなり強くなっており、俺の【薄氷】でスキルを封じることができるので楽に狩りができるようになった。

「ファンルーア南に特設マップだそうだ。ゲートが開いて、その辺り一帯がサンタのおもちゃ工場になったとか。プレゼントボックスを作り、クリスマスツリー星団に祈りを捧げようとかいう話。ロジックから一緒に行かないかって誘われた」

「ロジックというと、ダイン殿でござるか。さてはあちらのログイン率も低いでござるね」

「五名だそうだ」

「……うちより出席率が低いでござるね」

十人でちょうどいいとパーティーを組んでチャレンジすることとなった。

『見事に男ばっかりでくさーっ!!』

『そっちもそうだろうがよお』

ダインが笑い、ソーダが返す。

『女子は女子会という逃げ道があるから』

『別に男子会したらいいじゃないですか』

猫じゃらしには俺がお返事しておいてあげた。

全部自分に返ってくる辛い。

それぞれ騎獣で移動中だ。

なんでも、ゲートで繋がったのはまさかのサンタクロースの国。北極圏。サンタクロースのおもちゃ工場で異常が発生したので助けてあげよう。ゲートが開いているのは六日間という短い期間(ようはリアル二日間)。なるべくたくさんのおもちゃを作り出して、サンタクロースのプレゼントを待っている子どもたちのために働くのだ! というコンセプト。

『スレがよくわからないことになってる。プレゼントボックスパーティーとか叫ばれてるな』

『柚子っちいないからッ! 凍らせて黙らせるができないッ!』

ちなみにロジックは脳筋組だそうだ。基本腕力たち。

『ま、転んだらそれはそれで。ただ、みんなが参加するタイプのイベントだからそこまで要求レベルは高くないと思うけどな』

もちろんおもちゃ工場マップにはたくさんの来訪者がいた。ファンシーな建物。中はパステルカラーの可愛い色合い。工場といわれるだけあってベルトコンベアや謎のラッピングマシーンなど、見ていても楽しめる。

そして、たくさん、たくさんのプレゼントボックスが攻撃を仕掛けてきた。

「己がプレゼントになるとはっ!」

あちこちで悲鳴が上がっている。マップというわりには壁はなく、ベルトコンベアや設備で移動を制限されるタイプのところで、お祭り気分の来訪者がオープンチャットで叫んでいるのだ。

最初は俺たちもパーティー会話をしていたが、段々と表で叫びたくなる。その方が、注意喚起ができる。

「ピンクのリボンが北東に移動したぞーっ!」

プレゼントボックスへの変化は、まず箱に飲み込まれ、可愛い包装紙で包まれ、最後はリボンでおめかしされる。

手と足と頭だけ突き出した、プレゼントボックスプレイヤーが多数出現するのだ。

そうなると移動が制御され、やがて定期的に出てくるプレゼント回収サンタに攫われるのだ。

「青いリボンが南東に行った! 包装完了のやつ気をつけろっ!」

俺たちは騙されたのだ。

プレゼントボックスを作る手助けをするのではなく、プレゼントボックスになり出荷されてしまう。

「機械の身体を手に入れられると思ったら、ネジにされるやつーっ!」

「ヤメロ、俺の幼少期のトラウマっ!! 大叔父さんちの棚にあるヤツ、幼稚園児が読むんじゃなかったー!!」

「燃えてる鳥の宇宙編よりましだろう……じゃなくて! ハサミ、ハサミはどこだよ!」

一度攫われるとマップの外に放り出される。パーティーもそこで解けてしまうので、アライアンスを組むこともやめた。オープンで叫んでいる。

放り出されると体力が1になる。体力1になると移動がゆっくりになってしまうので、回復薬が必要だった。かわりにデスペナはない。

クリスマスイベントはまたもや大型協力イベントだったのだ。

この工場はやたらと広い。

いや、広すぎる。入ったら最後、出荷されるまで出られない。

そう、出口がないマップなのだ。

「何か手がかり見つけたかー!?」

「ないっ!! まーったくない!!」

みんなプレゼントボックスになりながら、だだっぴろい工場の中を探している。出口を。次への入り口を。

「ぎゃーっ! サンタ襲来!!」

多分ヒントがこの工場のどこかにあって、何かしらのギミックを解けばイベントクリアになるだろうという話になっている。

俺ももうプレゼントボックス完成体だ。赤い包装紙に緑のリボンまでされている、パーフェクトな装い。一応装備は着ている判定になっていて、防御力などに変化はない模様。まあ、この工場内で攻撃を仕掛けてくるようなやつらはいないが。

何も見つからず、前方にはムキムキマッチョの大男サンタが迫ってきている。

隣に猫じゃらしが立っていた。

「いぇーい……」

「セツナ君、もうそれやめてください」

あとは攫われてまた一から入り直しだ。やれやれと、ベルトコンベアに腰を下ろすと、ちょうど動いていたので俺は横に移動する。

「セツナ君、出荷されるんだね、さらば……」

誰か早くギミック解いて欲しいな。わりとエンドレス。すでに三回出荷されている。

目の前で猫じゃらしが宙を舞う。

「あーれぇー」

背中に担いだ白い袋にINされていた。

次は俺の番だ。

俺の、番が、来ない。